その年に日食があったからその関連問題を出す…などと言った分かりやすい出題をしないのが駒場東邦中学です。19年度“四角囲み1”(4)で過去20年間噴火した山がない地域を選ばせたように、ある程度長いスパンでニュースを気にしていて、細かいところまで見ている人でないと自信を持っては答えられないような問題が出ます。上記の知識問題と同じく、普段の心掛けが重要で、新聞やニュース番組を良く見ることが何より良い対策となり得ます。その際、ニュース解説にも目を向けるようにしましょう。地震のニュースなら、近年の地震について総括してくれたりと、過去のニュースの振り返りが出来ることも多いです。
しかし、これも「今更そんなことやっていられない」と思われる方も多いでしょう。そうです、(1)細かすぎる知識も、(2)時事的な問題も、“勉強”ではなく、“習慣”あるいは“環境”の問題なのです。これが、駒場東邦中学の問題が「付け焼刃の知識では太刀打ち不可」という所以です。早くから駒場東邦中を意識している場合は、是非この辺りを意識して下さい。
また、知識を問う設問で知らない事が出た時は、潔く捨てて先に進む思い切りの良さも必要です。捨てた問題の分は別の所で補いましょう。そのための記述対策であり、作図対策です。
出題の傾向でも述べた通り、理由・原因の記述が特徴的です。1行以下の短い記述は、駒場東邦中を受験するレベルの生徒にとっては、特に難しい内容ではありませんので、ここでは割愛します。
普通、原因・理由の記述と言うと、テキストにある程度の答えが書かれている(知識で解ける)場合が多いものです。「モンシロチョウの産卵数が多いのはなぜか?→生存率が低いから」のような例がこれに当たります。しかし、駒場東邦中学の入試問題に出題されるのは、これとは全くレベルの異なる記述問題です。
具体的には、H22「日本でスズメが減少した原因は何か?」、H21「タヌキが生息していくのに、まとまった緑地が必要な理由は何か?」、H20「写真(透明な筒の中心に立っているろうそくの火が反射で3つ見える角度から撮ったもの)で、上の像の炎ほど暗く見えるのは何故か?」などの問題です。これらは、今までの学習の中で得た知識を“単に覚えている”のではなく、“真に理解している”かどうかを試しています。且つ、それに問題文などから読み取れる事を組み合わせて考えるのです。
これは塾のテキストでは中々対策の取りにくい問題です。学校での学習を大事にすることも勿論ですが、やはり同様の問題を数多くこなしておくに越したことはありません。しかし、こういったレベルの記述問題が多く収録されている問題集は皆無と言って良い状態です。ということで真っ先に思い浮かべるのは、同傾向の記述を出題する他校の過去問を使う事でしょう。麻布・武蔵は記述傾向の強い学校の中でも、比較的駒場東邦中の記述に近い出題内容だと言えます。また、意外と見落とされがちですが、知識のみでは解きにくい問題ということで、都立小石川や都立九段の過去問も有用です。
ただしこの際、どの問題が駒場東邦中対策として有効かは本人や親御さんにはなかなか見分けにくい所です。ドクターでは、講師陣が生徒のレベルやつまづきに応じて問題をピックアップして演習をしているほか、時には自作の問題プリントを使用して対策をして行きます。特に掛け持ちなしのドクター生の場合、5年生の段階で知識で解ける単純記述から始め、段階を踏んで記述慣れをさせていきます。
これも問題の数をこなすことが最善です。記述問題よりは市販の問題集が充実していますので、シグマベストの『最高水準ノート』などを利用すると良いでしょう。
グラフの作図は、化学分野なら溶解度、物理分野なら力学が狙われやすい所ですが、グラフ全般に対する親和性を養うという意味ではひと通りやっておくことをお勧めします。その他の作図も、問題集を使ってひと通りやっておけば充分です。
ただし、作図問題(特にグラフの作図)は、ほとんどの受験生が得点していると考えるべきです。とりわけ、知識に弱点のある生徒は作図での失点は許されません。そう滅茶苦茶な難度の出題は例年ありませんが、確実に得点する力を付けておいて下さい。ドクターでは、記述対策と共に5年生の段階から対策を始めて行きます。