本年度の出題は小学生の男の子を主人公とした作品で、同世代の受験生には共感しやすい内容であった。年度によっては女の子が主人公であったり、家庭問題や複雑な人間関係が背景にあったり、精神的に大人っぽい受験生でないと、少々読みづらい物語である場合もあるので注意したい。
しかし共感しやすい内容であるという事は、それだけ高得点が求められるという事だ。また、一般に受験問題では、文章が理解しづらい内容の場合には、要求される解答の水準はひかえめにして、読みやすい文章の場合には要求の水準を上げるという傾向がみられるので、本年度のような出題のときこそ注意深い読解が必要である。
小学四年生の「僕=阪野」は、もともと真面目で気弱な目立たない存在だったが、面白くてあこがれの友達カッチャンたちと「カッチャン軍団」を結成し、いろいろな冒険・探険をして、クラスで注目される喜びをおぼえるようになる。最近ではUFOや幽霊など超自然的現象にはまっている。
そんな「僕」が学校からの帰り道に空き家の壁に映った白っぽい影をみる。自分でも不思議な体験がしたいと思っていた「僕」は、それを女の幽霊を目撃したという話に誇張して学校で話してしまう。「僕」はねらい通りに注目を集めるのだが、もともと真面目な「僕」の心に嘘をついた事が重くのしかかる。
先生が幽霊話をデマだと注意した事をきっかけに「僕」への注目は収まる。
ほっとして、大好きな『日本の伝説』の本を楽しむ「僕」は衝撃の事実を知る。数か月前に自分が目撃していた白い蛇は、弁天様の化身といわれる存在だったのだ。
「僕」は本当に不思議な体験をしていたのだ。興奮して、誰かに話したいと思うのだが、幽霊話を先生に注意され、嘘をついた後ろめたさもあって、学校では話せず、家で母親に話してからかわれ、結局、話の内容を理解できるかもわからない幼い弟に話して聞かせるしかなくなってしまう「僕」なのだった。
問1(漢字のかきとり)15問
問2(言葉・表現の知識)3問
問3(記述問題)理由・原因の説明70字以内
問4(選択問題)
問5(書きぬき問題)20字以内
問6(記述問題)指示語を基本とした表現内容の説明40字以内
問7(記述問題)気持ちの説明35字以内
問8(記述問題)理由・原因の説明80字以内
問9(選択問題)
問10(選択問題)
問11(選択問題)
問12(記述問題)気持ちの説明80字~100字以内
駒場東邦の受験生として間違えてはならない問題
漢字や言葉・表現の知識(問1、問2、問10)および書きぬき問題と選択問題
問3、問6
問7、問8
問7→答えに書きたい内容は思い当たるであろうが、35字以内という枠で正解を収めるのに少し工夫が必要である。
問8
①まずマサトに話した理由は、傍線部の直後で判明する。マサトは「僕が想像した通り」「興奮」して、クラス中にふれまわっている。
②この内容で使いやすい表現「どこか素朴で、ちょっとしたことにすぐ驚いたり感動したりして、しかもそれをみんなに言って回る癖があった」の部分が、傍線部③以降の文脈にあるので活用する。
マサトは僕たちの冒険話が大好きで、ちょっとしたことにすぐ驚いたり、感動したりして、みんなに言って回る癖があるので、すぐに幽霊の話をクラス中に広めると思ったから。