一 | 問1 aA bB 問2 AB BB 問3 A 問4 A 問5 B 問6 B 問7 A 問8 B 問9 B 問10 A 問11 B |
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二 | すべてA |
A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
今年度の城北中学は昨年同様、物語文と漢字の書き取りの大問二つの構成でした。物語文は10ページにわたる長文、記述も6問と多く、去年から変更された、しっかりとした「読み」と「書き」を求める問題を踏襲しています。悪問・奇問はなく、問1・問7以外は全て主人公に関する問題という、国語の標準的な力を持った受験生に入学してほしい、という学校側の姿勢が感じられる入試問題です。漢字も、同音異字・同訓異字を含め、一度は間違えたが、そのあとちゃんと復習して覚えた、ということをしてほしい漢字が多く出題されています。受験勉強で頑張ったことがきちんと反映される問題です。
同意内容の選択
「抜擢された」は、前後関係からも、日常生活で目にする可能性があることからも、落としてはいけない問題です。「気兼ねなく」は大人なら耳にする言葉ですが、子どもの世界ではどうでしょう。ただし、主人公の悩みと主人公が今までどういう友達付き合いをしてきたのかを読み取れていれば、正解にできた問題です。単なる語彙力を求めている問題ではありません。
【主人公】省略補完 記述
主人公が考える「逃げたこと」のプラス面とマイナス面を書く問題です。前後を読んでも読み取れますので、どういうことを答えに書けばよいのかにそれほど悩むことはなかったでしょう。問題はむしろ20字以内と短くまとめなければならないことでしょう。
【主人公】行動の理由
「目をあわせない」という中学受験の物語では必須の、心理が読み取れる行動です。選択肢も甘く、正解しなければならない問題です。
【主人公】気持ち【指示語】 記述
指示語ですので、すぐ前にある気持ちが答えの核です。さらに、何に対しての気持ちかということも、何回も出てくる表現を使えばいいので、書きやすい問題です。
【主人公】考えの根拠 記述
後ほど詳しく解説します。
【主人公】行動の理由
線の時点での、放送部入部への主人公の気持ちを読み取れていれば正解が選べます。問5の「やっぱり、やめよう」の後です。
姉の気持ち 記述
問いに「弟が入学式で上手く話せたかどうか気になっていた」とあるのですから、話せなかったどころか、逃げてきたことを知った(⇒これを答えの前半に書く、きっかけとなる出来事です)姉の気持ちは容易に想像できます。
【主人公】同じ内容の一文抜き出し
このような問題では、どういう意味の一文なのかを理解したうえで、この辺りにあるだろうと想定して解くことが必要です。「人には理解できない」とほとんど変わらない一文だったので、もちろん探せた人はいたでしょうが、10ページもある中から探すのは、いくら当たりをつけても、そう簡単ではありません。手間を考えて後回しにし、時間が余ったら再チャレンジするという方が賢明な問題だったでしょう。
【主人公】考えの根拠
選択肢の換言度合いが強く、難問になっています。正しい選択肢を選ぶ判断の根幹は、読書は好きだということ。この軸がぶれてしまうと間違えてしまいます。
【主人公】母の態度の根拠を主人公はどう捉えているか
直後の主人公の推測を読めば正解が選べる問題です。
【主人公】線部の換言
主人公が前向きに決心したことを書けばよいだけなので、空欄はご法度です。あとは、線部の内容を別の言葉に書き換える作業をします。70字以内とこの問題での最多字数ですので、要素をすべて入れられるかどうかが、〇と△の分かれ目です。
1 垂 横棒を1本余計に付けていませんか。 2 設 間違いが多い字です。 3 補助 ころもへんと分かっていますか。 4 典型 間違いが多い字です。 5 衛生 「エイセイ」の漢字2つを使い分けられますか。 6 率 間違いが多い字です。 7 図 「ハカル」の漢字4つを使い分けられますか。 8 「ケントウする」の漢字2つを使い分けられますか。 9 尊敬 これだけ比較的間違いの少ない漢字です。 10 密閉 間違いが多い漢字です。
今回は大問1の問五を取り上げます。問いの理解度合いで正解、不正解が。直前の要素をまとめれば、正解する問題ですが、このような問題こそ、城北の合否を分ける一題だと思います。
―線④「……やっぱり、やめよう」とありますが、「僕」がこのように考えたのはなぜですか。60字以内で説明しなさい。
解き方の手順
まずおさえなくてはいけないことは、「何」をやっぱり、やめようと考えたのか、です。それは「放送部に入ること」ですね。
「放送部に入ることをやっぱりやめようと考えたのはなぜか。」
問いを完全な形に整えることが、正解を出すうえでの重要な条件ということを理解しましょう。
ここからが本当の意味での問題解きのはじまりです。
放送部に入ることに関して否定的な考えが書かれているところをおさえれば、やめようと考えた理由もおさえられます。でも最初から見る必要はありません。「やっぱり」という言葉に注目しましょう。「やっぱり」はすでに一回考えたことを、再び考えるときに使う言葉です。主人公には入りたい気持ちと入っても駄目だという気持ちが交互にわいています。直前の入りたい方に気持ちが傾いている部分は95~100行目です。そして100行目の「けれど」から、入っても駄目だという気持ちに傾きだします、再び。
「だけど、その夢を叶えようとすると、いつもつらい目にあう。僕の言いたいことなんててんで伝わらなくて、笑われて、からかわれて、そして泣きたくなるくらいに傷ついて。」
このようなことを思い出したため、「僕」は「やっぱり、やめよう」と考えたのです。
しかし、線の直後に、「やめよう」の類義表現がいくつも出てきます。「そうだ、やめたほうがいい」、「放送部なんかに入っていいわけがない」、「だから入ろうなんて思うべきじゃない」。ここで主人公が理由を説明してくれています。とくに「だから」という順接の接続語に注目しましょう。順接は直前に原因・理由、直後に当然の結果がくる接続語です。なので、これより前の内容が、答えの中心として使えます。あとは最後に「思ったから。」「改めて感じたから。」をつけましょう。書かれている内容はあくまで「僕」の思い込みに過ぎず、事実ではないからです。
話すことがメインの放送部は、吃音である自分に一番縁のないところであり、もし入部してもまわりに迷惑をかけると思ったから。(59字)
「60字以内」という制限がなければ、直前の内容も含めた答えが書きたいところですが、城北の場合、本当に基本的な国語力が求められているということが分かる1題でした。