記述型入試では、与えられる解答スペースの大きさがポイント。何をどれくらい書かなければならないかを判断する、ひとつの指針となります。武蔵中では十分すぎるくらいの解答スペースが与えられます。つまり、記述量に制限を設けていないと言えるでしょう。
そこで要求される答案作成力。具体的には、字数を気にせず自由に書ききる「記述力」と自らの思考過程を正確に伝える「表現力」です。
この2つの力をつけるためには、どのような対策が必要なのか、考えてみましょう。
まず、答え以外に何も書けないというのは論外。さらに、式の羅列と計算過程を残すだけでは通用しません。「僕はこのように考えて答えを求めました」というアピール、つまり「解答方針を“言葉”や“図”を駆使して示す」、「方針を示してから答えを出すまでの過程を“式・計算・言葉・図”により説明し尽くす」必要があります。
「(1)書き過ぎるくらいに書きたいことを全て書いてみる → (2)余計な部分を削ぎ落とす・回りくどい部分を別の表現に置き換える → (3)過不足なく説明し尽くした答案に仕上げる」という一連の答案作成練習を添削とセットで繰り返すことで、徐々に添削される部分が減っていきます。
武蔵中の答案作成においては、(1)・(2)が重要です。類型化した表現で簡潔にまとめた一見美しい答案よりも、多少見栄えは悪くともポイントを書き切った答案の方が武蔵向き。高難度の問題が出た場合には、部分点狙いの答案にする必要が出てくるため、その意味でも美しい答案を追求するよりも、書けるところまで書くという姿勢を保ちましょう。
武蔵中の算数は発想力・思考力重視。中途半端に知識・解法で武装した受験生が、その小手先のテクニックを持ち出すと泥沼にはまるような問題が散見されます。
ここで注意したいのは、けっして算数の知識・解法が不要というわけではなく、それらを完璧に理解したうえで自分の中に落とし込む必要があるということです。この「完璧な理解」が伴わない限り、知識・解法を武蔵中の算数で運用することは難しいでしょう。
典型的な事例がH16[3]。帽子を2つかぶった人のイラストが描いてある、超有名問題です。それ以前に駒場東邦中や豊島岡女子中でカタラン数が出題され、どの塾でも上位生はその問題を経験済みでしたが、流行が終わった頃に、しかも「0から始まるカタラン数」ではなく「+2から始まるカタラン数」として出題されたため、完璧な理解を伴わずにカタラン数の知識を持ち出した受験生はことごとく失点しました。
この問題を正答したのは、カタラン数を完璧に理解していた受験生と場合分けをして調べ上げるという手法をとった受験生だったのです。
完璧な理解を伴って知識・解法を定着させたあとは、発想力・思考力を鍛えるために、2つの「しこう」の練習を重ねます。2つの「しこう」、つまり「思考」と「試行」を自らの力で推し進めることができるようにしていきましょう。
取り扱う素材は、やはり武蔵中の過去問が最適です。 H22[4]と同タイプが昭和年度に、H21[3]と同タイプが平成元年に出題されているように、過去に出された問題のリメイクが出題されるケースが目につきます。前述のように出題形式・出題分野にほとんど変化がないことからも、過去問演習を昭和年度まで遡って取り組むと効果的です。
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