開成中学の入試問題は、基本的に与えられた文章の中から、設問の指示に従って対比や因果などの論理を使って考えていくことを忠実に求めている。
だから、解答の手がかりを探さずに解答を書くとなかなか点数が取れない。
開成中学ほど、高度な情報処理能力を求められる学校はないだろう。
純粋な国語力も求める麻布や筑波大付属駒場中とは違ったタイプの入試問題である。
2011年度は、特別難しい内容ではなかった。むしろ、2010年度の入試問題のほうが難しかったと思う。では、なぜこのような現象が起きたのだろうか。
1つは、設問文を読んで、難しく頭の中で考えてしまい、上記で述べたように解答の手掛かりをつかんで考えるということができなかったからではないだろうか。
特に、文章の中で象徴的に描かれている動植物の意味を考える問題が二題出題されたことが受験者を戸惑わせたのではないだろうか。
もう一つは、「わかりやすく」という設問条件を真面目に受け取り、必要以上に詳しく書いて時間オーバーになってしまった可能性が高いということだ。
この表現が使われたのは、7問中4問もあるので、丁寧に書いていたら時間オーバーになるのは容易に想像できる。
この他にも要因が考えられると思うが、記述量が増加傾向であるのは間違いないので、開成中学志望者は、しっかり記述力を身に付けて入試に臨んでいただきたい。
近年の開成中学の入試問題は、算数の易化によって算数で差がつかなくなっているので、ますます国語の出来が重要になっている。
開成中学志望者は算数対策ばかりせず、しっかり国語(特に記述)対策も行ってほしい。
1、2年前に出版された題材はあまり出題されない。だいたい、出版されてから5年以上経過した題材が多いのが特徴だ。
文章のテーマは、「生き方」、「親子の愛情」、「戦争と平和」など様々だが、総じて日本の歴史や文化、愛情を背景に描かれたものや、哲学的なもの、戦争を題材としたものが好まれている。
これは、「開物成務」(人間性を開拓啓発し、人としての務めを成すという意味)、「ペンは剣よりも強し。」という開成中学の校風が関係していると思われる。
文章構成は、論説文や随筆文+物語文という二題構成が主流になりつつある。
記述問題が中心だが、漢字の書き取り問題も出題される。
漢字の問題は標準レベルなので、すべて正解するのが望ましい。
記述問題のタイプは、
文中の言葉を使ってまとめるもの、自分の言葉で言い換えるもの、自分の意見を述べるもの、以上3つである。
設問内容は、
細部の問題では、傍線部の意味や理由説明、心情説明がほとんどだ。
文章全体を通しての問題は、題名や象徴的なものの意味を問うもの、表現効果を問うもの、段落の要約、要旨説明、心情の変化を説明するものが多い。
このように開成中学は、さまざまなタイプの記述問題が出題するので、対応が難しい。
開成中学志望者は、幅広く多くの記述問題を解いて訓練していくことが望ましいだろう。
ただ難易度は、麻布中や桜蔭中と比べて低いので、それほど難問を解かなくてもよい。