1 | (1) A (2) A (3) 色 A 理由 A (4) A (5) B(6) 図3 B 図4 B 図5 B |
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2 | (1) B (2) (ⅰ) ➀ A ② A (ⅱ) ③ A ⑤ A (ⅲ) ④ B(3) A (4) 記号 A 記述 A (5) ➀ A ② A ③ A ④ A ⑤ A |
3 | (1) A (2) B (3) B (4) A (5) C (6) B (7) B |
4 | (1) ➀ A ② A (2) ➀ B ② A ③ A ④ A ⑤ A ⑥ A(3) ➀ B ② B |
A…駒場東邦合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2021年度の駒場東邦中の理科は、珍しく大問4問構成となり、毎年恒例の小問集合がありませんでした。これが、今年単年のことで終わるのか、来年度以降も続く変更点となるのかは分かりませんが、このような出題方式の変更は起こることですので、慌てずに対処することが大切です。
一方、出題形式が変わっても、駒場東邦が受験生に求めている力はやはり同じで、「因果関係を正しくつかむ力」であると言って良いでしょう。もちろん、選択肢問題であっても「すべて選び、記号で答えなさい」という方式が多いことからも分かるように、正確な知識を試しているという側面もあるのですが、あきらかに知識よりも思考力・考察力を重視しています。駒場東邦中を目指す受験生の皆さんは、日頃の学習から、一つ一つの実験操作や観察結果に対して理由を考える習慣をつけておきましょう。
さて、詳細な問題構成は、4分野から大問4題、小問41問で、大問数が減少したものの、小問数自体は大きく減りませんでした。
解答形式では、記号選択が27問、数字が3問、言語が5問、記述が5問、作図(絵)が1問でした。主な出題単元は、大問1が「気象」、大問2が「気化熱」、大問3が「地形図と生物」、大問4が「浮力と力のつり合い」に関する問題で、物理・化学・生物・地学がほぼ均等に出題されていました。
気象に関する問題ですが、例えば百葉箱の知識についても、なぜそのような設置の仕方をするのか、なぜそのような構造になっているのかなど、因果関係が正しく理解できていないと解けない問題になっています。気温の変化と日照の関係などについても、知っていることから類推する力が求められています。
ごく基本的な知識ですが、漢字指定に泣いた受験生もいるかもしれません。常用漢字の範囲で書ける用語については、普段から漢字で学習するようにしましょう。
日本で百葉箱の扉を北向きにつけるのは、直射日光が入らないようにするためです。南半球にあるオーストラリアでは、太陽が東から昇って、北の空に上がり、西に沈むということも確認しておきましょう。
基本的な知識事項です。理由の記述では、「熱を反射する」「熱の吸収をおさえる」など、熱に関して触れているかがポイントになります。「光を反射」だけで終わらないように気をつけましょう。
基本的な問題ですが、「すべて選び」なので、正確な知識が必要です。
こちらも「すべて選び」ですが、知識ではなく、与えられたデータの読み取りです。丁寧に見ていけば間違えないはずですので、落ち着いて取り組んでください。
よく見ると選択肢のグラフの最高値が違っているなど、注意深く確認する必要があります。イメージだけで何となく選ぶと間違えますので、しっかりデータを見てください。
テーマとしては、前問の気象観測からつながっているかもしれません。いわゆる「乾湿球湿度計」で、乾球と湿球の示度が異なる理由を理解できているかが裏テーマと言えるでしょう。(5)では、近年様々な学校の入試問題で取り上げられている「ベルクマンの法則」について、その合理性を数値的に検証する問題が出されています。
水の温度が下がった原因は「気化熱」です。「すべて選び」という設題で、4つの選択肢のうち3つも該当すると不安になってしまうかもしれませんが、何が起こっているのかをしっかり考えてください。
グラフの変化や違いの理由(因果関係)を考えさせる、きわめて駒場東邦らしい出題です。論理思考に慣れていないと難しく感じるかもしれませんが、駒場東邦を目指す受験生なら、ぜひ解けるようにしておきたいところです。
前問に続き、因果関係を考察する問題です。この問題の根底にあるのは、乾湿球湿度計の仕組みです。
