Ⅰ(1)A A (2)B
Ⅱ A
Ⅲ(1)B (2)B
Ⅳ A
Ⅴ(1)A (2)A (3)B
A:桜蔭合格を目指すなら必ず得点したい問題
B:着眼点や解法ツールにより正答率・かかる時間に差がつく問題
C:難易度や処理量から判断して、部分点狙いで答案を作成すべき問題
以下、各問の内容について見ていきましょう。
冒頭のⅠ(1)は順算と逆算の計算問題2つ。例年通り「面倒」で、どちらもそれなりに「きれいではない数値」になります。
(2)は周期が絡む仕事の問題。書き出しの緻密さ、処理の丁寧さが求められる、桜蔭らしい問題です。桜蔭志望者にとっては典型題といえるでしょう。後ほど取り上げます。
Ⅱは異なる4つの整数の2数ずつの積からもとの4つの整数を求める問題。
頭の中で解き方の筋道を立てるのではなく、とりあえず手を動かしてみる習慣がついていれば易しい問題です。2数の積の中で最も小さい積の108に着目し、108を2数の積で表してみると「9×12」「6×18」あたりが候補に挙がります。あとはあてはめて計算してみるだけです。
Ⅲは2台のケーブルカーが条件に従って往復する様子をグラフ(ダイヤグラム)処理する問題。
グラフ作成問題は2007年度以来ですが、「桜蔭の速さ」はグラフ(ダイヤグラム)主体であり、どの受験生もグラフ(ダイヤグラム)を書く練習を積んできたはず。条件を読み誤らないように注意しながらグラフを書くだけですが、ここに必要以上に時間をとられないようにしたいところです。
(2)は周期を利用してもよし、グラフをそのまま書き続けてもよし。(1)で正しくグラフが書けていれば、(2)も得点できます。
問題用紙2枚目は図形問題で占められています。1枚目と2枚目に図形問題が1問ずつ配置されることが多いので、ちょっと違和感があります。
Ⅳは平面図形と比の問題。
長方形のたての比・横の比・面積の比を駆使できるかが問われています。
Ⅴはくりぬき立体の問題。
(1)(2)を落とすようでは論外です。
(3)は2方向からくりぬいたときの表面積を求める問題。トリを飾る問題として、難易度は今一つですが、それなりの処理量があります。AをくりぬいてからBをくりぬくという順番ですが、BをくりぬいてからAをくりぬくと考えた方が、状況をイメージしやすいでしょう。くりぬくことによって「新たに増えた面積」と「なくなった面積」を正確にとらえましょう。
問題数が少ない
例年と比べて問題数(解答数)が少なく、処理速度に不安を抱える受験生でも今年度は時間の圧迫感がなかったようです。
桜蔭志望者にとって「解ける」問題ばかり
目新しい問題がなく、桜蔭対策を積んできた受験生にとって、どれも「解ける」問題だったといえます。解き方の方針が定まらないものはなかったはず。受験生のほとんどが「易しかった」と感想を述べています。
合否の分かれ目は、「解ける」問題をミスなく解き切ったかどうかです。処理量や面倒さを考えると、合否を分けた一題として挙げられるのはⅠ(2)、Ⅲ、Ⅴ(3)でしょう。その中で、最も桜蔭らしい、頻出タイプの問題であるⅠ(2)を取り上げます。