一 | 問一A 問二A 問三B 問四A 問五C |
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二 | 問一B 問二B 問三A 問四B 問五C |
A…桜蔭中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
漢字の書き取りの問題です。
空欄に入る適切な修飾語を確認する記号選択問題です。
傍線部の内容を筆者の具体的な経験に合わせて説明する記述問題です。
まずは傍線部の内容を「見つめる…こと」と「頭の中の思い込み」という対比でとらえましょう。そのうえで次の段落の内容をみると、「…純粋な目で…見ること」と「夕焼け…思うだけで…既知…なぞるだけで済ますこと」が対比であることが確認できます。設問は「『頭の中の思い込み』とは、筆者の体験ではどういうもの…か」とありますから、「夕焼け…思うだけで…既知…なぞるだけで済ますこと」の部分が解答の“材料”となるわけです。あとは「既知」というやや難しい言葉をやさしい言葉(注釈にあります)に直し、「なぞる」という比喩的な表現を分かりやすく言い換える作業を加えれば、正解に近づけます。
傍線部の内容と反対の意味を表す語句を抜き出す問題です。
傍線部の「向こう側の世界」と対比の関係にある言葉は、次の傍線部の「こちら側」です。この段階で、問三で確認した段落での対比関係が想起されれば、何の問題もありません。答えはすぐに検索できるはずです。
比喩的表現で抽象化された意味を具体的に説明する記述問題です。
設問は細かく3点に分けることができます。
1点目は、「こちら側の世界にない宝」が「どういうもの」であるかということです。まず、この内容を確認しましょう。問三および問四で確認した段落にまた戻ります。「宝」という比喩的表現が「すばらしいもの」という意味であることから、「…豊饒で未知なる世界」が拾えるはずです。さらに、それを経験するための「条件」として、「…純粋な目でものを見る」という部分も使えます。
⇒「純粋な目でものを見ることによって経験できる豊饒で未知なる世界」
2点目は、「持ち帰って(くる)」とは「どうすること」かです。しかしながら、これを直接説明している表現は見つかりません。いったん保留にして3点目を確認しましょう。
3点目は、「だれが」持ち帰ってくるかです。これは易しいですね。むろん、「詩人」です。
ここで1点目と3点目を合わせてみましょう。
⇒「詩人が、純粋な目でものを見ることによって経験できる豊饒で未知なる世界を…」
詩人である以上、何をするかと言えば、「何かを表現する」はずです。それを前提にして、最終段落を確認してみましょう。「言語を超えた世界」とあります。この「言語」をただの「言語」としてひとくくりにしてしまうと、説明が行き詰ってしまいます。そこで、「分割」を試みます。この文章では、「見る」という一見すると何でもなさそうな行為を「日常生活の意識で見る」と「純粋な目で見る」というように分割して説明していました。これにならって「言語」も分割するとどうなるでしょうか。
⇒「日常的な言葉」と「日常性を超えた新しい言語」
3点合わせてみましょう。
⇒「純粋な目でものを見ることによって経験できる豊饒で未知なる世界を、詩人が日常
性を超えた新しい言語で表現すること。」
解答までの思考の過程はなかなか複雑です。難問のひとつと言ってよいでしょう。
比喩的に表現された具体的な言葉の意味を説明する記述問題です。
傍線部の内容から「現実にはない」という意味はすぐに想起されるはずです。しかし、これだけでは十分な説明とは言えません。傍線部の前後を見ると「…伯父さんが好き…そういうところが気に入っている」とあります。よって、この「現実にはないもの」にプラスの意味を加える必要が生じます。「豊かな想像」や「自由に表現する」などの言葉が用意できれば、適切な解答が作れるでしょう。
意識的な言動に込められた心情を具体的に説明する記述問題です。
