新潟市を題材とした地理・歴史のユニークな総合問題や、図表から参議院の選挙区の一票の格差や有権者の意見が国政にどれだけ反映されたかを読み取らせるような「思考力」を問う問題が出題されたため、入試四教科の中で一番低い点数となりました。
合格者平均43.0 (100点満点換算で53.8点)
受験者平均37.9
1 | 問1 | 標準 |
問2 | 記述問題 標準 | |
問3 | (1)資料の読み取り問題 やや難 (2)同 やや難 (3)同 やや難 (4)記述問題 難しい |
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2 | 問1 | 易しい |
問2 | 易しい | |
問3 | (1)易しい (2)記述問題 標準 (3)やや難 |
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問4 | (1)記述問題 やや難 (2)同 やや難 |
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問5 | (1)資料読み取り やや難 (2)同 難しい |
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問6 | (1)同 標準 (2)同 標準 |
1 問3は、表から一票の格差を読み取らせるユニークな問題。
1 問3 表1は2007年の参議院選挙における選挙区ごとのようすについて示したものです。
これをみて、下の問に答えなさい。
なお、ここでの「選挙区」は、47都道府県ごとに分かれています。それぞれの選挙区の有権者が1人1票ずつ立候補者に投票し、投票数の多い者から順に、定数分だけ当選者が出る仕組みになっています。また、この問題では、「有権者(選挙権を持っている人)の投票した票が、当選者の得票になった場合に、有権者の意見が国政に反映していると考える」こととします。
表1 2007年の参議院選挙における選挙区(選挙の単位)ごとのようす
(注) 「定数」は選挙区ごとの議員定数
(1) 選挙区ア~キの中で比べたとき、1票の格差(有権者数を定数で割った数値の違い)は最大で何倍くらいでしょうか。最も近い数値を次の5つの中から答えなさい。
2.1倍 2.8倍 3.5倍 4.2倍 4.9倍
(2) 投票した有権者の過半数の意見が国政に反映していない選挙区が1つあります。当てはまる選挙区を、ア~キの中から1つ選び、記号で答えなさい。
(3) 有権者の過半数の意見が国政に反映された選挙区が1つあります。当てはまる選挙区を、ア~キの中から1つ選び、記号で答えなさい。
(4) 選挙区ア~キを比べると、有権者の意見が国政に反映される程度と定数との間に、ある関係が読み取れます。それはどのような関係でしょうか。次の文章Ⅰ・Ⅱを読み、そのような関係になる理由にふれながら、説明しなさい。
(1)1票の格差とは選挙区ごとの有権者数を(議員)定数で割った値、つまり、議員1人あたり有権者数の違いのことです。そこで、ア~キの選挙区ごとでその値を求めます。アは、10,437,566÷5=2,087,511。以下同様にして求めると、イは、2,394,549、ウは、993,094、エは、846,193、オは、1,127,120、カは995,038、キは492,867となります。1票の格差は最大のイを最小のキで割った値ですから、2,394,549÷492,867≒4.9となり、4.9倍が正解となります。
(2)「有権者(選挙権を持っている人)の投票した票が、当選者の得票になった場合に、有権者の意見が国政に反映していると考える」としていますから、「投票した有権者の過半数の意見が国政に反映していない選挙区」は、「当選者の得票数÷投票数」、つまり表のb / aの値が50%以下になるところを探します。すると、正解はカ(32.6)です。
(3)「有権者の過半数の意見が国政に反映された選挙区」は、「当選者の得票数÷有権者数」の値が50%より大きいもと考えられます。したがって、正解はエ(911,497÷1,692,385×100=53.8%)となります。
(4)選挙区ごとのb / aの値を比較すると、定数が2人以上の選挙区のほうが定数が1人の選挙区より大きい傾向が見られます。これは、定数が2人以上の選挙区のほうが、投票した有権者の意見が国政に反映されやすいことを意味します。反対に、定数が1人の選挙区では有権者の意見が国政に反映されにくいこと、つまり「死票」が多く出てしまうことを意味しています。これは、定数1人の選挙区で複数の候補者が立った場合、落選者へ投票数が投票者数全体に占める割合が大きくなり、当選者の得票数が投票者数全体に占める割合が低下してしまうからです。また、小選挙区では、政治の意見を異にする候補者間の選挙活動が激しくなる傾向があります。