今年の入試は、昨年度(2012年)と比較し、難易度がかなり上がっているのが特徴です。
いくら桜蔭中を志望する生徒は読解力や記述力をしっかり身につけている生徒が多いといっても、かなり難しいと感じたのではないでしょうか。結局、記述問題の出来が合否を分けるポイントになったようです。
今年度は、一が中島義道さんの文章で、この方はカントを研究されている哲学者で、東大で教えていた方でもあります。難関大学や国立大学の入試ではよく出題される著者です。
二は児童文学ですが、文学的な内容で、「言葉」と自分の「感情」のつながりを考えていく少年の心理を描いていますので、よほど成熟した生徒ではない限り、共感しづらく、感覚で解く生徒は、ほとんど理解できなかったのではないかと思います。
ちなみに、この題材は平成21年度の海城中の2次試験でも出題されています。
その2013年度入試で、合否を分けた問題として1題を挙げるとすれば、二の問四です。
なぜこの問四が合否を分けるかというと、このタイプの問題は桜蔭中では毎年、出題されるタイプの問題であるため、いままで桜蔭中の過去問をしっかり行ってきたかどうかが試されるし、字数も200字以内と多いので、記述力の差がはっきり出た問題であると推測できるからです。
では、解き方を考えていきましょう。
心情の変化をまとめる問題なので、以下の手順に従って解いていきます。
変化後の心情と変化前の心情を対比させながら考える。
↓
設問のつながりを意識して、
変化のきっかけ+変化の理由となる心情を押さえる。
↓
【変化前の心情(だったが、)~するうちに、~を感じるようになり、変化後の心情が生じ
た。】
という形でまとめていく。
では具体的に考えてみます。
① 変化前→村田さんの言っていることがわからず、困惑している。
変化後→文章の終りからわかるように、村田さんの言っていることが分かるとともに、他の人間には見えない、そのものの深さや豊かさを実感している。
② 変化のきっかけ、感じたこと
→スクラップ作りを行っていく中で、自分のもやもやとした感情と向き合い、ほかの人が連想しないことを感じた。
以上の手順で考えて、あとは
【変化前の心情(だったが、)~するうちに、~を感じるようになり、変化後の心情が生じ
た。】
という形でまとめてみましょう。
一
問一 A問二 B 問三C 問四B
二
問一A 問二 B 問三C 問四C 問五C
A・・桜蔭中を志望するレベルなら確実に得点に結び付けなければいけないレベル
(記述問題なら8割以上の得点を目指さなければならないレベル)
B・・桜蔭中を志望するレベルなら、最低でも△以上をもらわなければならないレベル
C・・桜蔭中を志望するレベルでも、得点に結びつけるのは難しいというレベル