9月以降の学習は、あれもこれもとやるべきことの多さに振り回されないようにしましょう。
〈1〉過去問演習、〈2〉SS特訓、〈3〉前述〈1〉・〈2〉の出来具合を踏まえての問題演習補充、〈4〉平常授業の復習、の優先順位で進めることになります。出題傾向に沿って頻出分野の学習に比重を置く時期ですので、優先順位を誤らないように注意しましょう。
〈1〉過去問演習が学習の主軸となります。最低でも15年分を実施します。過去に出題されたもののリメイク・リアレンジが目立つことから、昭和年度までさかのぼって問題をピックアップして取り組むことも非常に有効です。
大問4題を50分で解くための時間配分の基準は生徒個々に応じて提案します。ひたすら処理速度を要求する入試問題とは対極にある武蔵の算数ですが、発想力・思考力重視の大問に十分な時間を充てるためには、短時間で処理できる問題を手早く終わらせる必要があります。
この過去問演習での添削を通じて答案作成力を養っていきましょう。どのように養っていくかは「【2】算数合格戦略の提案 〔2〕答案作成力の養成」を参照して下さい。
なお、過去問の2回転目の取り組み方は生徒によって異なります。②のSS特訓を受講している生徒の場合は、2回転目で全セットに取り組む必要はないでしょう。生徒個々に応じて指示を出していきます。
11月ないし12月から併願校の過去問にも順次目を向けていきましょう。
〈2〉日曜日のSS特訓
まず、志望校別講座でのテスト演習は、各自に合わせた時間配分の基準を私が提案するので、それを実践する場となります。1回分終えるごとに、時間配分は適切だったか、答案の記述内容は十分だったか、解法に抜けがなかったか等をチェックして反省点を洗い出し、次回のテスト演習につなげていきましょう。
また、志望校別講座で取り扱うプリントも頻出分野からの出題なので重要です。ただし分量が多いので、授業内で手をつけた問題のみ解き直しを行うという位置づけでも十分です。余力のある生徒の場合は、手をつけていない問題の中で学習効果の高い問題を選んで取り組んでもらいます。
配布される『武蔵中合格への100題』については、半分は過去問の数値替え問題です。テスト演習でも同様の問題を解いているため、それらを除いた残りの問題だけ取り組みましょう。
単科講座については、頻出分野の演習量を増やす、逆に出題頻度の低い分野について演習量の不足分を補う、という観点から、解法力講座を選択してもらいます。
〈3〉については、〈1〉・〈2〉の出来具合を踏まえて、武蔵の頻出分野に特化した適切なレベルでの問題演習量を増やしていきます。この〈3〉の問題演習と〈1〉の答案添削は集団塾では面倒を見てもらえないため、個別指導の講師に委ねるしかないでしょう。逆に言えば、そこに最大限の力を注ぐと他の受験生より一歩も二歩もリードできるということです。
〈4〉平常授業については、間違えた問題の解き直し・理解だけで十分です。教材・プリントがたくさんあってやり残しが気になるかもしれませんが、一切気にしないことです。
ただし、『基礎トレ』は日付通りに進めましょう。何度も述べますが、スピード練習の素材として最適なレベルの問題です。
9月以降の重要な模試は、①SAPIXの学校別サピックスオープン、②早稲田アカデミーのNN最難関オープン、③四谷大塚の学校別判定テスト、④合格力判定模試+比較合判、⑤四谷大塚の第1回~第4回合不合判定テストになります。各塾の学校別模試の特徴は「【4】算数の時期別学習法の提案 〔4〕6年生後半の学習方法」を参照して下さい。
正月特訓は武蔵志望者としての仕上がり具合を測る絶好の機会です。本番と同じ形式でのテスト演習を重ねるので、時間配分の最終チェックを行いましょう。