1 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A 問6 A 問7 B |
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2 | 問1 A 問2 B 問3 B |
3 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A |
4 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A 問6 A 問7 A 問8 A |
5 | 問1 A 問2 B 問3 B 問4 A 問5 B 問6 B 問7 B |
A…城北合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2018年度の城北は、例年通り、物理(力学)→化学(気体の発生)→生物→地学の順の構成で、基本的知識を問う問題が中心となっています。とはいえ、物理と地学が難化傾向にあり、受験者平均で38点(昨年度47点)、合格者平均で45点(昨年度55点)と、昨年度と比べて、約10点下がっています。
物理分野の問題は、滑車の利用についての問題。
化学分野の問題は、実験手順と、水素の発生についての問題。
生物分野の問題は、種子の発芽条件と植物のはたらきについての問題。
地学分野の問題は、月食と日食についての問題。
今年も、城北定番の「力のつり合い」と「気体の発生」が、出されました。このテーマは、確実に定着させておく必要があります。また、過去問は解けたからといって、安心してはいけません。年々難化傾向にある城北にあっては、一段階上野問題に対応できるかどうかで差がつくと考えられます。しっかりと基本の知識を身につけ、見慣れない問題であっても、考え抜く姿勢を身につけることが大切です。
対策としては、実験の操作手順、実験結果の数的処理、条件を変えた場合の実験結果の予想などの問題に取り組み、演習を重ねておきましょう。また、簡単なグラフや作図・記述に対応できるようにしておくこと。記述は、問題の意図にそって過不足なく表現をすることが大切です。
普段からなぜそうなるのかを、理科的な視点で考える姿勢をもちましょう。特に、太陽と月、天体や気象に関することがらは、根本原理をしっかり身につけて、思考問題に対応できるようにしておくことが大切です。
問題構成は、4分野から大問5題、小問32問。
解答形式は、数字が12問、記号選択が10問、言語が4問、記述が3問、グラフが2問、作図が1問。
数字は、しっかり問題を把握できていれば対応できるもので、計算そのものは平易でした。
選択肢は、すべて選ぶものや、どのように考えればよいのか迷うものもあり、理科的な裏付けを考えたうえで解答しなければなりません。
言語は、ごく基本の知識でした。
記述は、どれも半行程度と短く、簡潔でありながら伝わるようにかく工夫が必要です。
グラフは、「定規を使いなさい」と指示がありますから、出来るだけ正確に美しくかくように心がけましょう。
作図は、月がどのように見えるかをかくものでした。
試験時間は十分あるので、落ち着いて取り組むとよいでしょう。
(物理)滑車の利用についての問題です。
滑車とロープを使って、荷物を引き上げます。A君とB君の体重、荷物と滑車の重さが、体重計とロープにどのように分配されるのかを考える問題です。
上向きと下向きの力のつり合いを考えます。
A君の体重50㎏を、体重計が30㎏で上向きに支えているので、残り20㎏はロープにかかります。
B君が引くロープにも、同じ20㎏がかかっているはずなので、B君がのっている体重計は、20㎏(40-20)で支えていると考えます。
ロープにかかる力は、50-40=10(㎏)
B君にかかる上向きと下向きの力のつり合いは、
10+(B君の体重計の値)=40
(B君の体重計の値)=30(㎏)
荷物と荷物をさげた動滑車の上向き(滑車をロープが支える力の合計+荷物の体重計が支える力)と下向き(滑車の重さ+荷物の重さ)の力のつり合いは、
10+10+(荷物の体重計の値)=10+40
(荷物の体重計の値)=30(㎏)
荷物が体重計からはなれると、動滑車と荷物の重さ(10+40=50(㎏))を、ロープだけで支えなければなりません。
ロープは動滑車を2か所で支えているので、50÷2=25より、25㎏の力がかかります。
したがって、A君の体重計は25㎏(50-25)、B君の体重計は15㎏(40-25)を示します。
また、ロープを引き上げる距離が、A君が30㎝、B君が50㎝なら、動滑車を支える部分のロープの長さが合計80㎝短くなるので、動滑車・荷物ともに、40㎝(80÷2)だけ持ち上がることになります。
荷物の重さが10㎏に変わります。
このとき、動滑車を支えるロープにかかる力は30㎏(10+10+10)です。
A君がロープを引く力は30㎏なので、体重計が示す値は、50-30=20(㎏)
B君がロープを引く力は10㎏なので、体重計が示す値は、40-10=30(㎏)
(化学)実験手順に関する問題です。
気体の発生する反応について、その実験手順と、そうする理由を聞く問題です。
基本の知識ですが、短い文章にまとめることが的確にできるかどうかが問われます。
重そう(炭酸水素ナトリウム)を熱すると、二酸化炭素・水・炭酸ナトリウムの3つの物質に分解することができます。
