今年の入試は、昨年度(2011年)と同様、女の子が主人公の物語文であった。
駒場東邦中は、同世代の小学生が主人公の物語文をよく出題する。
そのせいか、テーマは友情であったり、家族の愛情であったりと身近のものが多いのが、特徴である。
今年度も、例年通りの傾向であったといえよう。
ただ設問の難易度は上がってきているので、注意が必要である。(下記の難易度表参照)
さて、このような今年度の入試問題の中で、合否を決めた一題を挙げるとすれば、問15であろう。
この問15は、駒場東邦中では毎年出題される、心情の変化をまとめる大型記述であり、志望者ならば、この対策をしっかりしてきたであろうと思われるからである。
さらに記述問題で100字以内でまとめる大型記述であることから、しっかりとした記述力が要求されるため、一番差がつく問題であると考えられる。
では、解き方を見ていく。
まず、心情の変化=対比であることをしかり押さえよう。
設問文や文章内容から、
日記を読む前と読んだ後で心情が-から+に変化したこと、心情の変化のきっかけは日記を読んだことなどが読み取れる。
つまり、
日記を読む前→-な気持ち
きっかけ→日記を読んだこと
日記を読んだ後→+な気持ち
という文章構成で考えればいいということになる。
では、次に具体的に心情を考える。
まず、日記を読んだ後の気持ちから考えるのが原則。
そうしないと、気持ちの変化がずれるからである。
傍線部の前でお母さんの疲れた様子から、お母さんの精神的な苦労を思いやっていること、傍線部や直後の文から、「心の鮮度」が変化し、新鮮な気持ちで母親を見ていること、さらに、母親を気遣うほど心の余裕が出てきたことなどを読み取る。
つまり、日記を見て、母親を違った目で見れるほど、心に余裕ができ、気持ちがやさしく前向きになったということである。
では、日記を見る前はどうであろう。
母親と父親がけんかをしたり、母親が毎日不機嫌なのは、何のとりえもない自分のせいだと自分を責めている。
自分に自信がないため、劣等感を抱いていて、その心の苦しみから逃れるために架空の人物を作り上げていることからも、このようにすべて自分のせいだと思い込むのは、自分に自信が持てないからだと考えられる。
あとは、これを対比させながら、前述の文章構成に当てはめて解答を作成していけばよい。
問一A 問二B 問三A 問四C 問五B 問六B 問七C 問八C 問九B 問十B
問十一A 問十二A 問十三C 問十四B 問十五B
A・・駒場東邦中を志望するレベルなら確実に得点に結び付けなければいけないレベル
(記述問題なら8割以上の得点を目指さなければンらないレベル)
B・・駒場東邦を志望するレベルなら、最低でも△か○をもらわなければならないレベル
C・・駒場東邦中を志望するレベルでも、得点に結びつけるのは結構難しいというレベル