②文章全体の内容から考えさせる問題
まずは、設問のつながりを意識することが重要である。
設問作成者は文章全体の内容を問う問題の前に必ず、ヒントとなる設問を用意しているということである。このことを意識して解くことが大切なのである。
あともうひとつ重要なのは、設問条件を正確に読み取ることである。
なぜなら桜蔭中は、設問条件で解答の方向性を示しているので、設問条件を読み落せば、解答の方向性がわからないまま根拠を探し、答えを考えるということになり、誤答の可能性が高くなるからである。
桜蔭中の問題で設問条件を読み落とすことは「命取り」になる。もちろん、傍線部の内容をしっかり把握することは当然である。
以上のことを踏まえて設問を解いていくことが、このようなタイプの設問の攻略につながる。
具体的な解き方の例
平成17年度 一 問四
傍線部「天地人一体となった境地」が作者のいう「現実をふまえ、現実をこえる虚構」としての詩の世界だと考えられるが、どのような現実をふまえ、どのように現実を超えていると言えるのか。詩の内容に即して説明しなさい、という設問。
この文章には、この作者のいう「虚構」についての説明が書いてあるので、その内容を踏まえていることが前提の問題である。
まず、設問条件の通りにこたえていく。
詩の内容から⇒①現実にあたるもの
詩の内容から⇒②現実ではないもの=幻想
詩の内容から⇒③②のきっかけ
をそれぞれ考える。
さらに、問二、三がヒントになることを押さえる。
次に、筆者の解説文から上記の内容に当てはまる部分をそれぞれ考える。
すると・・・・・・
① ⇒二本の手で泳ぐことが詩の中の「現実」=事実
② ⇒傍線部⑤と直前から、自然と一体化した感覚を持っている心理状態=幻想
③ ⇒問二で解いたように、筆者は詩の表現から透明感、一体感を感じることを述べたうえで、「およぐひと~月をみる。」という表現の解釈で②へと結び付けているので、これが②のきっかけである。
ということが分かる。
あとは、これらの構成を考えてまとめていく。(①→③→②)
(説明の都合上、このような構成にしたが、この問題を実際に考えるときは、②⇒③⇒①という順で考えたほうが無難である。解答の「後ろ」の部分から考えることによって、解答の方向性を正確につかめるからである。この「後ろ」の部分は、文章の終わり、もしくは傍線部付近であることが多い。)
注目の問題
短い文章を二つ、もしくは三つ出題し、設問条件によって、それらの文章をつなげて答えさせる問題が、22年度の一 問四(2)と16年度の一問七に出題されているので、注意が必要。
例えば22年度の問題一 問四(2)では、「百枚の写真より一枚のスケッチが重要である」と筆者が考えた理由を二つ目の文章で考えさせたうえで、それと同じ内容を一つ目の文章から探させている。
このような問題は、出題されている文章の要点を理解したうえで、設問条件に合わせて、それに該当している部分を探し、記述化していくという手順を踏んでいく必要があり、小学生にはかなり高度な問題である。
解き方のコツとしては、
① 段落の要点を押さえながら、文章を読んでいく。
② 設問のつながりを意識する。
(平成22年度の問題では、問四(1)以外にも、問一が答えの重要なヒントになっている。ただ、問一と問四(2)の解答が重なっているのは気になるが。)
③ 設問文で聞いていることや、その解答の手掛かりとなる設問条件をしっかり読み取る。
などがあげられる。