一 | 問一(1)A 問一(2)A 問一(3)A 問二A 問三B 問四B 問五B 問六A |
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二 |
A…武蔵中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
「武蔵の国語と言えば物語文の記述」と言い切ることができたのはもういまは昔の話。平成23年度にそのスタイルを変えて説明的文章を出し、その後24、25年度もそれを踏襲。26年度はいったん物語文に戻りましたが、27年度に再び説明的文章をぶつけてきました。しかも、「二つの文章(出典は同じ)を並置」したうえで設問を提示するという構成です。受験生も驚いたのではないでしょうか。
四字熟語を完成させる問題です。
意味の対比を浮き彫りにする抜き出し問題です。「という意味」につながるように抜き出すのですが、傍線部前後の近いところに「…という意味である」「…という意味になる」という表記があります。すぐに見つけられる易しい問題と言えるでしょう。
傍線部の理由を説明する記述問題です。
内容は問一(2)の解答と重複します。マイナスとプラスの意味の対比を明らかにして説明するのは決して難しくはないでしょう。
傍線部の批判的内容を言い換える記述問題です。
傍線部の直前の段落でマイナスの説明を確認するのはたやすいと思われますが、一方、傍線部直後の段落をどう捉えるかという点で解答レベルに差が生じるかもしれません。具体例が細かく書かれてある段落であるため、「これは要らない」と即断してしまうと段落末尾に示された筆者の批判に気づけず、説明不足の解答になってしまいます。
「合否を分けた一題」として解説します。
筆者が話題としている事柄について対比的に説明する記述問題です。
具体的には、「(音楽における)間」についての「西洋と日本のとらえ方の違い」です。典型的な「比較文化」の視点であり、確認すべき内容も、傍線部直後の二つの段落で明らかにされています。その意味では易しい問題という見方もできます。しかしながら、「対比が明確になるように文中の表現を言い換える」作業を考えると、なかなか手応えのある問題であるという見方もできるでしょう。
なお、この設問には字数が指定されています。武蔵の記述と言えば「字数指定なし」というスタイルが定番でしたから、受験生の驚きは想像に難くありません。「粗削りな答え方であっても言葉を尽くして相手に分かってもらおうという意思が感じられる答案であれば評価する」という姿勢を示していたはずの武蔵が、ここで一問「字数指定」の設問を混ぜてきたという事実は注目に値します。「字数を指定する」ということは、「どれくらい詳しく説明すればよいのか」という目安を与えるヒントであると同時に「冗長な説明は許さない」という制約でもあるからです。
筆者の結論を具体的に言い換える記述問題です。
傍線部直前の段落のなかで「問いかけ」と「その答えとなる説明」がはっきりと示されています。それを確認するのはさして難しくはないでしょう。一方、補足として説明すべき内容もきちんと見つけられるかどうか。具体的には「間」には「空間的、時間的、心理的」というさまざまな意味があるということなのですが、これは、文章中盤(一行空けられた後)にある「日本語の間という言葉にはいくつかの意味がある。まずひとつは…」という文から、「次に…」、「…というものもある」とつながっていく「列挙」型の説明を意識していないと気づきにくいかもしれません。
漢字の書き取り問題です。
受験生にとっての記述問題の難しさには「言い換えの言葉が思い浮かばない」「日本語として整えにくい」「字数調整しにくい」など様々な要因がありますが、「何を書くか」という点でブレてしまうと、そもそも部分点評価すらされません。その意味において「記述の要素となる(解答に使える)部分にたどり着きにくい」設問こそ、実力差がはっきりとでる、すなわち「合否を分ける」問題であると言ってよいでしょう。
傍線部は「…どれだけ生かしているかどうか」という言い方になっています。つまりプラスマイナス両方含んだ表現になっています。ところが設問では「…生かすとはどういうことですか」と、プラスの方を問うています。まずここを正しく確認しないといけません。
傍線部の直後の段落では、設問が要求するプラスの内容をまだ十分には説明していません。そして、その後の段落で「マイナス」が説明され、その次の段落でようやく「プラス」の説明に至ります。ここまで慎重に文脈をたどることで、ようやく記述の“材料”が得られるのです。
先述した通り、武蔵の国語の入試問題には長く「物語文の記述」という固定イメージがありました。そこでは「具体的な場面や状況を含めて人物の心情を詳しく説明する」力が試されていたはずです。そこに、近年の流れとして「説明的文章」によって「丁寧に文脈をたどる論理的な読解力」を試すという性格が付け加わったとみることができるでしょう。学校側が求めるものが広がった分、受験生としてはますます気が抜けません。