一 | 問一 A 問二 B 問三 A 問四 A 問五 B 問六 A 問七 A 問八 A 問九 A 問十 A 問十一 B 問十二 B] |
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二 | 問一 A 問二 B 問三 B 問四 A 問五 B 問六 A 問七 A 問八 A 問九 A 問十 A 問十一 A |
A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
今年度の海城は大問二つの構成となっており、例年通りの出題でした。海城の特徴である選択肢問題は20問もありました。海城に進学したい人は、常日頃から選択肢問題を強く意識して学習する必要があります。大問一の物語文は、高校に行って後ろ向きになっていた主人公が、中学時代の気持ちを思い出すことで前向きに、また、今ある大切なものに気づくというものでした。大問二の論説文は、ロボットと人間の共生に必要なものは、持ちつ持たれつである、というものでした。
線部までの主人公の心理をおさえれば、特に線部と対照的な表現である「自分の体を確かめながら、足を進めた」に目が行けば正解できる問いです。
線部の直前と前書きから、主人公と崎山の対比を正確に読み取り、線部の直後から、気持ちを考える問いです。気持ちの部分が選びにくかったかもしれません。
線部の直後で正解が選べる問いです。確実に取りたいところです。
話の流れのなかで、大きな転換点になる重要な部分からの出題です。さらに線部の前後をしっかりおさえ、正解を確実に選んでほしい問いです。
選択肢がなかなか厳しい問いになっています。しかし、正解の決め手になるのはやはり線部の直前。「さすがっすね」という言葉がどういう気持ちを込めて言うものなのかを考えましょう。これは相手をたたえる言葉です。それをふまえて選択肢を見比べると、唯一相手をたたえるに関連する気持ちの表現は「見直す」だとわかります。
線部の7行後にある「あんなふうに走れたらいいだろうなと思った」がどういう気持ちの表れの言葉なのかを考えられれば、正解が選べたでしょう。
線部の直後を読めば正解が選べます。落とせない問いです。
上原の次の会話文を見ます。「それに、大田君を駆り立てるものだって、そこら中に転がってる」。この内容に触れた選択肢は一つしかありません。
線部の直前の主人公の会話文に対する、上原の返答が線部だということが理解できましたか。正解すべき問いです。
選択肢二つまではしぼりこめても、その先は決め手が見つけづらい問いです。問十に関連しますが、主人公は高校生の今、どうしたらいいのかで悩み、上原にまで助けを求めている弱りようです。そのとき上原が、鈴香が主人公を導いてくれるということを気づかせてくれたのです。自分にとって今、一番大切な人が鈴香であることを思い出したのです。
高校生の主人公にとって、中学生はもう過去のこと、というよみができたでしょうか。今を、未来を大切にしなさいということを上原はいっているのです。
後ほど、合否を分けた一題で説明します。
入試で差が出るということで何度もテストに出てきた漢字が多いと思います。しっかり書いて差をつけましょう。
ロボットの強さが何なのかをおさえる問いです。
3行後の「<関係論的なロボット>の仲間」から正解を選びます。
線部の直後から正解を選べます。
線部の直後の内容の正確な読み取りが必要です。選択肢が厳しいかもしれません。
線部までの内容で、ロボットが完全でないから良いということが述べられています。ロボットの弱さが人間に掃除を手伝わせいることを考えて正解を選びましょう。
線部の後ろに出てくる、「一つ」、「もう一つのポイント」の部分を、具体的表現を使いすぎずに書けるかの勝負です。書きづらいものではなかったでしょう。
「それ」がさす内容をはっきりさせることが大切です。直前の内容を否定した選択肢を選びます。
線部の直前の内容をまとめた選択肢を選びます。
線部自体と、直前内容から正解が選べます。
全体把握の問題です。最後の段落を中心に考えると正解が選べます。
今回は大問一の問十二を取り上げます。海城の物語文の問題には、心境の変化を、きっかけをふまえて書かせるものが良く出ます。そのパターンを理解しましょう。
―線部12「俺は残っている力すべてを使って、最大限の声援を送ってくれた鈴香たちのもとへ向かった」とあるが、スタートした時とこの時とでは大田の心境に変化がみられ、その変化は「ばんばって!」という声援を送ってくれていた鈴香が、大田に何かを気づかせてくれたから起きたものであると考えられる。大田の心境がどのように変化したのかを、鈴香が大田に気づかせてくれたことに触れながら、八〇字以上、一〇〇字以内で説明しなさい。ただし、次の言葉を必ず用いて答えること。
高校
解き方の手順
心境の変化の記述のパターンは
① 前の気持ち
② きっかけとなる出来事
③ 後の気持ち
の順で書いていくというものです。
必ずとは言えないのですが、「前の気持ち」はマイナスの、後ろ向きの気持ちであるが、「後の気持ち」はプラスの、前向きな気持ちになるというのが、黄金パターンです。今回の海城の問題もまさに、この黄金パターンです。
① まずは、スタートした時の心境を見ます。
決して良いことではないのですが、前書きにうまくまとめられた表現があるので、参考にしない手はありません。
「高校で陸上部に入部するが、様々な原因からやめて、再び前のようなさえない生活を送ることになってしまった。
さらに、本文の冒頭の表現
「以前の俺なら9分台で走れただろう。あれから二年。無駄に過ごした時間は俺をどれくらいなまらせてしまっているのだろうか。」
このような部分から、
「高校に入ってからの自分にふがいなさを感じていた」というように気持ちをまとめます。
② 次に鈴香が大田に気づかせてくれたこと」というきっかけを書きます。
大田を変えたのは鈴香の声援です。崎山に離され、背中が遠のいていく中、大田は「こうなったら、二位だけは保たないとな。せめて9分台で走ろう。」と当初の目標を下げるような弱気な心になっていましたが、鈴香の声援を聞いたことで、「声をかけられると、残された力が沸き立ってくる。まだ余力があったのかと自分で驚くぐらい、手にも足にも力が満ちていく。」というように、様変わりします。
では、鈴香は大田にとってどのような存在なのか?問十でえ見たように、今の自分にとって大切な存在です。それは、一歳の鈴香の面倒を見るようになってから、自分も鈴鹿にとって欠かせない存在だと思えたことが理由です。それを鈴香の声援によって思い出したのです。
③ 最後にこの時の心境です。
走り終わった後、上原と、高校でもまだ自分のしたいことができるという話をしました。しかしそれでも「自分が走るべき場所を、自分を駆り立てるものがある場所を、どうやって探せばいいのだろう」「どうすればそこへたどり着けるのだろう」と悩んでいます。その悩みを拭き取アしてくれたのが、鈴香です。鈴香の「ばんばって」という声援から大田は「自分も捨てたもんじゃない」と自分を肯定する気持ちが芽生え始めています。自分を駆り立てるものを探しに行く気持ちになったのです。
解答
高校に入ってからの自分にふがいなさを感じていた太田が、鈴香の声援によって自分を必要としてくれる人もいることに気づくことで、自分の走る場所や自分を駆り立てるものを探し求めて行こうという気持ちになった。