1 | (1) A (2) A |
---|---|
2 | B |
3 | (1) B (2) B |
4 | (1) A (2) B (3) ① A ② C |
A…武蔵中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難度、処理量から判断して、得点差がつかない問題
合格者平均 /満点 = 66.9点/100点
受験者平均/満点 = 46.3点/100点
でした。武蔵の算数としては、平均的なレベルとなりました。
上記難易度分類のBレベルで大きく得点差がついたものと思われます。
今年の受験生にとっては、様々な面で過酷な入試となりましたが、算数で得点を積み重ねることができた皆さんは、ダメージを最小限に抑えられたようです。
全体としては
①全体像をとらえて、見通しよく、楽に速く解くことができるタイプの生徒 と ②問題文に忠実に作業をやり切る腕力のあるたくましいタイプの生徒 の両方に道が開かれたセットであったと言えるでしょう。
水分を蒸発させて濃さを3%から9%にします。濃さが3倍なので体積は “1″ /”3″ 倍になっているとすぐにわかるはずです。全く差がつかない問題です。
条件をどのような順番で書き込んでいくかで、処理速度に差が出そうな問題です。
まず与えられた辺の比を統一して、
AE:EB:BC=9:15:40
となります。次に、与えられた角度を考えて、台形ABCDが正三角形の一部と見抜き、
AD=16が決まります。すなわち、
AE:EB:BC:AD=9:15:40:16
ここまでくると、あとは今まで練習してきた通りに面積比を求めればよいということになります。短時間で乗り切りたい問題です。逆にここで失点すると、厳しいでしょう。
→【合否を分けた1題】で後述します。
丁寧に調べれば、必ず答えが出る問題です。センスに関係なく正解にいたるという点で、取りこぼしはまず許されない問題です。(1)ができればほぼ(2)は自動的に正解できますから、ここでのミスは挽回不可能です。
その一方で、見通しよくやるかどうかで、処理スピードに大きな差が出る問題でもありました。
A,Bの原価を(A,B)、A,Bの利益を(a, b)とそれぞれおきます。
利益の条件から、
14×a+6×b=198 これを簡単にして、
7×a+3×b=99 …①
式①から、aは3の倍数とわかるので、不定方程式①の解(a, b)を以下のように書くことができます。
a 3 6 9 12
b 26 19 12 5
ところで、A,Bの原価と定価の条件から、
A:a=100:15=20:3
B:b=100:12=25:3
となります。1本あたり原価と定価がともに整数であることに注意すると、
a,bはともに3の倍数とわかりますので、
表より(a, b)=(9, 12)に決まります。これで
(A,B)=(60,100)を求めることができました。
まず、福袋1つ当たりの利益は、
(60×3+100×3)×0.05=24 円です。
A47本とB44本を定価通りにバラ売りしたときの利益は
9×47+12×44=951 円です。
このうちA3本とB3本を福袋に詰めて売ると、利益は
(9×3+12×3)-24=39円減少します。
ですから
(951-639)÷39=8 セットの福袋を作ればよい、とわかります。
(1) ができていれば、迷うことなくたどり着けるボーナス問題でした。
,
与えられたルールに従って操作を行い、調べていきます。見た目からして「やったことある感」の強い、とっつきやすい印象だったのではないでしょうか。
操作の肩慣らし問題です。全員正解ではないでしょうか。
操作によって4になる数はどんな数か、と逆の操作をたどっていきます。これもまた見慣れたパターンです。
アの逆操作→「Bを3倍して1を引いた数をAとする」
イの逆操作→「Bから1を引いた数をAとする」
これを利用して逆算します。
問題文の操作アは「Aを3で割ったときの余りが2のとき」操作イは「Aを3で割ったときの余りが2以外のとき」とありますので、逆操作をして出てきたAについて、3で割ったときの余りが操作のための条件と一致しているかどうかを確かめる必要があります。ここはかなりの力がないと難しいところです。
ここを冷静かつ丁寧に攻めることができた受験生は多くないでしょう。ここで得点できれば、間違いなく差をつけることができたでしょう。
①
10以下とありますから、2から10まで調べることはすぐにわかるでしょう。
順に操作するだけですので、作業量は少しありますが、操作さえすれば必ず答えが出る問題です。(2)よりはるかに易しいので、実は取りこぼし注意。
作業の際、後々活用することを見越して、縦横を揃えて丁寧に書き出しましょう。
10 →11 → 4 → 5 → 2 → 1
9 →10 →11 → 4 → 5 → 2 → 1
8 → 3 → 4 → 5 → 2 → 1
7 → 8 → 3 → 4 → 5 → 2 → 1
6 → 7 → 8 → 3 → 4 → 5 → 2 → 1
5 → 2 → 1
4 → 5 → 2 → 1
3 → 4 → 5 → 2 → 1
2 → 1
右端を揃えるとこうなります。
10 →11 → 4 → 5 → 2 → 1
9 →10 →11 → 4 → 5 → 2 → 1
8 → 3 → 4 → 5 → 2 → 1
