日能研では、通常授業のほとんどを単元内容の講義(解説)に充てており、問題演習の時間は多くありません。また、宿題用のテキストである『栄冠への道』も問題数が豊富とは言えず、演習不足になりがちという弱点が隠せません。その分講習期間を演習三昧とすることで不足を補っていますが、普段の授業で、実際に手を動かさないとなかなか身に付かないという課題は残されています。
一方で、授業テキストの『本科教室』は、四谷大塚の『予習シリーズ』ほど詳し過ぎず、SAPIXの『デイリーサピックス』よりは必要な解説がされていて、バランスが取れています。演習用問題の選択も巧みで、問題数は多くないながらも良問が揃っています。しかし、前頁白黒印刷で、図表の印象が弱いのが難点です。また、長い間改訂もされていません。最新傾向の問題は、センター模試で出題されますが、解説授業は無いため、フォローが全くないというのが現状です。
日能研生は、丁寧な解説を受けるため、本質の理解は出来ている生徒が多い印象があります。しかし、演習量が少ないせいで、テストで点を稼ぐ能力となると、多少頼りない部分があります。これを克服するには、やはり問題演習量の強化が必須です。宿題量が多くない塾ですので、自宅学習の時間は取りやすいと思います。身近に日能研生の先輩がいれば、前年度の講習期間用のテキストを借り受けて活用すると良いでしょう。市販のテキストでは、『最高水準ノート』や『最高水準問題集』等が使いやすいと思います。『最高水準ノート』は、上述の通り、スピードアップの訓練にも使えるので、大変有用です。また、四谷大塚の公式サイトでは、『演習問題集』(通常授業に対応した問題集)や『実力完成問題集』(6年後期に使う問題集)、『週例テスト問題集』(週例テストの過去問)等が手に入り、問題演習用に使用することも可能です。これらは、時期に拘らず随時販売しているので、カリキュラムが違っても、対応する単元を探して活用できます。また、『実力完成問題集』は、本来6年後期に使うものですが、全範囲の実践的な問題が多く収録されているので、普段から応用問題集として利用するのも良いでしょう。
また、知識の確認は、日能研生の課題となる部分です。基礎知識確認用のテキストとして、『メモリーチェック』がありますが、基礎的過ぎて桜蔭中学を受験する生徒にとってはあまり有用ではありません。早い段階(5年生または6年生の6月位まで)で『メモリーチェック』はひと通り終わらせ、SAPIXの『コアプラス』か四谷大塚の『四科のまとめ』を利用するのが良いでしょう。
受験ドクターでは、本人のレベルや、弱点に合わせて、講師が問題をピックアップし、演習量を強化していきます。必要な部分と、不要な部分を仕分けして取り組んで貰いますので、一言に「演習量を増やす」といっても、より効率的に学習を進めることができます。