石灰水が白くにごったことからも、わかります。
「なるべく短い文章で答えなさい。」とあります。解答欄の1/2行分のスペースにおさめなければなりません。
「水が逆流して、試験官が割れることを防ぐため」
ガスバーナーの火を消すと、試験管内の気体が冷やされて、圧力が急に下がります。
ガラス管の先を、ビーカーの水の中に入れたままにしておくと、ビーカーの水が吸い込まれます。この場合も試験管が割れて危険です。
(化学)水素の発生に関する問題。
典型的な水素発生の実験です。
結果の表も、過不足なく反応するポイントが一目でわかり、処理しやすくなっています。
塩酸に亜鉛を入れると、水素が発生します。
表から、亜鉛0.65gと塩酸200cm3が過不足なく反応して、水素が240cm3発生することがわかります。
ビーカーEでは、塩酸があまっているので、溶液は酸性を示します。
半分の量の亜鉛と過不足なく反応する塩酸の量は100cm3、このとき発生する水素は120cm3です。
塩酸の量が100cm3以上では、発生した気体の体積は120cm3で一定です。
塩酸の濃度を半分にすると、塩酸の量は2倍の400cm3必要となります。
グラフの目盛りの範囲では、亜鉛が溶け残っているので、加えた塩酸の体積と発生した気体の体積は比例します。
(生物)種子の発芽条件と植物のはたらきに関する問題。
実験を通して考える問題です。どれも典型的な実験で、比較的考えやすかったのではないでしょうか。
実験1は発芽条件、実験2は蒸散量、実験3は呼吸と光合成に関するものです。
空気が必要なことを調べるには、空気以外の条件が同じで、空気があるものとないものを選び出して比べます。
インゲンマメで発芽しなかったのは、アとウとオです。
「レタスは発芽に光が必要な種子」とあるので、エでも発芽しません。
実験2の各条件での蒸散する場所を整理すると、下の表のようになります。
(〇:蒸散する、×:蒸散不可)
条件 | A | B | C | D | E |
---|---|---|---|---|---|
水面 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
葉の表 | 〇 | × | 〇 | × | 〇 |
葉のうら | 〇 | 〇 | × | × | 〇 |
茎 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
減った水の量(g) | 20 | 16 | 10 | 6 | 16 |
葉から出ていった水の量は、AとDの差にあたります。
20-6=14(g)
「植物の体から出ていった水のうち、葉以外」とは、「茎」があてはまります。
Eから葉から出ていった量を引きます。
16-14=2(g)
(葉の表)=A-B=20-16=4(g)
(葉のうら)=A-C=20-10=10(g)
「うら側が6g(10-4)多かった」ことになります。
実験3のオオカナダモは、試験管Aでは光合成と呼吸を、試験管Bでは呼吸のみを行います。
試験管Bでは、二酸化炭素が発生し、液が酸性になっていると考えられます。
「十分な日光を数時間あてた」とあるので、光合成量は呼吸量を上回っていると考えます。
光合成によって発生する気体は酸素です。
(地学)月食と日食に関する問題。
かいき月食やかいき日食のときの、地球・月・太陽の位置関係に加え、気象衛星ひまわりの位置の把握が必要となります。
日食の日の月は新月です。
かいき日食が起きているとき、太陽は完全に月にかくされてしまいます。
→合否を分けた一題参照。
月の上の太陽に面している側には、地球がありません。
邪魔するものなく、太陽を見ることができます。
かいき月食のときは、太陽・地球・月の順に一直線に並びます。
地球から月を見ると、全体が地球の影に入った月が赤黒く見えます。
かいき月食のときの月は満月です。深夜のひまわりは地球と月のあいだにあるので、地球の影の中から、真っ暗な地球を見ることになります。
月は地球の影のなかにあるので、太陽を見ることができません。
月が地球から遠ざかると、見える大きさが小さくなります。
現在、かいき日食では、太陽全体が月にかくされますが、月が小さく見えるようになると、太陽がはみ出すようになり、部分食か金環食になります。
日食や月食について、地球から見たようすは学習していますが、月やひまわりから見たようすをきかれると、とまどってしまう生徒も多かったのではないではないでしょうか。
この問題では、基本の知識はもちろん、空間をイメージしながら考える力も求められています。
5の問2・5はひまわりから、問3・6は月から見たようすを答える問題となっており、問2で、ひまわりの位置をしっかりイメージできたかどうかが、以降の設問の取り組みに大きく影響すると考え、合否を分けた一題としました。
気象衛星ひまわりは、東経140度の赤道上の静止軌道にあります。
正午に日本でかいき日食が見られたとき、地球・ひまわり・月・太陽の順に一直線に並びます。
このとき、城北中学のある東京付近は、月の影のなかにあり、ひまわりから見ると、地球上に月の本影と半影が落ちていて、これが時間とともに動いていくようすを見ることができます。
本影が落ちている場所ではかいき日食が、半影が落ちている場所では部分日食が見えています。