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理科の合否を分けた一題

桜蔭中入試対策・理科の合否を分けた一題(2015年度)

桜蔭2015年度は、標準的な問題のあいだに、少ない説明からの条件整理と思考を求める問題が挟み込まれている印象です。小問数が少なくなったかわりに、60字の記述があるなど、ここ数年の構成とは異なる印象です。

Ⅰは日本の天気についての問題。気象についての基本的な知識と、ひまわりの画像から天気を読取ることができれば、解答できます。
Ⅱはキャベツの害虫に関する問題。モンシロチョウ、コナガ、コマユバチの三つ巴の様相が問題を複雑にしています。
Ⅲはてこの問題。おもりを支えるのは、Bのばねはかりであるとわかれば、すんなり解けるでしょう。
Ⅳは手回し発電機の問題。コンデンサーに蓄電した電気が放電するときのハンドルの動きについては、結果だけを聞くにとどまっています。
Ⅴは中和の問題。中和を過ぎてからの水酸化ナトリウムが余る場合について、残った固体の重さの変化から水酸化ナトリウムの濃さが分れば、すべての数字をうめることができます。

どれも、一筋縄ではいかない問題ばかりで、思わず立ち止まって、時間をロスしてしまいがちだったなかで、合否を分けた問題として、Ⅱを取り上げることにします。


問1
モンシロチョウについて、基本的な知識を問う問題です。
①モンシロチョウは、アブラナ科のキャベツやダイコンに卵をうみつけます。
②卵の大きさは、約1mmです。
③卵は、黄色です。
④孵化すると、最初に卵のからを食べます。
⑤身体を糸で固定してさなぎになると、動かなくなりますが、さなぎの中では、大きく姿を変えています。
⑥羽化にかかる日数は、気温によって変わりますが、問題文に「5月ごろキャベツに産みつけられた卵が・・・」とあるので、さなぎから羽化まで10日前後かかると考えられます。

問2
天敵を、飛ぶことができる鳥やハチと、地面をはうクモとに分けて考えます。
木わくのうち、Aは空からと地面からのどちらの進入も防ぐので、天敵の影響が最も小さいと考えられます。Bは地面からの天敵はある程度防ぎますが、空からの進入を防ぐことはできません。Cは、アミがないので、どちらの天敵の進入を許します。
図1の結果を見ると、Cは大きく個体数を減らしていますが、AとBの結果にほとんど差が見られません。
AとBを比べたとき、空からの天敵の有無による影響は少ないことがわかります。
BとCを比べたとき、空よりも地面からの天敵の影響がかなり大きいことがわかります。

問3
【実験2】では、どの濃度のメソミルに対しても、コモリグモよりもコナガの方が生存率が高くなっています。メソミルを使うと、コナガがは生き残り、コナガの天敵であるコモリグモの数は減ってしまいます。
【実験3】では、メソミルの付いたエサを食べたコナガの方が、付いていないエサを食べたコナガより、産卵数が多くなっています。メソミルがあると、かえって卵をたくさん産むことがわかります。
以上から、コナガが増えてしまった理由を説明します。
「メソミルによって、天敵のコモリグモは多く死亡するが、コナガは生き残るうえ、コナガの産卵数はかえって多くなっているため。」 

問4
アにコナガのメスが卵を産みつけると、コナガの幼虫だけがいる状態になる。→(c)
イにコナガのメスが卵を産みつけると、モンシロチョウとコナガの幼虫がいる状態になる。→(d)
ウにコナガのメスが卵を産みつけると、コナガの幼虫だけがいる状態になる。→(c)
(d)の方が、(c)より引き寄せられるコマユバチの数が少ないので、幼虫の生存率が高くなります。よって、イが最も産卵場所として好まれます。
アとウを比べたとき、どちらもコマユバチが引き寄せられますが、引き寄せられる数は変わらないことから、より多くの幼虫がいるウの方が、生存率が高くなると考えられます。
よって、イ→ウ→アの順になります。

難易度分類

問1~問4A 問5B 問6~7A 問8~9B

問1A 問2~問4B

問1A 問2B

問1~問3A 問4B

問1~3B

A:桜蔭を目指すなら必ず得点したい問題
B:着眼点や解法により正答率・かかる時間に差がつく問題
C:やや難。一旦とばしてもよい問題

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