2013年度の桜蔭は、桜蔭中の標準的な入試問題、という印象です。
昨年は大問3問のうちで1問だけが難しい、といった構成でしたが、今年は標準レベルの問題が5問そろっています。[Ⅴ]では時事の知識問題(小問集合)が久しぶりに登場しました。
桜蔭志望者なら解いたことのあるような問題ばかりでしたので、戸惑った受験生はいなかったでしょう。昨年のような難問がなかったほか、正答率90%以上になりそうな易問もやや減り、70~80%台であろう問題が増えたように思います。計算ミスなどの取りこぼし、解法知識の量と確実さ、スピードで少しずつ差がついていく、桜蔭らしいサバイバル入試問題でした。
少し詳しく見ていきます。
問1だけ少し難しいですが、他は簡単な問題です。問1で時間をかけすぎず、確実に残りを解けば、この段階で脱落することはまずないでしょう。
記述問題は思いつきと、字数調整が必要なものでした。時間的にも内容的にも要領よくまとめられたかで差がついたことと思います。
実験問題は相変わらずの情報の少なさです。シンプルな表から多くのことが読み取れる力を求めているのでしょう。内容は「調べたいこと以外の条件がそろった二つを比べる」という王道的なものですが、後半はかなりの論理力を求められる問題でした。
カロリー計算が出題されました。桜蔭志望者なら解いたことがある問題でしょう。レベルとしてはさほど高くありませんが、慣れていないと時間がかかってしまったかもしれません。
完成された受験生を求める桜蔭中ですので、穴や練習不足があると命取りになります。
比較的親切な問題文の出題でした。図から電流の流れがたどれれば解ける問題ですので、ここはあまり差がつかなかったことと思います。
シーベルトとベクレルの違い等、やや詳しいところまで問われています。iPS(細胞)も表記まで見られるのでしょう。正確に覚えている、きちんと勉強している受験生を求めていることが端的に伝わってくる問題でした。
今年の入試ではどこで差がついたか、少し判断が難しいところです。どの大問にも1~3問程度、差がつきそうな問題が振り分けられていました。強いて挙げるとすればⅢの熱計算でしょうか?
桜蔭志望者はこの手の問題が得意な受験生が多いですが、一般的には「やや難」とされるレベルの問題です。問題文も少し読み取りにくいため、条件整理で時間を取られた受験生もいたかもしれません。ここに手間取るとライバルに大きく差をつけられてしまったことでしょう。
「合否を分けた一題」はⅢを取り上げることにします。
[1]
問1 気が抜けるほどのサービス問題ですが、だからこそ慎重に、逆にしたりしないように気をつけて答えましょう。
「A 100℃/ B 0℃」
問2 サービス問題が続きます。とけ終わりの目盛りを読むだけです。
「9分後」
問3 ふっとうは100℃で始まりますから
「19分後」
問4 aの方がbより傾きが急になっています。これは短時間で温度が上がる、つまりあたたまりやすいということです。
「イ」
問5 条件を比較しましょう。
はじめのグラフが
-20℃の氷100g に対して
-30℃の氷200g ですから
①始点が-30℃になっている
②重さが2倍なので、氷がとけるのにかかる時間も2倍
③とけてできた水も2倍なので、0℃→100℃になるのにかかる時間も2倍(傾きがゆるやか)
以上のことがグラフに表されていなければいけません。この条件を満たしているのは
「エ」