何度も述べている通り、駒場東邦の算数は圧倒的に部分点が取りやすい出題です。ただ一般的に言われている「式を書く」だけの答案づくりでは、正直言って高い部分点は望めません。必要なことは「式」ではなく「考え方」を明らかにすることです。「考え方」は「式」よりもむしろ、採点者に授業をするつもりで「言葉による補足」と「解答方針の図示」を多用していくことが大切です。
ただ、この答案づくりも生徒間の個人差が大きいのが事実です。私が見てきた生徒の多くは、始めは論理的に破綻した答案でも、添削と書き直しを繰り返すことで、冗長すぎる答案を経て、最終的には無駄がそぎ落とされた良質な答案を書きあげるようになりました。
したがって専門家による添削指導は必須です。私も、個々の生徒の個性を活かしながら、より高得点が望める答案を作れるよう、効果的な添削指導をしてまいります。
入試問題というのは、中学校からの「こんな生徒が欲しい」というメッセージです。駒場東邦中は算数の入試問題を通して、どのようなメッセージを投げかけているのでしょうか。そして、そのメッセージに対して受験生はどのように答えればよいのでしょうか。ここでは、時間配分という観点から、高得点に結びつける方法を明らかにしてまいります。
駒場東邦中の入試問題は、60分で大問が4つという出題が続いていますが、単純に割り算すると1問あたり15分も考える時間が与えられるのです。一般的な入試問題や模擬試験では、1問に与えられる時間は3分前後なので、かなり余裕のある時間設定と言えるでしょう。もし5分で解けてしまう大問があれば、残りは1問あたり実に20分近く考えることができるのです。こんなにも考える時間が取れる学校は、駒場東邦くらいなのです。
そこで時間配分に明確な作戦を立てることは必須です。最後に少なくとも10分は見直す時間を残すとして、残りの50分をどう使うのかがポイントです。ただ計算のスピードや、分野による得手不得手は個人差が大きいので、第三者による分析、アドバイスが必要となります。残念ながら、この最適な時間配分の提案は保護者の皆様には難しいのではないでしょうか。そこで私は、生徒の特徴に応じた時間配分を立案し、実践させてきています。