[Ⅰ] | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 B 問5 A |
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[Ⅱ] | 問1 A 問2 A 問3 B 問4 A |
[Ⅲ] | 問1 A 問2 B 問3 A 問4 A 問5 A |
[Ⅳ] | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 B 問5 A 問6 A 問7 A 問8 A 問9 A 問10 A 問11 A |
A…桜蔭合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2018年度の桜蔭は、例年通り、基本的知識と原理原則に則って考察する力、的確な処理能力を問う問題が中心でした。難易度は昨年度と同様で、桜蔭を目指す受験生にとっては、どの問題もかなり平易に感じられたのではないでしょうか。高得点を確保し、他教科の得点にきっちり重ねていくつもりで取り組まなければなりません。
物理分野の問題は、光の反射に関する問題。
化学分野の問題は、物質の三態に関する問題。
地学分野の問題は、流水のはたらきに関する問題。
生物分野の問題は、植物のはたらきと育ち方の問題。
どれもオーソドックスで込み入った設定は一切なく、竹を割ったような潔く明確な設問で、迷うことなく解き進むことができる問題ばかりです。
対策としては、基礎知識をしっかり身につけること。さらに、基本的な実験や観察の方法を説明できるレベルに定着させておくこと。論理的に判断し処理する問題に多くあたっておくことが大切です。
また、昨年度のように、環境やエネルギーに関する問題が出される場合を考え、時事的な話題も含めて対策をしておくと万全でしょう。
問題構成は、4分野から大問4題、小問46問。
解答形式は、記号選択が32問、言語が5問、作図が3問、記述が1問、数字が5問。
昨年なかった作図が3つありますが、いずれも平易です。言語・記述とも、ごく基本の知識です。
計算が必要な問題は、3問でしたが、煩雑なものではありませんでした。
(物理)光の反射についての問題です。
まず、金属の密度を求めす。1000÷95.2≒10.5(g/cm3)
表から、この金属は銀とわかります。
金・銀・白金は大変安定した金属でさびません。おぼえておきましょう。
東京(北緯35°)における太陽の南中高度は、春分の日が55°(90-35)、夏至の日が78.4°(55+23.4)、冬至の日が31.6°(55-23.4)です。実験1は2月なので37~46°。これに対し、6月は76~78°です。鏡に対する入射角は、6月の方が小さいので、壁に映る長方形は縦に長く、高い位置になります。
①・③には左右対称な形、②には上下を逆にした形になります。
①~③が「紙に書いた文字と異なるもの」を選びます。
「ん」の左右対称な形をかきます。
(化学)物質の状態変化に関する問題です。
水・ドライアイスの状態変化は、基礎知識なので、難なく解答できたのではないでしょうか。
液体窒素や液体酸素については、目にする機会が少ないので、戸惑った生徒もいたかもしれません。
液体窒素は、低温実験・瞬間冷凍・生体の冷凍保存などに使われます。また、液体酸素は、体積を小さくできて運搬コストが低い酸素として、医療・製鉄・ロケットの推進剤などに使われます。窒素の沸点は-196℃。酸素の沸点は-183℃なので、窒素より高くなっています。
基本の知識です。確実に処理しましょう。
生活の中でよく目にする現象です。普段の観察と、なぜそうなるのか考えることができているかを問う問題です。
(1) タオルに付着していた液体の水が、蒸発して空気中にふくまれることで、洗濯物は乾きます。
(2) 空気中の水蒸気が冷たい窓ガラスに冷やされて、水滴になったものが、ガラス窓のくもりです。
(3) 冷凍庫の温度は-18℃です。-18℃の氷を触ると、指についた水が凍って、くっついてしまいます。
(1) ドライアイスは二酸化炭素が固体になったものです。
(2) ドライアイスは常温で昇華(固体が液体を経ずに気体になること)し、気体の二酸化炭素になります。ドライアイスの表面に見られる白い粉は霜(空気中の水蒸気が冷やされて氷になったもの)、周りの白いけむりは霧(空気中の水蒸気が冷やされて水滴になったもの)です。