7 → 8 → 3 → 4 → 5 → 2 → 1
6 → 7 → 8 → 3 → 4 → 5 → 2 → 1
5 → 2 → 1
4 → 5 → 2 → 1
3 → 4 → 5 → 2 → 1
2 → 1
ずいぶん見やすくなりました。
「50以下」ですから、迷わず調べる(!)、という強者もいたかも知れませんね。もちろん答えにたどり着く有力な選択肢の一つです。
ここでは調べる前に、先ほどの操作記録をじっくり眺めて、仕組みを考えてみることにします。先ほどの表の矢印を逆向きにしてみました。よく見てください。
10 ←11 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
9 ←10 ←11 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
8 ← 3 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
7 ← 8 ← 3 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
6 ← 7 ← 8 ← 3 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
5 ← 2 ← 1
4 ← 5 ← 2 ← 1
3 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
2 ← 1
作業量の多い数字の特徴は何でしょうか…作業数を多くするには、
逆操作で、できるだけ小さな数に戻ればよい
ことがわかります。そのためには、どうすればよいでしょうか。数字の並びを見ながらよく考えてみましょう。
10 ←11 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
9 ←10 ←11 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
8 ← 3 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
7 ← 8 ← 3 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
6 ← 7 ← 8 ← 3 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
5 ← 2 ← 1
4 ← 5 ← 2 ← 1
3 ← 4 ← 5 ← 2 ← 1
2 ← 1
アの逆操作「Bを3倍して1を引いた数をAとする」をできるだけ避けて、
イの逆操作「Bから1を引いた数をAとする」をできるだけ多く行うことがポイントです。四角で囲った6←7 ←8 のような形をできるだけ多く含むように戻ってみると…
42←43←44 ← 15←16←17 ← 6←7←8 ← 3←4←5 ← 2 ← 1
これで、答えにたどり着くことができました。
実はこの②の問題文ですが、
①の「10以下」を「50以下」に変えると答えはどうなりますか。
という聞き方になっているのです。
「どうなりますか」とあるので、答えだけだと、何かポイントが低そうな感じがしますね。答えに至る過程、この問題では自分なり見出した「ルール」や「規則性」にあたるものを、しっかり記述して、説得力のある、ポイントの高い答案を目指しましょう。
2 を取り上げます。
「トンネルの中に隠れている時間」を考えさせます。
すなわち、隠れはじめから、隠れ終わりまでに列車が移動した距離が
トンネルの長さ-列車の長さ
であることを利用します。
まず、3両で走るとき、見える時間=41秒、見えない時間=7秒とありますから。1周を48秒で回っているとわかります。
これは5両で走っても同じですよね!
そうです。1周する時間は、列車の長さによらないので、5両だと見えない時間が
48-44=4秒 だとすぐにわかるのです。情報を整理するとこうなります。
ここまできたら、
69 cm-⑤=4
69 cm-③=7
の消去算が見えてしまいます。これを解いて、
①=9 cm
2両の長さに3秒かかっているので、
9×2÷3=6 cm/秒
コースの長さは
6×48=288 cm
と、あっという間に終わってしまいます。
こんな見方もできます。
2両の長さに3秒ということは、3両の長さに4.5秒かかるとわかるので、
=11.5秒とわかります。(以下省略)
こう見ていくと、おそらく、この問題が解けた受験生は「あれ、こんなのでいいのかな」という印象だったのではないかと思います。むしろ何が難しいのかよくわからないはずです。
この問題で、まず図を書いて考えてみよう…というアプローチをとった受験生は、結局図をかいてもあまり進展せず、時間を消費し、最終的にこの問題を回避する、というパターンになっている可能性があると思います。円形のコースを忠実に描いたとしても、核心部分は見えてきません。
求めるものが列車の速さ、1両の長さ、コースの全長の3つなので、全問正解か全問外しのどちらかになるでしょう。この問題を回避すると、合格最低ラインの60点を取るのは厳しいでしょう。
合否を分ける分水嶺として、この大問2が大きな役割を果たしたことは想像に難くありません。