1 | 問1 A 問2 A 問3(1) A (2) B 問4(1) A (2) A 問5 A 問6 A 問7 B |
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2 | 問1(1) A (2) A (3) A (4) A 問2(1) A (2) A (3) C 問3(1) A (2) A問4(1) C (2) B 問5 B 問6 A |
3 | 問1 A 問2(1) A (2) B 問3 A 問4 (1) A (2) A (3) B |
4 | 問1 A 問2(1) A (2) A 問3 B 問4 A 問5 B 問6 A 問7 B |
A…海城合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2019年度の海城は、例年通り、基本的知識を問う問題が中心です。
全体平均が47.2点(昨年度43.5点)、合格平均が51.5点(昨年度49.9点)と、やや上がっているものの、難易度としては安定している印象です。
物理分野は、振り子の運動についての問題。
化学分野は、アルミニウムの精錬方法についての問題。
生物分野は、概日リズムについての問題。
地学分野は、水の循環と岩石の循環についての問題。
物理→化学→生物→地学 のならびは、例年通りです、
物理分野の「数量の関係を表すグラフを選ぶ問題」は毎年出さているので、対策が必要です。「一定」「比例」「反比例」「2乗に比例」「和が一定」といった典型的なグラフの形を確認しておきましょう。
取り上げられている題材は、小学校のレベルをはるかに超える高度なものを含んでいるため、問題文を読み取る力と、グラフから手がかりを見つけて処理する力が求められます。文章を読み進むにつれて、随所で気づきがあったり、論理的に納得する部分があったりすると感じれば、これまで学習してきた知識が身について使えるものになっている証拠です。この状態を目指して、普段から根本原理に立ち返って考えるくせをつけておきましょう。
問題構成は、4分野から大問4題、小問42問。
解答形式は、記号選択が21問、言語が9問、数字が7問、記述が5問。去年あった作図はありませんでした。
選択肢は、全体に選びやすくなっていますが、論理的に考える力が必要なものもありました。
計算は、計算そのものは煩雑ではありませんが、問題文から数字を拾ってくる問題ではミスに注意しなければなりませんでした。
記述は、2行程度のものが4問、1/2行程度のものが1問でした。
(物理)振り子の運動についての問題です。
実験結果のデータをもとに規則性を見つける問題です。実験そのものはごくオーソドックスな内容で、迷うところはありません。とはいえ、数量の関係をグラフにしたものを選ぶ問題は、しっかり考えなければ正答できないものでした。
結果1の表の数値を使って計算します。★の値が一定ということは(10往復の時間)を2回かけた数と振り子の長さが比例の関係になります。
問1で求めた式を使って計算します。
A=22×22÷4=121→ア
B×B=4×50=200 なので、最も近いのは14×14=196 したがって→オ
海城定番のグラフを選ぶ問題です。数量の関係を論理的に考えて、あてはまるグラフを選びます。
(1)(周期)は(10往復の時間)の1/10ですから、(周期)×(周期)は(10往復の時間)×(10往復の時間)の1/100です。(10往復の時間)×(10往復の時間)と(振り子の長さ)は比例するので(周期)×(周期)も(振り子の長さ)と比例の関係です。(0、0)を通る直線のグラフ(イ)を選びます。
(2)(周期)×(周期)と(振り子の長さ)が比例するので(周期)と(振り子の長さ)の関係は、横軸が(周期)とするとウのようになります。逆に、横軸が(振り子の長さ)ならエのようになります。
振り子の周期は(振り子の長さ)で決まります。
(1)アルミ球のおもりの重心は、実験1のおもりと同じ位置なので(振り子の長さ)は変わりません。
(2)鉄球の直径が3cmのとき、(振り子の長さ)が0.5cm(3÷2-2÷2)長くなります。したがって、周期も長くなります。
実験から周期を求める方法は基本の知識ですから、海城受験生ならよく理解しているはずです。ここでは、具体的な数字を出して確認していく作業になります。
C:正確な値は2.0秒、誤差は0.1秒(2.1-2.0)ですから、誤差の大きさの割合は、×100=5(%)
D:正確な値は2.0秒、誤差は0.01秒{(20.1-20.0)÷10}ですから、誤差の大きさの割合は、×100=0.5(%)
左半分は長さ100cm、右半分は長さ50cmの振り子の周期を求めます。【実験1】の結果の表と問2から、長さ100cmの振り子の周期は2.0秒、長さ50cmの振り子の周期は1.4秒とわかります。これを1/2周期ずつ足し合わせると1.7秒(2.0÷2+1.4÷2)となります。定番の問題ですから、ミスをしないようにしましょう。
