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A…攻玉社合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2020年度の攻玉社は、例年通り物理・化学・生物・地学と4つの分野からなる大問で構成されていました。難易度も例年と大きな違いはないと思いますので、合格を目指すのであれば7割以上は得点すべき問題でした。全体を通して知識と計算がバランスよく配置されていましたが、大問3の溶解度計算は何度が高く、点差がついたと思われます。実験観察からの考察、実験器具の使い方などもしっかり対策していきましょう。
出題構成は、4分野から1題ずつで、変わっていません。
生物分野の問題は、虫に関する問題。
地学分野の問題は、地球に関する総合問題。
化学分野の問題は、状態変化と溶解度に関する問題。
物理分野の問題は、電流と磁界に関する問題。
知識問題に関しては教科書レベルをしっかりおさえておけば合格ラインを超えることができます。大問1のツルグレン装置に関しては、振れたことが無い方もいると思います。問題文を注意深く読み、何を目的とした実験なのかをつねに考えるようにしましょう。
計算問題はやや難しめのものが連続している場所があるので、取り組みやすい問題を優先して解き、時間配分の失敗を防ぎましょう。
問題構成は、4分野から大問4題、小問39問。
解答形式は、記号選択が29問、数字が5問、言語が4問、記述が1問。
計算問題においても記号選択で答えるものが多くなりましたが、それによって難度が下がることはありません。あまり出題されるイメージの無い記述問題が出題されているので、来年以降も要注意です。
(生物)虫に関する問題
前半は単純な知識問題、後半は実験から考察する問題となっています。土中の小さな生物の実験なので、あまり触れた経験の無い分野だと思います。とはいえ、本文・設問ともに理解しやすいつくりになっていますので、ここで満点近い得点がほしいところです。
選択肢に惑わされずに、昆虫の条件「からだが頭・胸・腹の3つに分かれている。」「胸に3対の足がある」に合わないものを選びましょう。
代表的な昆虫の冬越しのしかたは覚えておくべきです。成虫→テントウムシ、さなぎ→アゲハチョウ、幼虫→カブトムシ・セミ・トンボ、卵→バッタ・コオロギ・カマキリなど。
完全変態・不完全変態のどちらかは昆虫名を完全に言えるようにしておきましょう。クモは昆虫ではなく、変態もしません。
クモは体が頭胸部と腹部の2つにわかれ、頭胸部に8本の足があります。ダニも同じつくりをしています。ノミ・シラミは昆虫です。
ダンゴムシやミジンコは甲殻類、エビ・カニの仲間です。
土中は水分が保たれるので、土中を好む生物は乾燥に弱いことが多いです。電灯の役割は明るくすることよりも温度を上げて土の表面を乾燥させることにあります。
この実験から、あまり日当たりの良くない場所が適しているとわかるはずです。
顕微鏡の操作手順は理由とセットでおぼえておきましょう。対物レンズよりも接眼レンズをさきに取り付ける。→「鏡筒内にホコリなどを入れないようにするため」、はじめにプレパラートと対物レンズを近づけておき離しながらピントを合わせる。→「プレパラートを割らないようにするため」。
上図のように大きなだんご状のつぶができると、土中のすき間が増えます。このすき間に空気や
水をたくさん含めるようになるので、植物が育ちやすい土壌になります。
ミミズが畑に良い生き物とされる理由のひとつも土中にすき間を空けてくれることです。
(地学)地球に関する問題。
地球に関する総合問題、何の単元だとひとつにしぼることができません。内容も知識・計算幅広く出題されています。難問というわけではないので、5~7分程度で終わらせたいところです。
ニュートンは引力。ガリレオは振り子や物体の落下、望遠鏡、地動説。ライト兄弟は飛行機。キュリー夫妻は放射性物質。ファーブルは昆虫。知っている人物ばかりだと思いますので、覚えておきましょう。
地球と月はたがいの引力で引かれ合っています。海水も影響を受けます。
山で袋がぱんぱんにふくらむのは、標高の違いによる気圧差で内側の空気が膨張するからです。標高を変えなくても温度差によって内と外に気圧差をつくることができます。