傍線部の直後に「娘の落胆に先回り…」とあります。娘が何に落胆するかと言えば、もとろん「おじさんが…島を離れられなくなった(沖縄から帰って来られなくなった)こと」です。では、なぜ「先回り」したのでしょうか。読み進めていくと「『あんなに一所懸命…待っていたのに』」とあります。娘を気づかっているわけです。「もともと(娘が)どのような気持ちでいたか」という点と「先回りすることで(娘を)どうしてあげたかったか」という点を合わせることで正解は導けます。
言動に現れた心情を具体的に説明する記述問題です。
傍線部には「父親は…ほんの二口三口だけで…押しやった」とあります。この父親の様子を説明する内容として、「…手をつけないのは悪いと思った…」と「…父親は…果物…を好まず…」の2点はすぐに確認できるはずです。あとは傍線部の手前を見直しましょう。「少女は……浮き立つようだった」という表現から、「娘はおいしそうに食べている」という意味が導かれます。これを合わせれば、答えの要素はそろいます。
「合否を分けた一題」として解説します。
傍線部が表す内容と比喩的表現が強調する心情を具体的に説明する記述問題です。
問われていることは大きく2つに分けられます。
まず1点目は、「言おうとしている中味」が何であるかということです。これは傍線部のすぐ後で確認できます。
⇒「木になった魚」
しかし、これでは唐突過ぎて、文章を読んでいない第三者に対して親切ではありません。そこで、文章後半の主人公のつぶやきと関連付けて、説明を付け加えます。
⇒「マンゴーの種を見て、まるで『木になった魚』のように感じた。」
2点目は「中味…がかわいそう」という表現が強調する心情が何であるかということです。
傍線部の直前を見ると「…疑われたり、うそつき呼ばわりされたり…」とあります。
⇒「(疑われたり、うそつき呼ばわりされたりすることが)悲しくてたまらない」
さらに、このような心情をもたらす「元にある考え方や心のあり方」はどのようなものでしょうか。傍線部の前に戻っていくと、次のような表現にたどり着きます。
⇒「少女には…迷いがあった。…自分には見えても人に見えないものは、見たことには
ならないのか…」
これらを整理することで正解を導くことができます。
難問ぞろいの桜蔭中の国語ですが、特に、まとめるべき範囲が広いうえに、具体化が求められる問題で差がつくことが多いです。では、具体的に合否を分けた一題を見てみましょう。
指示語が表す内容を、心情が分かるように説明する記述問題です。
①傍線部の直前の表現と合わせて、指示語が表す内容を確認します。
「…あの美しい果肉が…こういうものを抱えている…」。ここで「美しい果肉」と「こういうもの」とが「対比」になっていることに気づけたでしょうか。「美しいというイメージに合わない」意味を確認すると、次のようになるでしょう。
⇒「乾いた種」、「毛立ちがある」 ⇒「美しくない、ぶかっこうな」
↓
②次に、設問の条件でもある「母親の気持ち」を確認します。
傍線部の前に戻っていくと「これがマンゴーなの?」という表現があります。
⇒「意外、おどろき」
↓
③しかし、ここで注意せねばならないことがあります。それは、「おどろき」の気持ちが「プラスなのかマイナスなのか(あるいはどちらでもないのか)」を明らかにするということです。
①で確認した「美しい果肉に似合わない、ぶかっこうな乾いた種」と合わせると、このおどろきは「マイナス」の意味にもとれかねません。しかし、傍線部の直後を見ると「…娘に見せておきたくなった」とあります。「マイナス」という解釈は適切とは言えません。
⇒「不思議、心ひかれる」
④そうなると、先ほどの「美しくない、ぶかっこうな」という説明のままでは言葉が足りないということになってしまいます。ここで「目に見えない」プラスの意味を導くのはかなりレベルの高い思考作業と言ってよいでしょう。
⇒「自然のいのちの力強さ」
↓
⑤解答要素を整理します。
⇒美しい果肉をもつマンゴーからは想像できないような乾いた毛立ちのある種が隠さ
れていることの不思議さと、そこから感じられる自然のいのちの力強さ。