おもりの速さは、手をはなしたときは0で、だんだん速くなり、支点Oの真下で最も速くなります。このあと右に動くにつれて、だんだんおそくなり、右に振りきったときの速さが0です。再び左へもどって支点Oの真下で再び最も速くなり、もとの位置にもどるときの速さは0です。グラフを選ぶポイントは、手をはなれてから真下までにかかる時間の方が、真下から右に振りきるまでの時間より長いということです。これは、周期のちがいによるものです。
(化学)アルミニウムの精錬方法についての問題です。
2018年のニュースからの題材です。二酸化炭素を排出しないアルミニウム精錬技術の商業化にむけて、企業や国家が投資するというニュースでした。ノーマークだった生徒がほとんどだと考えられます。小学校で学ぶ内容を越えた内容なので、本文を読み取る力が問われます。
正しい。
正しい。
(3) アルミニウムは磁石につきません。磁石につくのは、鉄・ニッケル・コバルトとおぼえておきましょう。
(4) 熱伝導率は大きいものから、銀>銅>アルミニウム>鉄 の順です。これも基本の知識です。
(1)・(2) 発生した気体が二酸化炭素であることを確かめるときは、石灰水に通して白くにごるかどうか確かめます。基本の知識です。
(3)→合否を分けた一題参照。
(1)「とける」ということばの意味についての問題です。「氷がとける」のは、固体から液体への状態変化ですから「融解」です。また、「水に塩化ナトリウムがとける」のは「溶解」です。
(2)「融点」は固体が液体に変化する温度のことです。氷晶石の融点が約1000℃、酸化アルミニウムが約2000℃なので、1000℃になるとまず氷晶石が融解します。融解して液体になった氷晶石に酸化アルミニウムを溶解して、電気分解をする溶液をつくります。
水の電気分解で、うすい水酸化ナトリウム水溶液を使うことをおぼえていた生徒は、(2)は解答できたはずです。(1)については、中学3年で学習するイオンについて知っていなければなりませんでした。
(1)塩酸は、塩化水素(HCl)の水溶液です。これを電気分解すると、プラス極に塩素イオン(Cl-)が引きつけられて気体の塩素(Cl2)が発生します。また、マイナス極には水素イオン(H+)が引きつけられて気体の水素(H2)が発生します。
(2)水酸化ナトリウム水溶液は、固体の水酸化ナトリウムの水溶液です。水に溶けると水酸化物イオン(OH-)とナトリウムイオン(Na+)に分かれますが、ナトリウムイオンはイオンのままの方が安定するため、電極に出てくることはありません。そのかわり、水酸化ナトリウムを溶かしている水の方が分解され、プラス極に水酸化物イオン(OH-)が引きつけられて気体の酸素(O2)と液体の水(H2O)になります。また、マイナス極には水素イオン(H+)が引きつけられて気体の水素(H2)が発生します。
はじめの文章に、ホール・エルー法でアルミニウム1トンをつくるとき、電気分解するときに排出される二酸化炭素は12.7トンで、精錬に必要な電気は一般家庭3世帯の年間消費電気量に相当するとあります。問5では、この一般家庭用電気を発電するために使うエネルギー源の割合と、それぞれの二酸化炭素排出量が示されているので、これを使って精錬に必要な電気を発電するときに排出される二酸化炭素量を計算すると、(2.2×50/100+4×30/100+3×10/100)×3=7.8(トン)となります。合計すると、12.7+7.8=20.5(トン)の二酸化炭素が排出されます。
化石燃料を使わない発電方法であれば、発電の過程では二酸化炭素を排出しません。太陽光、地熱、水力、風力、原子力などがあげられます。
(生物)概日リズムについての問題です。
基本の知識を確かめた上で、実験の結果から概日リズムのメカニズムについて考える問題になっています。
選択肢はどれも、よく目にする植物の種子です。アはインゲンマメ、イはトウモロコシ、ウはカキ、エはイネです。
オジギソウの就眠運動についての説明を読んで考えます。
(1)葉柄が垂れるときは、葉枕下部がうすく、葉枕上部があつくなればよいので、Aを選びます。
(2)水が移動して、水を多くふくんだ細胞は大きく、水が少ない細胞は小さくなります。
2017年ではなく、2018年のノーベル生理学・医学賞です。日本人が受賞し話題になりました。
マウスを使った体内時計の実験です。
(1)アのカブトムシとエのモモンガまたはムササビは夜行性です。イのハトとオのリスは昼行性です。ウのコアラは朝夕の短い時間だけ活動し、1日のほとんどを寝て過ごします。夜行性を3つ選ぶので、ア、ウ、エと解答します。
(2)図4から、10日間で4時間(18-14)ずれていることがわかります。1日に、4×60÷10=24分ずつ短くなるので、マウスの概日リズムは、24時間-24分=23時間36分 です。
(3)1日目から5日目までは明暗のサイクルがありますが、6日目から夜だけになります。このことから、マウスの体内時計は、光の刺激に関係があることがわかります。
