(筆者が)子どもたちの遊び場を残してもらうために彼らだけの秘密を他の大人たちに知らせたことで、結果として子どもたちの遊びをすたれさせてしまったから。
理由説明の問題。傍線部手前で解答要素の多くが確認できる標準レベルの設問です。
傍線部手前の二文は
A「けれど…子どもたちのオバケ遊びはすたれてしまった…」
B「自分たちだけの秘密が大人に知れてしまったからだ」となっています。
設問は「ぼく(筆者)」が「余計なことをしてしまった」理由を求めていますから、意味上の主語を「筆者」とし、説明の順序をととのえ(AとBを入れかえ)ます。
この説明でとめてしまうと、「なぜ『秘密を知らせた』のか?」という疑問が生じてしまいますが、Aの手前の文を確認すると、その理由(目的)が分かります。
どちらも「祟りとご利益」のことを言っているが、アは「崇り」を感情にうったえているのに対し、イは「ご利益」を理屈で納得させようとしている。
二つのことがら(指示内容)の性質の違いを説明する問題。2013年度の問二を思い出させますが、アプローチの仕方はまったく異なります。「自分の言葉」で「対比」を明確にしなければなりません。文章中の語句に直接頼れないという意味では、難問かも知れません。
まず、波線部アとイを比較しましょう。言葉をただ具体的にとらえているだけでは正解は導けません。「抽象化」の視点が必要です。
さらに、それぞれの言葉に対する「反応」を確認してみると
あとは、共通点である「祟りとご利益」を明示すれば、違いが明確化できますね。
下草を刈っただけでは本当に蚊がいなくなるわけではないということ。
蚊を退治して住み心地を良くしても環境の美化にはならないということ。
問題点を二つに分けて説明する問題。これは開成が永らく求め続けていた「情報整理力」に深くつながる設問であると言ってよいでしょう。読みながら次のような確認ができていれば楽に正答できます。
自然を乗り越えるものが文明であるという近視眼的な考え方ではなく、祟りやご利益といった、自然を大切にする気持ちをもつ必要がある。
筆者の意見を説明する問題。本文最後から三つ目の段落にはこうあります。
「これは…人間の…根本的問題なのかもしれない」
その二つ前の段落では
「これは…環境問題の典型的なパターンであると…直感した」
↓
「大人たちの近視眼的な願望」
いっぽう、傍線部⑤の手前を確認すると、次のように説明されています。
「それが問題なのではあるまいか」
↓
「それを乗りこえるものが…文明であると…認識されてきた」
↓
「祟りの感覚」 ⇒ 「自然を大切にする気持ち」
あまりよいイメージがないにもかかわらずほめられた「おなら」について人のように表現して親しみを感じさせているところ。
表現効果を説明する問題。ポイントは以下の二点です。
① 擬人法 ⇒ 親しみ
② イメージの逆転
あとは、「説明の順序をどうするか」ということですが、設問にある「『きょうしゅく』という言葉に気をつけて」という指示にそって、「擬人法の効果」を説明を後半で強調するようにしましょう。
ただの「おなら」が美しいものに感じられるほど、孫に対して愛情を抱いている。
比ゆ表現の意味から心情を説明する問題。これは易しいでしょう。
「しんじゅ」。ここから導かれる意味は「美しい」。詩のなかでも使われている言葉です。
あとは詩の最後の二行「まるで…じぶんのまごででもあるかのように…」。ここから「愛情」を読み取るのはさして難しくはないはずです。詩を好んで出題する学校の代表である筑波大附属駒場は、「自然と人間」・「弱者へのいたわり」・「家族愛」といったテーマを色濃く描いた作品を出典としてきましたが、今回の開成の詩の出題はそれをなぞっているのではないかと思わせるものでした。実際、筑波大附属駒場の平成14年度の詩の出題も「孫への祖父の愛情」が主題でした。大問一の問三のような「違いを説明させる」問題とあわせてみても、開成中学の出題は「筑駒」に近づこうとしているのかもしれません。