一 | 問一A 問二A 問三 C 問四B 問五C |
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二 | 問一A(a・dはB) 問二A 問三B 問四B 問五B 問六 B |
A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
今年度の桜蔭中の問題ですが、文章内容の理解にはさほど苦戦するようなものはなかったものの、全体的に取り組みにくい問題が多かったといえます。いずれの大問にしても精読を前提として、その解釈まで求められる問題です。文中の根拠をつなぎ合わせ、「確からしい」解釈を時間内に行うことが重要になります。設問の要求をしっかりとつかみ、必要な場所を即座に見つける地力が要求されたといえるでしょう。
漢字に直したうえで、解答欄に当てはまる熟語にする問題です。基本的な知識ばかりなのでここは満点を目指したいところです。
副詞の空所補充問題です。空欄周辺の情報を使って解答を導いていきます。どこに修飾していくのかをきちんと考えながら解答していけばさほど苦戦する問題とは言えません。
傍線部の理由を記述する問題です。ただし、理由はそれぞれ二点考えなければならないという点で厄介な問題でした。特にAの方はきちんと読み込んでいかなければ明確な理由にあたる内容がすぐには見当たらないため、表面をなぞるような読解では通用しない問題といえます。
「かえちゃんだって」という表現にこめられた内容を記述する問題です。表現にこめられた内容を考える問題は昨年度も同様の出題がなされていたので対策を積んできた受験生からすればさほど苦戦する問題とは言えないでしょう。とはいえ簡潔に書きすぎることなく桜蔭が求める解答の分量をきちんと意識して取り組みたい問題です。
最終問題ですが、解答の軸は二点あります。まずはかぎかっこがついていることの効果を説明すること、そしてもう一つはこの部分でのおばあちゃんの思いを説明することです。前者の説明になかなか苦戦した部分があるかもしれません。ただ後者については比較的容易に解答を導き出すことができたと考えられます。部分点をしっかりと取ることを意識していきたいところです。
いずれも漢字自体は平易ですが、「a茶化す」と「d訳知り」についてはスムーズに思いついたかどうかが鍵でしょう。
桜蔭では何度か出題されたことのある空所補充の記述となります。内容自体は直前の「それも」に注目できれば容易に特定できるでしょう。ただ、直前のローマ人の話が具体例であることを考えるとこの空所にはある程度抽象化された内容を組み込む必要があります。
指示語もあるので指示内容をしっかりとおさえる必要があります。解答の条件である「たとえを用いて」という内容に惑わされた受験生もいらっしゃったのではないでしょうか。「具体的に」ということから考えても今回の「たとえ」は「例え」ということで理解する必要があります。きちんと具体例を用いて解答していきましょう。
「テレビゲームのような映像」を流した理由、意図を記述する問題です。戦争を伝えるにあたってこのような映像を流すことにどのような意図があるのかを他の具体例から考えていく必要があります。これは、本文の主張でもある「情報操作」という観点からの説明も必要となります。
「大いなるフェイク」という抽象表現を具体的に説明し直す問題です。解答部分自体は傍線の近くにもあるので、その点をしっかりとおさえつつ説明しましょう。まずは傍線部を含む一文の主語・述語をおさえ解答の核を決めることが肝要です。
全体把握の問題です。解答に必要な個所ははっきりしているので、内容自体に苦労する問題ではありません。ただ、他の問題に時間をかけてしまうと、この問題に時間がかけられなくなってしまうでしょう。そうするとまとめ上げるのに苦労したかもしれません。
今年の桜蔭中の問題はやや取り組みにくい問題もあったように思います。また、それぞれの設問のボリュームもあったので時間が足りなくなった受験生もいらっしゃったのではないでしょうか。そんな中でも解答に苦戦しそうな問題として大問1の問五をとりあげたいと思います。
線(2)はなぜ( )付きなのでしょうか。また、どのような思いが込められているのでしょうか。よく考えて説明しなさい。
表現効果の問題でもあり、内容の説明問題でもあります。最近のトレンドともいえる表現の意味をしっかりとおさえる問題です。
まず問われているのは①( )付きである理由、そして②そこに込められた思いの2点になります。このように複数の設問となっている場合には、まず一つずつ解答を考えていきましょう。無理にまとめて書こうとするとうまく解答が作り切れなくなる場合があります。
初めに①から考えると、( )がつけられた文というのは、会話文と異なる「心中表現」の文といえます。とすると、この部分はおばあちゃんの心のうちを表していると考えることになります。したがって、この「うんと、うーんと、ゆっくりおいで」という心のセリフを表に出さなかったことに対してどんな意味があるかを考えることが、解答のポイントになります。
これまでのことをふまえて文章理解に。この文章は、死んだおばあさんが小さくなって孫に会いに来るという話です。そしてその孫への最後のセリフが上記の部分となります。この「ちいさくなる」というのは「死んでしまうこと」を指しているというところまで理解ができれば、「ゆっくり小さくなること」は、「長生きしてほしいということ」の表れと言えますし、それを心の中で話しているということは、表には出さないものの深い孫への愛情があると考えられます。以上の点をふまえてまとめていけば解答の完成です。