理科実験で比較をするときには、比較したいことがら以外の条件をそろえなければなりません。ごく基本的な実験の考え方ですので、記号問題は確実に正解したいところです。また、記述についても、ほとんど固体というところまで解答欄で誘導されているのでぶれようがない問題です。
近年、リード文問題としての出題が増えている「ベルクマンの法則」ですので、現象だけは知っているという人も多いかもしれません。与えられた式と文章から、その理由を理解することが求められています。
古地図が目に留まるので、第一印象では地形的な話かと思ってしまいますが、内容はほとんどが生物の一般知識です。最後の(7)の記述問題については、リード文の読み取り方次第で解答に差ができると思いますが、それ以外の問題は一般教養的な生物知識の差が出るかもしれません。その意味では、全体としてこの大問3が合否を分ける鍵になりそうです。
「里山」という言葉を知っている人にとっては間違えようのない問題です。
ドングリにも様々な種類がありますが、クヌギやコナラは中学受験では頻出ですので、しっかり覚えておきましょう。
「クスノキ」も「神社」も「ご神木」も全く関係なく、聞いているのは常緑樹についてです。「すべて選び」ではないので、比較的答えやすいでしょう。
メダカのメスとオスのひれの形は、中学受験の理科としては基本事項です。記述問題であっても、確実に得点したいところです。
ポイントはいくつかありますが、絶対に外したくないのは「お腹に栄養分を蓄えていること」「ひれがつながっていること」の2点でしょう。ただし、部分的な描画ではなく、完全に記憶だけで描かなければならない問題ですので、ここは部分点が取れれば十分です。
めだかを食べる「こん虫」であることに注意して答えてください。メダカを捕食する生物自体はたくさんありますが、こん虫に限定すると限られてきます。
本問を「合否を分けた一題」として、詳しく後述します。
文章が長いので、前半で時間を使い過ぎてしまった受験生には厳しい問題となったかもしれません。その意味では、ここでの得失点によって合否が分かれた可能性もありますが、問題の解き方というよりは時間の使い方という要素の方が強いので、合否を分けた一題としての解説は割愛します。
10ページの長いリード文がきちんと読めていれば簡単な問題です。文中に出てくる複数の力が、どこにはたらくどんな向きの力なのかをしっかり整理してください。
長いリード文を受けて、さらに文章を読みながら答えることになりますので、テスト後半の時間に追われる中でいかに落ち着いて文章が読めたかによって、正解率が大きく変わりそうです。
「大きさはほぼ同じ」なので浮力は変わりません。また、図3のグラフとは異なり、選択肢のグラフは6個までで、「6*」「6**」の値が入っていないことに注意して答えてください。
昨年、金魚の祖先でもあるギベリオブナの卵が、水鳥に食べられて糞として排出されたのにもかかわらず、一部の卵が消化されずに生き残り、正常にふ化することが実験によって明らかになりました。食べられた卵のうち、わずかしか生き残りませんが、ギベリオブナにとってはいくつかの利点があると考えられています。ギベリオブナにとって、水鳥に卵が食べられることで得られる利点を答えなさい。
知識だけで答えられる問題ではありません。実際に、ギベリオブナの名前さえ知らなかったという受験生が大半だと思います。
このような問題で正解を探すには、リード文や問題文に「わざわざ書かれていること」に注目するのがコツと言えます。この問題の場合には、問題文にある「水鳥に食べられて糞として排出されたのにもかかわらず」という一節がヒントとなるでしょう。
例えば、サクラやモモなどの植物が糖分を蓄えた実の中に種子を作るのは、鳥などに食べられた、その鳥が移動して糞をすることによって、同じ種の生息範囲を広げられることが利点です。これは、多くの受験生が知っていることでしょう。
この問題で、単に食べられたというだけではなく、水鳥の「糞として排出された」中から卵がふ化するということを書いていることで、これら植物の種子を連想させようとしていることがうかがえます。
また、同じ池や沼から出ることができない魚と違って、水鳥であれば他の池などに飛んで移動することができますので、ギベリオブナ自身には行けないところに卵を運ぶことができるのです。
この、魚と鳥の違いに注目すると、よりきれいな正解が書けると思います。
(答え)
水鳥が移動して糞をすることで、ギベリオブナが行けないような遠くの池にも生息域を広げることができるという利点。