問1 | A |
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問2 | A |
問3 | (1)A (2)C |
問4 | B |
問5 | B |
問6 | (1)B(2)B |
問7 | (1)A(2)A |
A…武蔵中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2020年度の武蔵中は、記述問題を中心とした出題でした。
大問は例年と同じく、一題。
今回は、「河川との付き合い方」をテーマとした出題でした。
変化する環境のなかで、持続可能な社会を作っていくために、日々、川から恩恵を受けて生活している私たちがすべきことについて考えさせる問題でした。
今年度は、テーマが河川ということもあり、地理分野からの出題が多くなっています。
しかし、武蔵中は例年、地理・歴史・公民3分野を複合問題として一つの大問として出題してきます。
今回も地理の中で歴史や時代背景を問う問題がみられました。
また、武蔵中特有の大型記述の問題も例年通り出題されていました。昨年同様、ボリュームのある記述問題となっていますので、この部分で得点ができたかどうかで、合否を分けたといえるでしょう。
しかし、今回は、与えられた資料や本文を活用することで解くことができる問題もあったことから、大型記述の作成手順を理解し、トレーニングを行うことができていれば、他の受験生と大きく差をつけることができたといえます。
問題構成は、3分野から大問1題、小問10問。
解答形式は、語句形式3問、記述が7問。記述は、1行記述が2問。50~70字の記述が2問。100字前後の大型記述が3問。100字前後の記述で得点できたかどうかがポイントです。
小問は10問とかなり少ないですが、大型記述を考えると時間に余裕があるわけではありません。
限られた時間で得点に結びつけるためには、記述を書くときの「型」や手順を定着させ、日頃からのトレーニングが重要となってきます。
(地理・歴史・公民分野)「河川との付き合い方」についての複合問題です。
武蔵中は、例年3分野の総合問題を出題します。過去の出題傾向をみると、歴史・地理の比重が高くなっています。ある一つのテーマに沿った出題のため年度によって多少の差はありますが、基本的な出題のパターンとして、リード文でテーマとしてあげた事柄について過去から現在へと歴史を辿り、現代を生きる受験生たちが今後どう社会と関わっていくのか、どのように問題解決を図っていくのかを考えさせることが多いです。
歴史と地理→現代(公民)へと移り変わりながらの出題となります。
したがって、記述への対策のみでなく、3分野の基礎知識や背景知識も欠かさず学習する必要があります。日頃の学習から知識を掘り下げて理解する意識をもち、幅広く学習することを心がけましょう。
梅雨・台風の時期である6月~9月以外の時期に、日本海側の河川や本州の中央部にある山脈に源を持つ河川の周辺地域で、洪水が起こる理由を問う問題。
「日本海側」というキーワードがヒントになります。
日本海側は、冬に降った雪が、3~4月になると解け出して雪解け水となり、河川の流量が増加します。したがって、3~4月は、台風や梅雨がなくとも洪水が起きやすくなると考えられます。
釜無川の霞堤は甲斐国の武田信玄にちなんだ名前です。
(1) 斐伊川が流れる出雲地方とは島根県のことを指します。
(2) 斐伊川を含む中国山地で20世紀よりも前にはげ山が広がっていた理由を答える問題です。
この地域では平安時代頃から、砂鉄を原料として、たたら製鉄という方法で製鉄が行われていました。製鉄では川底の砂をカゴでさらい、砂鉄を抽出する方法を用いていました。
そして、製鉄を行う燃料として必要な薪炭の供給のために、周辺の木々が伐採されたことで、中国山地周辺がはげ山の状態となりました。
信濃川において大河津分水路が建設されたことにより起きた弊害を答える問題です。
大河津分水路ができた結果、大河津分水路の河口では上流から土砂が流れ込み陸地が広がる一方、信濃川の河口では、流れ込む土砂が少なくなり、海岸が浸食されていきました。
合否を分けた一題で取り上げます。
(1) 国の歳出に占める治水工事関係費の推移に関する問題。
今回は、図4を読み取り答える、資料読み取り型の記述問題です。
図4からは、21世紀以前には、治水関係費の割合は2%前後でしたが,21世紀に入ってからは割合が低下し、2010年以降は1%を下回っていることが読み取れます。
(3) 治水工事をめぐる現状と課題に関する問題。
今回も問5に続いての大型記述の問題です。
