では、これから桜蔭中の入試問題の攻略方法を文章編と設問編に分けて具体的に提案させていただく。
まず大切なことは、丁寧に読んで、しっかり理解するという意識を捨てることである。抽象的な内容で、小学生には身近ではないテーマが扱われているうえに、語彙も難しい。語注も最近は少ないので、あてにならない。
このような文章をいくら優秀な生徒とはいえ、限られた時間の中でしっかり理解することは不可能に近い。
だから、初めからそれを求めずに、形式段落ごとに内容を整理しながら読んでいき、文章の概略
をある程度(どんなことが、どの辺りに書いてあるか、話題の中心は何か、筆者が感じたことや考えたことは、どんなことかをおおまかにとらえる程度)押さえればよいとある意味開き直って読むことが重要である。
また最近の傾向として、短めの文章を2題、3題用意し、それらの文章をつなげさせて答えさせる記述問題が出題されることがあるので、このような文章題が出題されたら、必ずそれぞれの文章の共通点を考えておくことが大切である。
①具体例と抽象(話題の中心、筆者の考え、心情)を区別する。
②形式段落ごとに、抽象の部分に印、線をつける。(形式段落そのものが具体例の場合には、その前後の段落が抽象の段落になるので、その段落の内容を重点的にチェックする。)
③繰り返しの言葉、対比表現をチェックする。→桜蔭中は、話題が繰り返されたり、対比関係になっている文章が多いため。(もちろん、これは桜蔭中だけでなく他の説明的文章の読解でも通用する方法である。)
④指示語の内容は明らかにし、順接、逆接、言い換えの接続語の前後の文に注意する。
→文脈を正確に理解するため。
⑤桜蔭中の文章は、文章のはじめと最後を重点的に読むなどの手法は全く効果がないので、やめておく。また、傍線部の前後だけ読んでおく、解きながら文章を読む、設問を先に読む、などのいわゆる受験テクニックも全く通用しない。必ず、最後まで読んでから問題を解くこと。
⑥傍線部の前後は、特にしっかり読んでおく。(上記で述べたように、くれぐれも傍線部や前後だけ読むようなやり方はしないように。)
→桜蔭中の問題は、某国立大学の現代文の問題のように、傍線部の意味を踏まえて答えるものがほとんどなので、特にチェックする。
⑦短めの文章が複数出てきたら、それぞれの文章のつながり【共通点】を意識しておく。
長文なので、一気に読むのではなく、場面分けしながら内容を整理して読んでいく方が効果的である。
また、必ず中心人物の心情の変化を問われるので、文章前半の気持ち→変化のきっかけ→変化後の気持ちを押さえながら読むことが重要である。
さらに、中心人物の境遇や特徴を掴んでおかないと、最後の心情の変化の記述問題が解けないので、しっかり押さえておく。
①起(事の始まり、設定)、承、転(主人公の心情が大きく変化するきっかけとなった事件)、結(文章の結末)を意識する。(特に起、転、結は重要。)
②時間、場所の大きな変化、登場人物の変化、中心人物の心情の変化に注意しながら、①を踏まえ、場面分けをしていく。
③文章の前半の書かれてある中心人物の境遇や特徴に線を引く。
④中心人物の心情表現に線を引きながら、その理由となる部分をチェックし、→で結んでおく。(因果関係を意識しながら読むと心情が具体的になり、分かりやすい。)
桜蔭中で出題される物語文は『セリフ』が心情のヒントになることが多いので、要注意!!