問12。「『あれは絶対に弁天様の化身だったんだ』と僕は弟に強く言った」とありますが、この時の「僕」の気持ちを80字以上100字以内で説明しなさい。
例年通りの100字の記述である。物語全体の流れをふまえて、主人公の気持ちの大きな変化や成長をまとめねばならない。本年度の出題は、傍線部直前「あれ」を糸口にして、そこからの流れをふまえて答案を作りたい。
①傍線部⑩「あれは絶対に弁天様の化身だったんだ」の「あれ」とは、何ヶ月か前に又木弁天という神社の池で目撃した白い蛇のことである。⇒この部分を発見したら、そこからは文脈にそって、傍線部⑩までの流れをおさえていく。
②『日本の伝説』という本を読んで、弁天様が白い蛇に化身するという話を知った「僕」は、すごいものを目撃していたと気づいた。
③興奮して誰かに話したくなるのだが、幽霊話で先生に注意されたばかりで、嘘をついた後ろめたさもあって、学校では話せない。
④家で母親に話すが、笑われてしまう。
⑤不思議な体験をしたくて嘘をついたせいで、本当の体験をしたのに誰にも話せない。→「どうしてこうなるんだ!」=いらだち
⑥他に話す相手がいないので、幼い弟に強い調子で「あれは弁天様の化身だったんだ」と言うのだが、話の内容が理解できるとは期待していない。→誰かに話さずにはいられない気持ちを満足させただけである。
弁天様の化身の白い蛇を目撃したと誰かに話したいのだが、嘘の幽霊話で後ろめたい気持ちもあって学校では話せず、母親には笑われ、いらいらして、幼い弟を相手に誰かに話さずにいられない気持ちを満足させている。