化石燃料を燃やす火力発電が二酸化炭素排出、地球温暖化の原因になっていることは常識ですよね。化石燃料は生物の死骸などが変化したもので、石油は動物、石炭は植物がおもな原料です。
まずは2mのずれが何回起きたのかを計算し、その回数で20万年を割って周期を出しましょう。
原因は様々ですが、地盤が盛り上がったら隆起、沈み込んだら沈降です。
理科で出題されることは非常に珍しい問題です。V字谷が沈降して湾になった地形をリアス式海岸といいます。社会で習いますよね。
単位が秒速何mなので、それに合わせて計算しましょう。17000×1000でメートルに、23×60×60で秒になります。
(化学)状態変化と溶解度に関する問題
前半の状態変化は難しくありません。計算すれば正解できる問題を、知識・思い込みによって失点しないよう丁寧に解いていきましょう。後半の溶解度の問題は難度がぐっと上がります。理科が得意な生徒はこのあたりが他と点差をつけるチャンスだったはずです。
氷の体積は水の1.1倍などと、計算問題を中途半端な知識で答えてはいけません。問題文に書いてある情報が最優先です。
状態変化しても物質の重さは変わりません。氷は0.9gで1㎤あるので、水が100gある場合にはその何倍になるのか計算しましょう。
状態変化中の温度は一定です。温度が上がっているということは中の状態は「〇〇のみ」です。
水→水蒸気の状態変化が「ふっとう」ですよね。このときの温度(100℃)をふっ点、水→氷の温度(0℃)をゆう点といいます。
「空気中の水蒸気が冷やされて水滴になった。」ですよね。どこにあった水蒸気なのか書きましょう。
→合否を分けた一題へ
(物理)電流と磁界に関する問題
磁界・電磁石に関する基礎知識を中心とした出題です。最後の大問なのでいちばん難しいと思いがちですが、大問3の計算とくらべるとかなり得点しやすい問題になっています。全体を見渡して得点しやすい問題から解くように作戦を立てられると優位に立てそうです。
電気を通しやすい物質(導体)は金属と炭素(鉛筆の芯)を覚えましょう。
磁石にくっつくのは金属の性質ではなく、鉄特有の性質です。他にニッケル・コバルトなどもありますが、出題頻度は極めて低いので、鉄だけ知っていれば良いでしょう。
コイルに電流を流して磁石と同じはたらきをするようになったものを電磁石と呼びます。「はたらき」という表現にまどわされて何も書けないということの無いようにしましょう。
電磁石のはたらきを利用しているものと言えばモーターです。モーターを利用している、回転移動しているようなものを選びましょう。目覚まし時計などもよく出題されます。
とても基本的な問題です。導線が方位磁針の上下どちらにあるのか気を付けて解きましょう。方位磁針
の針が真横を向くことは通常ありえないですが、問題文に「地球の磁力の影響は考えない」とあるので、気にせずいつも通り、左右どちらにふれるかだけを考えましょう。
電流計は回路に直列つなぎ、-端子は大きい方から、+端子は電池の+極につなぎます。
電磁石を強くする方法は巻き数を増やす、電池を直列につなぐ、太い鉄心を入れる、の3つです。
モーターを同じ方向に回転させ続けるためには「整流子」のように、半回転ごとに電流の向きを変える装置が必要ですが、半回転分は電流が流れないようにして勢いで回るようにしても回転し続けられます。
(7)(8)の条件と似ています。電流か磁界を強くすればモーターの回転を速くすることができます。磁界は磁石に近い場所ほど強いことを忘れないようにしてください。
一題と言いつつ、三題選んでしまいました。この3問は全て同じ発想が必要になるからです。3問連続で失点する可能性も十分にあるので、あえて一題を選ぶとしたら、きっかけとなる(7)でしょうか。
通常であれば溶解度計算は「50℃の水200gに解ける物質は何gですか」など、水の量が決まっている問題から出題されます。しかし今回の試験はそういった基本レベルの出題が無く、水ではなく水溶液の重さが示されている問題が3問も続きます。
「まず水の量を計算する」でも良いのですが、飽和水溶液の量どうしをくらべて「割合で計算する」方法で1つでも多く得点しましょう。
水の重さではなく水溶液の重さがわかっている問題は難度が上がります。表の数値は水100gの場合のものなので、それを基準にして何倍になっているか、割合の計算をしましょう。