問一A 問二A 問三B 問四B 問五B 問六A 問七B 問八A |
A…武蔵中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
比喩表現の意味を簡潔に説明する記述問題です。
傍線部の「檻」という言葉が「自由を奪うもの」を意味するものであると理解することは決して難しくないでしょう。あとは「何が自由を奪っているのか」ということを確認しましょう。傍線部の前に戻っていくと「…六時半から…四十五分までが夕食……八時四十五分から十五分間は…お祈り…」という具体的な説明があります。これを抽象化すればよいわけですが、決して頭を悩ますような言い換えではないと思われます。
比喩表現の意味を明らかにして心情を具体的に説明する記述問題です。
傍線部の「箍」という言葉は小学生には馴染みのない言葉かと思われますが、「箍を外せない」という言い回しが「行動が抑えられてしまっている」という意味であろうことは推測できるはずです。では「どのような行動が抑えられている」のでしょうか。傍線部の前に「『もうおしまい? お腹がいっぱい…?』弟は黙ったまま…」とあります。これで「ご飯のおかわりをがまんしている」ことは明らかですね。あとはその理由、つまり「箍」が意味することを確認しましょう。傍線部の後に「孤児院の飯は盛切り…」とあります。易問ですね。
人物の様子の意味を明らかにして心情理由を説明する記述問題です。
まず傍線部前半の人物の様子(「弟の素速い手の動き」)の意味を具体的に確認しましょう。傍線部の直前に「どの…が最も容積のある一切れか、一瞬のうちに…」とあります。次に、その様子に対する心情(「悲しそうな」)の理由を明らかにするのですが、ここでやや悩まれるかも知れません。問二で解答する内容(「ごはんのおかわりをがまん…」)から、「孤児院での不自由な生活」を想起できれば、正答に近づけるでしょう。
行動の理由となる心情を具体的に説明する記述問題です。
傍線部の「…本を…並べて…自分の部屋らしくしよう」という行動の元にある心情は、このあとの祖母との会話の中(「…ぼくたちをここへ置いてください」)で確認できます。さらに、この願いを行動に移せた理由となる心情は、傍線部の手前(「…これが家庭の匂い…と思った。…いらついていた気分が消え失せて…気持が無事におさまった…」)で確認できます。意味の確認じたいはこれで十分ですが、ここからの言い換えは、個人差が生じやすいかも知れません。
「合否を分けた一題」として解説します。
台詞にこめられた心情を具体的に説明する記述問題です。
設問が示す台詞だけで、問われている心情は十分に明らかにできるはずです。易問。
行動の裏に隠された本当の心情を具体的に説明する記述問題です。
まず、傍線部の「書き置き」の中身を確認しましょう。「…孤児院の…をしなくてはならない…そのために急いで出発…」という内容は、設問が説明するまでもなく、明らかに「嘘」です。ここで、問六で明らかにした心情(祖母への気づかい)を関連づけられれば、もう難しいことはありません。「相手を思いやるがゆえにつく嘘」は、物語文の中だけでなく、実体験でもピンときやすいでしょう。ただし、言い換え表現において個人差が生じる設問かも知れません。
漢字の書き取り問題です。
物語文や詩の読解において「比喩」の意味を説明する設問というのはごく普通に見られることですが、具体的な描写としてさりげなく表現される「情景」は、注目せぬまま見過ごされてしまいがちです。しかも、その言葉に暗示された「象徴的な意味」を問われると、多くの受験生は少なからず動揺してしまうのではないでしょうか。
※今回の出典は過去に様々な学校の入試問題で用いられた有名な作品であり、「読んだことのある」受験生も多かったであろうと思われます。しかし、ここではそのようなことは考慮には入れず、「初見の文章」という前提で説明しています。
情景的に描写される具体的な物の象徴的意味を説明する記述問題です。
解き方の手順
①設問で指定されている「蛍」が表現されている三か所のうち、前半部分(一か所目と二か所目)を確認します。
⇒ほぼ同じ状況(自分たちに対する叔父の苛立ちの言葉を聴く前)や心情(自分たちを住まわせてほしいというお願いをしたあと「気が軽く…笑い出したくなった」)と関連づいています。一言で言えば「希望」でしょう。
↓
②次に後半部分(三か所目)を確認します。
⇒ここでは、姿を消して(「いつの間にか見えなくなって」)います。直前の会話を見れば、「自分たちが孤児院に戻ることを決意した」ことが確認できます。よって、ここは「希望を失った」という意味で理解できるでしょう。
↓
③変化前の心情(「希望」)の内容を具体化させます。
⇒「祖母の家で生活できるかもしれない」
↓
④変化後の心情(「希望を失った」)の理由を具体化させます。
⇒「叔父の強い反対」
このようにしてみるとあまり難しい設問には見えないかも知れません。しかしながら、このような「情景・象徴」に関する設問は、理解のレベルとスピードに個人差が生じやすいもののひとつであると言えます。実際、「心情変化」であることがすぐにピンときた受験生もいれば、何のことだかさっぱり見当がつかず戸惑ってしまった受験生もいたはずです。答案の質に大きな差がついた設問なのではないでしょうか。