「算数の傾向分析」で述べた出題傾向を踏まえて、これまでの武蔵合格者と共に私自身が実践してきたそれぞれの攻略法をお伝えします。
武蔵志望者であれば十分訓練を積んできたはずの問題以外に、既成パターンの枠をこえた、その場で考えるタイプの問題が見られます。このタイプは仕組みさえ理解できればあっさり解けてしまうことが多く、合否を分ける問題となります。
問題文の内容をどう整理するかによって着眼点のつかみやすさが変わってくるので、日頃から線分図なり表なり、様々なツールを用いて整理する練習を積んでおきましょう。
太古の昔から相当算は頻出です。歴代の相当算の中でも高難度のH17[4]や、直近のH20[3]のように、割合と比の文章題では条件からの絞り込み・調べの作業を伴うことが多いのが特徴です。
速さと比の問題が大部分を占めます。難易度は武蔵中を志望する生徒にとっては標準的なもの。合格のためには落とせない問題ばかりです。直線上の進行図・ダイヤグラムの双方を書けるようにしておくこと、典型問題の演習量を削らずに速さと比の問題に習熟しておくことが肝要です。
●平面図形
面積比と線分比が大部分を占めます。特に、補助線を引いて相似な三角形を利用するパターンが頻出です。過去問演習を進めるうちに、数年に1度の割合で同パターンが登場することに気付くはず。他の分野と比べて易しめの問題が多いので、速さと同様に合格のためには落とせません。
なお、円周率については、H16以降「3.1」の指示が出されています。「3.14」の円周率計算の数値を覚えている受験生が多いでしょうから、それに引きずられないよう要注意です。
●立体図形
平面図形と比べて頻出とまでは言えない立体図形。分野別分析表に載せた直近5年間では目立ちませんが、昭和から平成にかけて水そう問題が多いのが特徴です。この辺りにも目を配って問題演習を行っていきましょう。
武蔵中の算数ではお約束の調べ上げる問題。直近5年間を見ても、頻出の不定方程式以外に、約束記号について整理して調べ上げる問題、整数についての調べ上げに「場合分け」や「約数」などの要素が絡む問題、といったように、様々なタイプが出題されています。
普段使用しているテキストだけでは到底まかないきれないのがこの分野。他校の入試問題で、類似した問題を素材として使用するのも有効です。算数が得意な生徒は筑波大附属駒場中、栄光学園中など男子最難関校の問題に取り組み、算数が苦手な生徒は桜蔭中の問題で慣らしてから徐々に男子難関校の問題にシフトしていきます。
ただ、他校の問題は、“いかにも武蔵らしい”という色彩からは少々ずれてしまう点は否めません。可能な限りさかのぼって、武蔵中の過去問に取り組むことが優先です。
なお、不定方程式については、倍数や一の位の数、奇数・偶数に注目して解くため、数の性質についての知識を固めておきましょう。
出題形式・出題内容が安定しているのに対して、問題の難易度については、H19・H20が易化、H21が難化、H22が易化と上下し、近年は安定しているとは言い難い状況です。かつての武蔵中を知る世代からすると、随分と易しくなった印象を受けます。
近年の易化したレベルに標準を合わせるのではなく、H21のレベルでの出題に耐えうる力をつけるべく、問題演習を積んでいきましょう。
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