1 | (1)A (2)A (3)B (4)A (5)B |
---|---|
2 | (1)A (2)A (3)① B ② B |
3 | (1)A (2)B |
4 | (1)A (2)B (3)C |
A…駒場東邦合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…解法や着眼点次第では、得点に大きな差がつく問題
C…難易度・処理量などから判断して、差はつかない問題
全体的に見て、極端に難易度の高い問題はなかったものの、何に注目すればよいのか気づきにくく、アプローチしづらい問題が多かったために、合格者平均得点率は64.2%とさほど伸びませんでした。
また、大問1の(5)に「説明しなさい」という問題がありましたが、ちょっとした誘導があるとはいえ難易度が高いため、時間をかけすぎずに他の問題に時間を充てられたかどうかも受験生にとって大きなポイントだったと思われます。
年度によって難易度(得点率)の上下幅が大きいので、どちらの場合にも冷静に対処できるような訓練・経験を積ませることが非常に大切な学校と言えるでしょう。
分数・小数を含んだ計算問題です。特殊な数値などはなく、特別な工夫は必要ない問題でした。確実に正解しなければなりません。
非常によく出題される図形の面積を求める問題でした。どの受験生も「あ、見たことある」という図形で、「円周率が3.14であれば、求める部分の面積が正方形全体の57%」であることを暗記している受験生も多かったかも知れません。
合格のためには確実に取る必要があります。
見た目は全く複雑ではない、取り掛かり易そうな覆面算でした。求める3けたの「NEW」で最も大きい数を求めたいので、Nを9から徐々に減らして実際にあてはまる数値を確認していきます。少し時間がかかる問題だったと言えます。どの記号(位)に注目するかによって、解答にたどり着くまでの時間に差がついた問題でした。
各位ごとに注目します。
たとえば〈2021〉の場合は、
A;一の位の「1」
1,11,21,31,……,2011,2021 の203個
B;十の位の「1」
10~19,110~119,210~219,……,1910~1919,2010~2019 の210個
C;百の位の「1」
100~199,1100~1199 の200個
D;千の位の「1」
1000~1999 の1000個
で、合計
203+210+200+1000=1613(個)
と求まります。
少し時間はかかりますが、典型題ですので駒場東邦受験者であれば正解したい1問でした。
4つの合同な正方形を、辺にそってつなげてできる図形が何種類できるのかを考える問題ですが、「1列に〇個つながっている図形」のように、つながり方ごとにグループ分けされていますので、①で答えるべき種類と、②で答えるべき種類に注意が必要です。
このような問題に対して「思いついた図形から書き出す」のではなく、「まず最初の2個のつなげ方は○通り」で、「次にその状態にもう1個つなげて(つまり、全部で3個つなげて)できる図形は△通り」で、「さらにその状態にもう1個つなげて(つまり、全部で4個つなげて)できる図形は□通り」で…というように、手順よく調べていくことで、抜け・漏れを防ぐクセがついている受験生にとっては、さほど苦戦はしない問題だったと言えるでしょう。
(1)(2)については、駒場東邦受験生であれば、一度は目にしたことがあるであろう典型題です。
この階段の問題で最も典型的なものは、1歩で「1段上がり」「2段上がり」の2通りしかないタイプで、この場合は各段の上がり方が「フィボナッチ数列(直前の2つの数の和が次の数になる数列)」になることを知っている受験生は多いことでしょう。
この駒場東邦の大問2は、1歩で「1段上がり」「2段上がり」「3段上がり」の3通りの上がり方があるので、「直前の3つの数の和が次の数になるトリボナッチ数列」になります。
(3)については①②ともに、ていねいな場合分けが必要となりますので、大問1の(5)と同じように、日ごろから手順よく書き出す・調べるという習慣が定着している生徒と、そうでない生徒では差がつく問題でした。
立方体、複合立体の切断に関する問題です。
(1)は立方体の切断問題で、切り口も複雑ではなかったので確実に取りたい問題でした。
(2)は立方体を4個つなぎ合わせた複合立体の切断問題です。このような複合立体の切り口の考え方を十分訓練してきた受験生と、そうでない受験生とで、差がついた問題だったと思われます。
駒東に頻出の「数の性質」「場合の数」に関する問題でした。
(1)は正確に書き出し、確実に得点したい問題です。
(2)はうまく組み合わせられることに気付けた受験生はすんなりと求められた一方で、がむしゃらに求めようとした受験生にとっては、計算が複雑になり、かつ時間にも追われた状況で、正答にたどり着くのは難しかったことでしょう。
また、(3)については「2021=43×47」ということを知っていて、かつ、それを利用すれば解答のうち2つは比較的すぐに求められたため、この大問4については特に(2)(3)で大きく差がついた大問でしたので、こちらを「合否を分けた一題」として取り上げます。
2021,6564のような、「連続する2つの2けたの整数」を並べてできた4けたの整数を考えます。
このような整数をすべて考えます。
千 百 十 一
A B
上のように、千の位と百の位の2けたの数をA、十の位と一の位の2けたの数をBとして、
たとえばA<Bとなる場合の数を小さい順に書き出すと
1011,1112,1213,1314,……,9798,9899
の89個あります。
A>Bとなる場合の数も同じように小さい順に書き出すと
1110,1211,1312,1413,……,9897,9998
と、先ほどと同じく89個ありますので、全部で
89×2=178 (個)
と求められます。
このような整数すべての平均を求める問題です。
先ほどのA<Bとなる場合の数と、A>Bとなる場合の数を下のように並べます。
1011,1112,1213,1314,……,9798,9899
9998,9897,9796,9695,……,1211,1110
すると、たてに並ぶ数の和がいずれも
1011+9998=11009
1112+9897=11009
1213+9796=11009
……
のように、すべて11009となります。
よって、このような整数178個すべての平均は
11009×89÷178=5504.5
と求まります。
このような4けたの整数のうち、47の倍数をすべて求めます。
2021=43×47
であることを知っている受験生は多かったことでしょう。
これを利用すると、まさに2021がこの問題で考えられる数の1つであり、これは(1)におけるA<Bの場合の数の最小値となります。
これに101を足していくことによって、「連続する2つの2けたの整数」を並べてできた4けたの整数になるので、2021に「47と101の最小公倍数である4747を足した数」である6768が考えるべき2つ目の数とわかります。
これにさらに4747を足すと5けたになってしまうので、A<Bの場合はもう存在しません。
では次にA>Bの場合を考えます。
こちらはすぐに見つけることは困難です。最悪、4けたの47の倍数を順番に考えていき、最小値を見つけるといった考え方でも仕方ないと思いますが、以下のように考えると少し楽に見つけることができます。
千 百 十 一
A A-1
上のように4けたの整数を考えます。するとこのような整数は
100×A+1×(A-1)
と表すことができます。このように表される47の倍数を考えたいので、
100×A+1×(A-1)=101×A-1
=94×A+7×A-1
=94×A+(7×A-1)
と置き換えてあげます。すると、「94×A」の部分は確実に「47の倍数」と言えるので、
「7×A-1」が47の倍数になればよいことになります。
7×A-1=47 → Aにあてはまる整数はない
7×A-1=47×2 → Aにあてはまる整数はない
7×A-1=47×3 → Aにあてはまる整数はない
7×A-1=47×4 → A=27
となり、Aが求められます。
つまり、2726がA>Bの場合の最小値とわかり、これに4747を足した7473も考えるべき数とわかります。
よって、答えは2021,2726,6768,7473の4つとなります。