(1) 「火のついた線香を近づけると線香がほのおをあげて燃えました」とあるので、助燃性がある酸素とわかります。
(2) -196℃ですでに液体の状態なので、気体から液体になる温度は、これよりも高いと考えます。
(地学)流水のはたらきに関する問題。
川の流れには、しん食・運ぱん・たい積の3つの作用があります。このとき、土砂は上流から下流に運ばれるあいだに、角がけずられて、丸みを帯びるようになります。
3種類のつぶを2回に分けて流し込んでいるため、6層になります。
つぶが大きいものほど、沈むまでにかかる時間が短いので、下かられき・砂・どろの順につもります。
→合否を分けた一題参照。
海に到達した川は、流れる速さがとてもゆっくりになるため、運んできた土砂をたい積します。
基本の知識です。火山灰は水のはたらきを受けていないので、つぶは角張ったままです。
単純な計算問題です。
(1) 100×100×13=130000(cm3)=130(L)
(2) 1L=1000mL、1kg=1000g なので、1Lの水の重さは1kg です。
(生物)植物のはたらきと育ち方に関する問題。
これ以上ないくらいに基本から忠実におさえたオーソドックスな問題です。
基本の考え方に忠実に、しっかり解答しましょう。
虫めがねの使い方についての問題です。基本の知識です。特に実験器具は、桜蔭に限らず良く出されますので、もれのないようにしておきましょう。
ホウセンカが開花する季節は6~9月で、長く花を楽しむことができます。暑さに強い植物ですが、20℃あれば十分開花すると考えられます。
発芽の3条件については、確実に選ぶことができるはずです。
双子葉類でないものを選びます。
割合の計算です。はじめに入れた空気の量を100とすると、酸素は21、窒素は79です。二酸化炭素だけを追加すると、酸素の量は変わらないので、酸素21が全体の20%にあたるようになったと考え、全体の量は21×100/20=105となります。追加した二酸化炭素は、105―100=5なので、その割合は、×10≒4.8(%) です。
実験1の④では呼吸のみ行っていて、その分酸素の割合が減少します。図2のグラフから、呼吸による酸素の消費量は、1時間あたり全体の1%です。
実験1の⑤では呼吸と光合成を行っているので、その差だけ酸素の割合が増加します。図2のグラフから、光合成による酸素の発生量は、1時間あたり全体の3%(2+1)とわかります。
気孔の数が最も多いのは、葉の裏側です。
顕微鏡の使い方に関する問題です。やはり、実験器具の知識は重点項目です。
エに「ステージを下げる」とありますが、これは、ステージを下げることで対物レンズとの距離を広げるタイプのけんび鏡についての説明です。
上下左右が逆になる図をかきます。
実験2は、光合成によってでんぷんができることを確かめる実験です。きわめてスタンダードな実験なので、手順もしっかりおぼえているはずです。過不足のない表現をめざしましょう。
でんぷんがあることは、ヨウ素でんぷん反応で確かめることができます。
め花とお花にわかれているヘチマやトウモロコシは、受粉に虫や風の力が必要です。リンゴは同じ種類の花の花粉では受精しないので、果樹園ではミツバチや人の手によって受粉を行います。
Ⅲの問2の図2は、つぶの大きさによって水のはたらきのあらわれ方がちがうことを表すグラフで、ユルストローム図といいます。
①より上の部分は「しん食と運ぱんが起こる」範囲、①と②の間の部分は「運ぱんされているものは引き運搬され、たい積しているものは動かない(しん食されない)」範囲、②より下の部分は「たい積する」範囲です。
このグラフから、水の流れが大きいときには、一気にしん食と運搬が行われること。泥はいったん運ぱんがはじまると、一番たい積しにくいことがわかります。
実はこの図、同校の平成20年Ⅳ問1にも使用されています。過去問にしっかり取り組んでいた生徒は、かなり有利だったと考えられます。
(1) 止まっていたつぶが流され始めるのは、水の流れる速さが①のラインを越えたときです。①のグラフがBで谷になっていることから、つぶの大きさがBのときに、最も遅い速さで流れ始めることがわかります。
(2) AはⅠでもⅡでも①と②の間なので、変わらず運ぱんされ続けます。CはⅠでは①と②のあいだ、Ⅱでは②より下なので、運搬されていたものもされていなかったものも、底にたい積することになります。