一 | 問一A 問二C 問三B 問四A 問五B |
---|---|
二 | 問一A 問二B |
A…開成中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
比喩的表現の意味を具体的に説明する記述問題です。
傍線部直前の複数の事柄(「スイミング」、「サッカー」)を「(まるで)缶蹴り(のようなもの)」と表現している理由は何か? それは、傍線部後半から直後の「金が要る時代になったのだ、と諦めている」という表現からうかがえます。「もともと金がかかるものではなかった」ということから「体を動かした遊び」という意味が浮かび上がります。「時代の変化」が分かるように説明すれば、問題ありません。
複数の言動から二つの異なった心情を確認して具体的に説明する記述問題です。
まず傍線部冒頭の「それ」という指示語が示す言葉(「…お墓を移すの手伝いましょう」)からうかがえる心情を確認しますが、これは難しくはありません。直前のエピソード(墓の枝を折った)から「後ろめたさ」が導かれます。
難しいのは、もうひとつの心情です。傍線部の「…味噌漉しを使う…」は何を意味しているのか? 5~3行前の「手作りの物を…置きたくなった…。…流産してしまってから…」
がどうやら手がかりであろうことは分かるとしても、ここから「つらさをまぎらす」という感情を読み取るのは、なかなか困難であろうと思われます。
表情から複雑な心情を具体的に説明する記述問題です。
傍線部を含む文の直前の文は、最後の部分が「……。」という省略になっています。
ここにどのような意味が読み取れるかということがポイントになってきます。むろん、この内容は、さらに手前に示されている祖母の言葉をふまえたものです。とすると、「……。」で省略された内容は「家を建てることはできなかった」であるということが浮かび上がってくるわけです。このように指摘すると簡単に思われるかも知れません。しかしながら、文章前半(傍線部1の手前)で説明されている「経済的に苦しい状態」を意識していないと、充分な解答はできないはずです。意外に難問であると言えるでしょう。
行動から心情を具体的に説明する記述問題です。
対象(「木」)への心情を間接的に表す言葉は、台詞によって繰り返し強調(「自分と同じ年で死んだ…」)されていますので、理解できずに悩んだという受験生はあまりいなかったのではないかと思われます。
二人の人物の性格の違いを具体的に説明する記述問題です。
文章を読みながら「性格がうかがえる言動」を意識的にチェックしていなかった受験生は、情報検索に手間取ったのではないでしょうか。また、自分の言葉で言い換えるところで悩んだ受験生は多かったのではないかと想像します。「文章中のさまざまな表現を検索したうえで、それを自分の言葉で言い換える」という作業の大変さという意味では、平成27年度の物語文の最後の記述問題を思い出させるような出題でした。
漢字の書き取りの問題です。
敬語の用法について説明する記述問題です。詩の出題でありながら、いきなりこの切り口です。受験生も驚いたことでしょう。平成22年度の敬語の出題(「~ございます」)が思い出されますね。
合否を分けた一題
平成26年度以来、3年ぶりに「詩」が出題されました。今回も易しい言葉で書かれた作品でしたが、設問の性質は前回とは大きく異なります。先述した問一の内容を受けて、
「本来的には誤っている言葉をなぜ使っているのか」という問い方をしてきます。つまり、「表現効果から読み取れる心情」を説明する記述問題になっているというわけです。
今年度の開成の国語の出題で最も難しかったのは大問一の物語文の問二であろうと思われますが、難しくて「差がつかなかった」とも考えられます。その点、この大問二の問二は、詩の対策をしっかりとしてきた受験生、つまり「比喩をはじめとする様々な表現の工夫によって強調される心情を読み取る方法を学習」してきた受験生であれば、しっかりと解答できていたのではないかと思われます。「差がついた」、「合否を分けた一題」です。
解き方の手順
①詩の冒頭2行を再確認しましょう。題名になっている「アイスクリーム」がどのようなものであるかが表現されています。
⇒「とても高価で貴重である」
↓
②傍線部直前の1行を再確認しましょう。
⇒「自分は本当は立派な人ではないが」
↓
③傍線部の後の表現の特徴から、作者の気持ちを浮かび上がらせましょう。
⇒「リズミカルなカタカナ語のくりかえし」
「『~ね、~ね』という呼びかけの多用」 ⇒「気持ちの高まり」
④解答要素を整理します。
⇒「とても高価で貴重だった食べ物であるアイスクリームを口にするときの気持ちの
高まりによって、自分がまるで立派な人であるかのような気分になったから。」