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社会の合否を分けた一題

海城中入試対策・社会の合否を分けた一題(2017年度)

A…海城中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

難易度表

問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5(A)A(B)A(C)A
問6 A 問7 B 問8 A 問9 A 問10 B

出題総評

2017年度の海城中学は例年通りの出題となっていて、前半は記号選択・語句問題、後半は150字程度の記述問題が数問と他の学校にはあまり見られない独自の出題です。

海城中学の社会科で得点するためには、リード文の読解や資料の読み取り、記述力が必要です。
リード文は国語を思わせる長文のため、話題ごとに文章を読み分けて行く必要があります。また、リード文に合わせて資料やグラフが用いられるため、その読み取りや時代背景に関する知識が必要となってきます。
そして、後半の150字を超える記述問題ではリード文や資料から分かることや考えられることをまとめる必要があります。したがって、記述の練習をしっかりと積んでおくとともに、余白に設問条件や構成(どういう順で書いていくか)を書き出す練習も合わせて行ないましょう。

問題構成は、選択肢が3問、5問、記述が4問の計12問です。
記述は、50字が2問、100字が1問、150字が1問と例年通りといえます。
50字の記述問題は設問・リード文のキーワードから、知識を用いて解く問題です。
100字の記述はテーマとなっている事柄に関しての知識を中心に、現代と昔の違いを答える問題です。
150字記述は、海城中で例年出題されている形式の問題で、資料や図から読み取れることを踏まえて記述する問題です。

問題別寸評

(地理・歴史分野)「自動車」をテーマとした地理と歴史の複合問題です。
2016年は「道」2015年は「温泉」2014年は「食文化」と様々なジャンルがテーマとなっています。今年は「自動車」がテーマとなっていて、歴史の時代背景をもとに地理分野の問題を答えていく出題形式でした。

問1

ガソリンとモーターを組み合わせたのは「ハイブリッド車」です。

問2

日本では、石油は工業製品の用途よりも燃料として使われる量の方が多くなっています。したがって(ウ)
が誤りです。自動車等の燃料としての使用が最も多く、発電での使用が続きます。この2つの用途で全体の石油使用量のうち半分を占めています。また、東日本大震災における原子力発電の停止を受けて火力発電の割合が90%を占めることから、最近は発電の燃料としての用途が増加しています。

問3

1769年の出来事を答える問題です。
ア杉田玄白が『解体新書』を表したのは1771年です。
イ島原天草一揆が起きたのは1637年です。
ウ渋染一揆が起きたのは1857年です。
エ大塩平八郎の乱がおきたのは1837年です。

問4

戦車が初めて使用されたのは、第一次世界大戦です。

問5

(A)石見銀山は2007年に世界文化遺産に登録されました。
(B)足尾銅山鉱毒事件を天皇に直訴した田中正造は衆議院議員でした。
(C)太平洋戦争時、現在のインドネシア(東インド)を統治していたのはオランダです。

問6

江戸時代、明かりの燃料となる油をとる作物は菜種油です。

問7

リード文「…設計を単一にして車体の色も黒のみとしました。一つ一つの作業を分業にし、ベルトコンベアによる流れ作業にすることで…労働者の動作をできるだけ単純…」とあります。現在の自動車生産も「一つ一つの作業が分業」となっていますが、かつてのフォード社の生産と比べると、単一の車種のみの生産ではなく、消費者のニーズに応じて様々な車種を生産しています。また、労働者の作業をロボットなどに置き換えて生産を行っています。

問8

1947年は第二次世界大戦直後です。したがって、1947年の日本は、敗戦直後でガソリンなどをはじめとする物資が非常に乏しい状態でした。当時のこのような社会情勢を踏まえて電気自動車の生産が進められていました。

問9

1971年当時の時代背景を考えます。1967年に公害対策基本法、1971年に環境庁の設置など、当時は公害問題が深刻化している時でした。そのような深刻化する環境問題に対応していくため電気自動車の開発がすすめられたと考えられます。

問10

合否を分けた一題で取り上げます。

合否を分けた一題

海城中では、例年資料や図を読み取り記述する問題が出題されています。
資料や図の表す内容を読み取るだけではなく、複数の資料から共通することを考えることも必要です。
試験時間は十分あるため、資料から読み取れることを箇条書きにして整理してから記述する習慣をつけておきましょう。その際には、数値などの資料から読み取れることの「説明」だけではなく、「その結果から考えられること」を含めて記述を作成しましょう。「その結果から考えられること」はリード文中にヒントが書かれています。
リード文と資料を読み取り、簡潔にまとめる論理的な力が必要とされています。

問10

資料の整理を行っていきます。

資料1は「日本の工業に占める自動車工業の製造品出荷額」の割合を表すグラフです。
この資料から読み取れることは、輸送用機械、特に自動車が全製造業のうち最も高い割合を占めています。したがって、自動車などの輸送用機械の生産が日本の中心産業となっていることが読み取れます。

資料2は「自動車の組み立て工場と部品会社とのつながり」を表す図です。
この図から読み取れることは、自動車の生産には多くの関連工場がかかわっていることです。

資料3は「ガソリン車の生産に必要な部品の割合と、電気自動車を生産する場合に不要となる部品の割合」を表す資料です。
円グラフから、電気自動車に切り替えることによって36%の部品が不要となることが分かります。
また、右の□の欄に「電気自動車を生産する場合に新たに必要となる部品の数はおよそ2100点くらい…」と書かれていることから、電気自動車への切り替えによって多くの部品が不要になります。

上記の資料1~3から読み取れることを踏まえてまとめます。

燃料自動車から電気自動車へ切り替えることによって多くの部品が不要になる。

多くの部品が不要になると関連工場での仕事の受注が減ってしまう。

失業につながる。

(自動車工業は、日本の主力産業であるため、ガソリン車から電気自動車への転換は、産業構造に大きな変化をもたらすことが考えられる。)

上記の順で記述を作成していきましょう。

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