桜蔭中の国語は、今年度の入試問題に象徴されるように相当高いレベルの国語力を求められている。特に、説明的文章が苦手な生徒は、いくら国語の成績が良くても苦戦するだろう。なぜなら、まず説明的文章の語彙の難易度が相当高い。正直、大学入試レベルに近いものがある。
さらに、ここ3年の傾向から説明的文章の難易度がやや下がっているが、文学的文章の難易度は相変わらず高いので、説明的文章で点数を稼がないと苦しい。
また説明的文章は、答えの手掛かりが明確な分、記述問題でも比較的差がつき易いので、説明的文章が苦手な生徒は、この点でもかなり不利であろう。
一方、設問を見てみると、桜蔭中の国語の入試問題は、設問のつながりや設問文の条件をしっかり意識して、解答を導くことが要求されていることに気づく。これは受験者が、設問者の意図を読み取る論理性があるかどうかを、学校側が確かめたいのであろう。
以上、大学入試に通じる高いレベルを要求される桜蔭の国語は、間違いなく筑駒、灘はもとより開成中や麻布中などの男子御三家をも凌ぐ、トップクラスの入試問題であろう。
これから、この桜蔭中の傾向や対策を具体的に見ていく。
①総字数は6000~9000字程度。(400詰め原稿用紙15~22枚程度)
②説明的文章、文学的文章の2題構成。
③説明的文章は、詩(平成21、17年)、絵画(平成22、15年)、連歌(平成18年)などの文芸論や言語や読書(平成18、19年)に関する題材が多い。
一方、文学的文章は友人関係や家族関係を通して、少年や少女が精神的に成長していく姿を描いたものが多く、生き方や死などの哲学的なテーマを扱った文章がほとんどである。
①文学的文章の設問数は3、4問程度で、説明的文章は5問程度。とくに説明的文章は設問同士がつながっていくので、注意。
②文章題の問題はほとんどが記述式で、総字数は平成18年900字→22年520字と減少傾向だが、自分の言葉を補って説明する度合いが高いので、難しく、時間的にも厳しい問題ばかりである。
③桜蔭中の記述問題は、字数制限がないものがほとんどだが、文学的文章の最後の問題だけはだいたい200~250字程度の字数制限がある。他の問題はだいたい解答用紙の枠から推測すると平均50~60字程度の字数でまとめればよいであろう。
④漢字の書き取り問題は、説明的文章から多く出題される。
⑤穴埋め問題(語句を入れる問題)が1題程度出題される。
⑥説明的文章で、短めの文章を2題、3題用意し、それらの文章をつなげて答えさせる記述問題が出題される傾向がある。(平成16、20、22年)
⑦傍線部の意味を問う問題が多く、必ず心情の変化や主題、要旨をまとめさせる記述問題が出題される。
以上のことを踏まえ、文章のジャンル、設問のタイプを表にすると次のようになる。
項目 / 年度 | 22年 | 21年 | 20年 | 19年 | 18年 |
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文章のジャンル | 随筆文 物語文 |
説明文 物語文 |
随筆文 物語文 |
随筆文 物語文 |
論説文 物語文 |
漢字・語句、 知識問題 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
選択肢(細部) /抜き出し |
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選択肢 (内容一致など) |
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記述(細部、 指示語、穴埋め) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
記述(文章全体の 心情の変化) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
記述(人物の 特徴、性格) |
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記述(主題、 要旨把握) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
意見作文 |