まず、単元ごとに何を学習するのか書いてあるので、それを授業に入る前によく理解しておく。ただし、授業で扱う文章を事前に読んでしまうと、初見の問題への対応力が育たなくなるので、やめておこう。なぜなら、実際の入試では、初見の文章が多いからである。
予習シリーズは、学習内容が体系的になっていて、基本と発展問題があるのでレベル調整もしやすい。あと、副教材も充実しているので、逆に講師の教材の取捨選択が鍵を握るであろう。桜蔭中を目指すのならば、予習シリーズの「発展」を中心に、演習問題集にも取り組んでいこう。6年の後半は、演習問題集の「完成」版をしっかり学習できるようにしておくことが望ましい。
予習シリーズや、副教材(漢字、語句)をしっかり学習すれば、漢字問題、細部の心情把握などは充分であろう。しかし、補わなければならないこともある。
それを以下に示す。
予習シリーズで扱う文章はどちらかといえば短文なので、桜蔭中志望者はまず長文に慣れる必要がある。
例えば、入試問題から桜蔭中によく出題されるテーマを扱った文章(文芸論を述べた文章や、哲学的な文章、少女の心情を描いた文章)を選んで読ませるといった方法がお薦めである。
*豊島岡、フェリス女学院などの文章がいい練習になるであろう。
*市販されている「塾で教える国語・実戦問題集」(文英堂)もお薦めである。
予習シリーズでは、やはり授業中の記述問題の演習量が少ないので、これを他の教材や過去問でカバーするしかない。四谷大塚では、おそらく志望校別特訓等でカバーすると思うが、スタートは6年の後半なので、絶対的な記述問題の演習量はサピックスや日能研(ただし、コースによるが。)に負ける。この二つの塾で、桜蔭中に170名を超える合格者を出しているので、やはり授業での記述の演習量が多い塾が有利だと言えよう。したがって、早いうちに(できれば5年生から)、記述問題に多く取り組んでいってほしい。
具体的には、市販の各学校の過去問を集めた問題集(みくに出版で出しているものがお勧め)を使って、論説文や説明文の傍線部の言い換えの問題や、物語文の心情記述の問題をピックアップし、それを丁寧に解く。わからない場合は、模範解答を見て逆に考え方、まとめ方を学習するとよい。
添削は、なるべくプロ(塾)の先生にしてもらう。そこで、何が足りないのか、確認するとよい。さらに、解き方を教えてもらうと一石二鳥である。(なるべく、普遍的な方法を教えてもらうようにする。)
まだこのような学習が難しい場合は、市販のテキストを使い、記述力を上げていこう。
具体的には、
① 出口先生の論理エンジンを使った「読解・作文トレーニング」4~6年を使い、論理的思考力、記述力の基本を身につける。
② 啓明舎の「名作できわめる中学受験の記述高学年用」か、四進ジュニアの「記述完成」Ⅱ、Ⅲを使って、記述力を強化する。
というふうに取り組むとよい。
さらに四谷大塚の先生に添削+アドバイスしてもらうとよい。
*早稲田アカデミーでは、所謂「NN」【5、6年】や記述演習問題集(6年生後半)でカバーできる。ただし、NNに入るためには試験に合格しなくてはならず、そのための学習が必要不可欠である。したがって、かなりの負担を強いることになる。
また記述力を上げるために、サピックス、日能研編でも述べたが、記述問題を(もちろん記述問題だけに限らないが)、むやみにたくさん解いてもあまり意味がない。そもそも記述問題は、論理的な思考問題なのだから、一つの設問を深く考え、思考錯誤を繰り返しながら、問題と格闘することによってしかレベルアップはできないのである。
したがって、このような考え方やまとめ方まで意識した学習が必要不可欠なのである。
さらに記述力を伸ばすためには、講師の質も問われる。
演習形式だからといって、単純に、「考えろ」しか言わなかったり、解説を一方的にして終了したり、量をたくさんこなすことばかり求めたり、反論を認めず、自分の意図とする解答しか認めないような講師ならば、上記のような「試行錯誤」や「深く考えること」などを生徒ができるはずもなく、したがって論理的思考力を身につけることは、不可能になる。
講師がうまく問いかけて、生徒を解答へ誘導しながら、あくまでも生徒自身に答えを出せる、そんな指導ができてこそ、はじめて論理的思考力を伸ばすことが出来るのである。
だから、親が授業内容や講師の指導方法を把握しておかなければ、この講座を効果的に活用できないまま、終わってしまう可能性が高い。その点を意識してこの講座をとってほしい。