(地学)水の循環と岩石の循環についての問題です。
火成岩が流水のはたらきで浸食・運搬されてできた堆積物について考えるとき、火成岩の知識と堆積岩の知識をつなげて柔軟に考える力が必要です。ここで使える知識として身についているかが問われます。
V字谷、扇状地、三角州は、川によってできる地形の代表的なものです。しっかりおさえておかなければならない知識です。
(1)水の総量は一定ですから、大気に上がる量と大気から陸地や海洋に下りてくる量が同じになるはずです。陸地から陸の大気に上がる量は、111+391-436.5=65.5(兆トン/年)です。このことから、陸地から海洋に流れ出る水の量 あ は、111-65.5=45.5(兆トン/年)になります。
(2)水の循環は、水の状態変化によるものです。水は状態変化をするときに、熱を吸収したり放出したりします。熱を吸収する状態変化では、太陽の放射熱が必要です。
図3は、高校地学基礎で学ぶユルストローム図です。中学受験でも何校かで取り上げられることがあったので、見たことがある生徒もいたかもしれません。一見、わかりにくように感じるかもしれませんが、そのまま読み取ればよいだけです。「粒子が一定のとき、流速でどう変わるのか?」「流速が一定のとき、粒子の大きさでどうかわるのか?」といったように、条件を決めて読み取ってみることがコツです。
ア・イ:侵食作用は、止まっていた粒子が動き出すことで起こります。曲線Xより流速が速い領域Ⅰがあてはまります。
ウ・エ:堆積作用は、流れていた粒子が止まることで起きます。曲線Yより流速が遅い領域Ⅲがあてはまります。
オ・カ:Zの点は曲線Xより遅いので、止まっていた粒子は動きません。また、曲線Yより速いので、流れていた粒子は止まりません。粒子の状態によって動くか止まるかがかわるので、どちらもあてはまりません。
図4から、大雨で水量が増えた川が多くの土砂を運び、河口から海に流れ出している様子がわかります。水量が多いと流速が速くなり、侵食作用と運搬作用が大きくなります。
ア:角閃石は有色鉱物ですからまちがいです。
イ:本文に「上流にある岩石が風化、侵食されて小さな粒になり」とあるのでまちがいです。
ウ:レキ岩、砂岩、泥岩は、粒の大きさで決まります。図1のつぶは、大きいものでも2mm未満なので、砂岩で正しいとわかります。
エ:石英は火成岩にふくまれる粒ですから、もともとマグマだったはずです。したがって、化石を含むことはありません。
堆積岩は6種類(レキ岩、砂岩、泥岩。凝灰岩、石灰岩、チャート)とおぼえておきましょう。このうち、生物の遺骸が固まってできたものは、石灰岩(サンゴや貝類)とチャート(ホウサンチュウ)です。
堆積岩が地下深くに運ばれるとマグマのもとになり、これが火山活動などで地上に出ると、川のはたらきで海に運ばれて再び堆積します。この循環は、マントル対流を引き起こす地球内部の熱によるものといえます。
酸化銅と炭素を混ぜ合わせたものを熱すると、炭素が酸化して二酸化炭素になり、酸化銅の酸素が離れて銅になることは、知識として知っている生徒がほとんどのはずです。ところがこの実験では、水がたまっているとあります。この水をどうとらえるかが、ここでは大きなポイントとなります。水の発生は化学反応によるものではないことを踏まえたうえで、では、実際に実験で使う物質というのは、そもそも水分があらかじめ含まれている可能性があること受け入れなければなりません。もちろん、このような実験を行ったことがある生徒にとっては、至極あたりまえのことかもしれませんが、そうでなくても、強い気持ちで取り組むことができたかどうかが合否を分けたと考え、取り上げました。
酸化銅と炭素の化学反応(2CuO+C→CO2+2Cu)では、水が新しく発生することはありません。
まずこれが大前提です。
そうなると、酸化鉄か炭素の中に混ざり込んでいたと考えるしかありません。
混ざりこんでいた水分が熱せられて水蒸気になり、試験管の口付近で冷やされて水滴となったわけです。
その水が酸化銅から出たのか、炭素から出たのかを確かめる方法としては、酸化銅だけかあるいは炭素だけを入れて熱するという方法が考えられます。いま、「酸化銅からではなく炭素の粉末から水が出てきたことを確かめる」とあるので、これを手掛かりにします。
まず、炭素だけを試験管に入れて熱し、水が出てきたとします。しかし、この結果から、酸化銅に水がなかったことを確かめることはできません。
そこで、酸化銅だけを試験管に入れて熱します。これで水が出なければ、酸化銅に水がなかったことがわかり、もう一方の炭素に水が入っていたことがわかります。
つまり、実験の方法と結果をセットで示す必要があることになります。
実際に実験で試験管に固体を入れて熱するときは、出てきた水滴が加熱部分に逆流すると、試験管が急に冷やされて割れることがあるので、試験管の口の方を下に傾けておかなければなりません。