中学受験の算数の最高峰である開成中学の算数を攻略するには、算数の総合力において最高峰を目指す必要があるのは紛れもない事実です。そこで、この最高峰に挑む生徒たちに、私が実践している指導方法を披露してまいります。
まずは問題の条件に即して手を動かすことが大切です。書き出していくうちに規則を見つけ、その規則を利用して式を立てていく発想は、他の男子最難関中の算数の過去問を通しても身につけていくことが可能でしょう。もし規則を見つけることができなかったとしても、答案用紙に自らの考えの道筋を書き残すことで、部分点を見込むことができるでしょう。
問題の誘導に乗っていくことも大切です。幸い開成中学の算数は(1)が(2)のヒントになり、(2)が(3)のヒントになるような親切な出題構成になっています。
とは言え、実際に完答することはかなり難しい分野です。いかにして問題に食いつくのか、どうすれば部分点が見込めるのか、そもそも試験時間内に解くべき問題なのかを、講師のアドバイスを基に判断していきましょう。
まずは条件に合うように式を立てましょう。当てはめてみて、およその見当をつけることも、問題の意味をつかむという点では、かなり有効です。
とは言え、この分野も、もし大問単位で出てきたならば方針の立て方や調べ上げる手間など、難易度が高く完答することが困難な場合も散見されます。その際は部分点を狙っていくほうが現実的であると言えるでしょう。
問題文の条件を自分なりの形で整理しましょう。線分図が一般的ですが、ダイヤグラムや、言葉による条件の羅列でもよいです。そのまとめ方がうまくいった場合は、大問を完答することも比較的容易な、演習量がモノをいう分野です。
もし正解できたとしても講師のアドバイスは必須です。より問題に適した解法を、またより自らの得意な方法を模索していきましょう。
平成23年の4をはじめ、近年の開成中学の図形の問題は典型問題から出されることが多いです。算数オリンピックのような発想力ではなく、分かっている数字を書き込む、図形の特徴を用いる、相似を探す等、基本的な発想を大切にしましょうという開成中学からのメッセージなのではないでしょうか。近年の開成中学の出題では、最も完答が期待できる分野です。
注意したいこととしては、平成21年1や、平成13年の3のように、汚い数字が出ることも少なくないことが挙げられます。試験会場で動じないよう過去問演習を通じて慣れておきましょう。
もちろん正解できたとしても、講師のアドバイスを仰ぐことは必須です。様々な知識・視点を吸収することで、解法の幅を広げておきましょう。
広い記述欄が存在する開成中学の算数においては、数字を連ねただけの式よりもむしろ、答えを求めるためのプロセスが重視されます。採点者に授業をするつもりで答案を仕上げましょう。その際に注意したいのは、式の羅列にならないことです。自分が採点する時、どんな答案だと採点しやすいでしょうか?言葉による補足を加えることや、図や表で説明することが必須です。
答えが求まらない、方針が思いつかない場合は「どこまで考えたのか」を明確に示すことが肝心です。解答用紙でも「(注意) 式や図や計算などは、他の場所や裏面などに書かないで、すべて解答用紙のその問題の場所にかきなさい」と明示されているように、開成中学では答えそのものではなく、答えを導くためのプロセスが重視されていることが分かります。もちろん、相当の部分点も見込まれるでしょう。
ただ、この答案づくりも生徒間の個人差が大きいのが事実です。私が見てきた生徒の多くは、始めは論理的に破綻した答案でも、添削と書き直しを繰り返すことで、冗長すぎる答案を経て、最終的には無駄がそぎ落とされた良質な答案を書きあげるようになりました。
したがって専門家による添削指導は必須です。私も、個々の生徒の個性を活かしながら、より高得点が望める答案を作れるよう、効果的な添削指導をしてまいります。
年度によって出題の傾向が変化する開成中学ですので、試験開始直後に、問題すべてに目を通し、おおまかな時間配分を考えることが必要です。最後に少なくとも10分は見直す時間を残すとして、残りの50分をどう使うのかで合否を左右します。
ただ計算のスピードや、分野による得手不得手は個人差が大きいので、第三者による分析、アドバイスが必要となることは否めません。残念ながら、この最適な時間配分の提案は保護者の皆様には難しいのではないでしょうか。そこで私は、生徒の特徴に応じた時間配分を立案し、実践させてきています。