まず駒場東邦中で使用された題材が、5年のBテキストで使用されているので、5年のBテキストはしっかり学習しよう。逆を言えば、5年のBテキストレベルをこなせる力がつけば、駒場東邦中の物語文を攻略することが出来るだろう。とくに駒場東邦中で頻出の文章全体を通しての心情の変化や文章全体から読み取れる性格を書かせる問題は、Bテキストの問題で必ず出題されているし、内部生昇降テストのマンスリーテストや組分けテストでも出題されているので、Bテキストやテストの復習をしっかりやっていれば、相当力がつくだろう。他塾と比べて、その点ではかなり有利である。
あと添削教室をうまく利用し、書き直しをしっかりやって、できれば担当講師に添削してもらおう。
(添削教室とは、6年生なら2週間に一回、4、5年生なら月一回の頻度で、添削科という専門の部署が、テキストの問題を一題指定する。それを受けて講師は、その一題を授業問題として扱い、生徒にその問題を解かせ、解答を添削教室専門の用紙に記入させる。終了した時点で講師が回収し、その用紙を各校舎から添削科に送って、添削科スタッフが採点、1、2週間後に答案を返却するというシステムのことである。)
ただし、記述問題は(もちろん記述問題だけに限らないが)、むやみにたくさん解いてもまったく効果がない。確かにある程度の演習量は必要だが、そもそも記述は論理的な思考問題なのだから、一つの設問を深く考え、思考錯誤を繰り返しながら、問題と格闘しなければ、レベルアップはできない。楽して、学力は身に付かないのである。
したがって、このような考え方やまとめ方まで意識した学習が必要不可欠なのである。
さらに記述力を伸ばすためには、講師の質の高さ(講師自身の柔軟な思考力)も求められる。単純に、「考えろ」しか言わなかったり、解説を一方的にして終了したり、量をたくさんこなすことばかり求めたり、反論を認めず、自分の意図とする解答しか認めないような講師ならば、上記のような「試行錯誤」や「深く考えること」などを生徒ができるはずもなく、したがって論理的思考力を身につけることは、不可能になる。
講師がうまく問いかけて、生徒を解答へ誘導しながら、あくまでも生徒自身に答えを出せる、そんな指導ができてこそ、はじめて論理的思考力を伸ばすことが出来るのである。
このようなことを心がたうえで、授業中の記述の演習量を子供の処理能力より少し多めに与えれば、極端な話、家庭学習は授業の復習プラス1、2題でも十分である。実際に私は、このように指導してきたし、結果として偏差値60越えの生徒をたくさん輩出してきた。
例えば6年のCコース(15コース)の生徒で偏差60越えも達成したことがある。この生徒は志望校判定サピックス・オープンのBタイプ(長文、記述問題のみのテスト)で、偏差値60を取ったのをはじめ、このあと計3回、偏差値60以上を取った。もちろん、5年までは最高偏差値が45で、このような成績を一度も取ったことがない生徒である。
このような指導が出来る講師がいれば、記述力は確実に伸びるであろう。
駒場東邦中は漢字が15問出題されるので、Aテキスト、5、6年の夏期講習で実施する漢字テスト、6年の後半から始まる、でる順テストなどをうまく活用し、漢字力を身につけていこう。
実は、サピックスではこの選択肢問題に弱い生徒が多い。その理由は、αコースに入る講師は間違いなく記述問題をたくさんやらせるので、上位コースにいればいるほど、選択肢問題を授業で取り扱う機会がほとんどなくなるからである。
さらに、5、6年のテキスト問題もほとんど記述問題なので、ますます弱くなる。
サピックスの多くのαの講師は、開成、桜蔭、麻布のような国語の問題を想定して授業を行うし、さらに選択肢問題を軽く考える節があるので、上記のような指導になるのである。だから、必然と選択肢問題は自力でやらざるを得ない。
サピックスの教材では、土曜日の志望校別特訓の教材を使用したほうがよい。(出来れば2)
あとは、駒場東邦中の過去問、および志望校別特訓(GS,夏期、SS)、季節講習のテキストなどでカバーできる。考え方は、「対策」を参考にしていただきたい。