まず、設問の整理を行っていきます。
今回の設問の中心は、現状での国や自治体の治水政策が抱える課題です。
そして、近年の水害状況のあり方に触れることが条件となっています。
この条件が、今回の設問を解く上での重要な手がかりです。
近年の水害状況のあり方は、本文に書かれています。この内容を整理していきます。
最終段階の一つ前の段落をまとめると、以下のようになります。
ダムや堤防の老朽化がすすみ、今後、施設の維持管理や改修費用が多くかかるようになる。
さらに最終段落でも近年の水害状況について触れているため、この部分も整理していきます。
河川の多くは複数の地方自治体をまたがって流れているため、河川の流域全体を見通した治水事業も必要となる。
以上の水害状況から導き出される課題を考えます。
図4でもみたように、国は治水にあてる財源を十分に確保できていないという状態にあることが考えられます。
これらの内容をまとめて記述します。
【解答例】
ダムや堤防の老朽化がすすみ、今後、施設の維持管理や改修費用が多くかかるようになる。
また、河川の多くは複数の自治体をまたがって流れているため、河川の流域全体を見通した治水事業も必要となる。しかし、国や自治体は治水にあてる財源を十分に確保できていないという状態にあるという課題。
(1)浸水・洪水ハザードマップで重視される情報は、浸水時の範囲や深さです。
(2)ハザードマップには、洪水、高潮、津波、土砂災害、火山、などその地域の災害に応じた種類があります。
これらの中で自身が最も説明しやすいものを例に挙げて記述することが求められています。
解答の方向性を考える上で、大切なことはハザードマップの果たす役割について触れることです。
ハザードマップとは、災害の場所や被害範囲を予測した地図です。したがって、解答の方向性としては、「事前の準備が必要である」となります。その準備の内容を具体的に説明することを心がけて記述するようにしましょう。
【解答例】
津波ハザードマップは、過去に発生した津波から浸水すると予想される地域が示されているため、このハザードマップをもとにして、避難方法や道順を確認するなど、津波がおきたときの具体的な行動計画を立てておく。また、自宅周辺から高台などへの避難経路だけではなく、学校や公園といった自分が行
くと考えられる場所から近い避難場所を調べておく。学校では、集団で移動することも予想されるため、掲示物としてハザードマップを設置して学校の生徒とも共有しておくこと。
武蔵中の記述問題は、(複数の)資料・写真・図を読み取り記述する問題が例年出題されています。
日常の学習では、頻繫に触れるものではないため、類問演習や過去問を用いた対策が必要となります。
しかし、資料やグラフの裏側には、各分野の基礎知識が必要とされている問題も多くあることから、基礎的な知識に対する学習をおろそかにすることはできません。
9月になるまでに、各単元の基礎をしっかりと定着させることを念頭に置いて学習を進めてください。
この問題で合否を分けるポイントは、設問の整理を行い解答の型を定めることと、正しい資料の読み取りです。
この2つのポイントを過去問演習の際に意識して進めることで、解答力が養成されていきます。
記述問題でどこまで得点を伸ばすことができるかが、合否の分かれ目といえます。
記述量を考えると、配点も多くなっていると考えられますので、一点でも多く得点を重ねられるよう、記述の解答作成のための力を身につけ、解法の手順とポイントをおさえましょう。
第二次世界大戦後の日本の水害被害の状況について記述する問題。
設問では、「本文と図3」を参考にして、とありますが、本文・図3の内容を含めて記述していきましょう。
本文の第二次世界大戦後について書かれている部分を整理します。
上から5段落目をまとめると次のようになります。
高度経済成長期頃になると各地で、ダム建設や堤防建設などの治水工事が進められた。
水害の発生しやすい川沿いの低地は宅地化や商業地化が進められた。
次に図3の内容を読み取ります。
1960年代までは死者数が多い年に、被害額が大きくなっている。
1970年代以降は、水害による死者数は減ったが、被害額は高くなっている。
これら2点を合わせて解答します。
【解答例】
1960年代までは死者数が多い年に被害額が大きくなる傾向にあり、各地でダム建設や堤防建設などの治水工事が進められ、その結果死者は大きく減った。一方、水害の発生しやすい川沿いの低地は宅地化や商業地化が進められたため、水害が発生すると死者数は多くなくても被害額が高額になってしまう状況が見られるようになった。