今年の入試は、昨年度(2011年)と比較し、難易度がやや下がっているのが特徴である。
ただ桜蔭中を志望する生徒は読解力や記述力をしっかり身につけている生徒が多いので、かえって高得点の争いになり、結局、記述問題の精度が合否を分けるポイントになったのではないだろうか。
桜蔭中では、2007年、2002年に童話を題材として用いているが、いずれも戦争、人間の在り方など哲学的なテーマを用いた文章だった。今年度(2012年度)もやはり、2007年度と同じように、人間の在り方を動物の姿を通して考えさせる内容となっている。
実は、開成中も2012年に人間の尊厳をテーマにした物語文を出題していて、麻布中も2010年度に童話を題材に、人間と社会のかかわりの中で自由というものを考えさせる内容を出題している。このようなことから、童話というジャンルも御三家、特に桜蔭中志望者は適応できるようにしていかなくてはならないだろう。
その2012年度入試で、合否を分けた問題として1題を挙げるとすれば、二の問四である。
なぜこの問四が合否を分けるかというと、この問題は桜蔭中では毎年、出題されるタイプの問題であるため、いままで桜蔭中対策をしっかり行ってきたかどうかが試されるし、字数も200字以内と多いので、記述力の差がはっきり出た問題であると推測されるからである。
では、解き方を考えていく。
心情の変化をまとめる問題なので、まず変化後の心情をとらえることが大切。
変化後は今まで避けていた「飛ぶこと」にチャレンジしたことから、定番である「勇気を与えられ、自信がついた」→前向きな行動へという心情パターンが活用できる。
さらに、設問のつながりで今までの心情(問二)、変化のきっかけ(問三)を活用して、心情の変化の記述の「型」に当てはめてまとめていけば、簡単にまとめることができるであろう。
難易度表
一
問一 B問二 B 問三C 問四B 問五A
二
問一C 問二 A 問三B 問四B
A・・桜蔭中を志望するレベルなら確実に得点に結び付けなければいけないレベル
(記述問題なら8割以上の得点を目指さなければならないレベル)
B・・桜蔭中を志望するレベルなら、最低でも△以上をもらわなければならないレベル
C・・桜蔭中を志望するレベルでも、得点に結びつけるのは難しいというレベル