このタイプの問題は、円周率計算が絡む複合図形の問題や、単位換算が絡む速さの問題に多く見られます。綺麗とは言えない数値設定で煩雑な計算になるか、ひたすら計算の連続になるかのどちらかなので、いずれにしても要求されるのは“速くて正確な計算”ということになります。
問題文中に小数第3位や小数第4位での四捨五入の指示が出ていることがあるので、計算が面倒になって焦ることを見破って、落ち着くまで手をつけないという選択もありでしょう。
このタイプの問題を計算ミスで落としてしまう生徒というのは、端的に計算力不足が原因である生徒と、計算ミスに気付くための自分なりのポイントを把握していない生徒の2通りに分かれます。JG志望者であれば、大部分は後者のはずです。人間である以上、計算ミスそのものは完全にはなくなりません。私でも計算ミスはやらかします。ただ、計算する過程で「ん・・・、おかしい」と感じる気付きどころをたくさん持っているので、ミスに気付きやすく、修正できているだけのことです。
この“計算ミスに気付くためのポイント・気付きどころ”を、集団塾の一斉授業で教わることはまずないでしょう。私自身、集団塾でJG特訓の授業を担当していた際、各校舎から集まった普段見ていない生徒に対しそこまで指導するのは難しく、テスト演習の答案添削で必死に各生徒の癖を探っていました。やはり、個別指導を通じて、その生徒の癖を知り尽くすことにより、はじめて“気付きどころ”を伝授することができるのです。計算過程でそれを張り巡らせることができれば、計算ミスに気付くようになり、確実に失点を減らせます。
自分の得意な型を持っていて、ほとんどの問題をその型に持ち込んで解き切ってしまう凄腕の持ち主。
あらゆる解法に興味を持ち、1つの問題を解くにあたって様々な切り口で試そうとする軽快なフットワークの持ち主。
どちらも算数が得意な生徒に見られるタイプですが、JGお得意の「どの解法ツールを選択したかにより所要時間に差がつく問題」を上手く乗り切るのは、後者のタイプです。
まずは、複数の解法ツールを身につけること。別解を排除するのは好ましくありません。答え合わせをして正解だと、解説を読まない・聞かないというのは勿体ないですね。たとえ正解していても、解説の解法と自分の解法とを比較させます。そうすることで、双方の利点が明確になり、どのような問題に対して有効な解法なのかが把握できるようになります。
ただ、複数の解法ツールの習得は単なる必要条件に過ぎません。その上で、設問に応じて最適な解法を選択し、常に最短距離で答えにたどり着けるようにすること。ここで頭に入れておいて欲しい内容として、JGの算数は
①比を駆使すると短時間で処理できる問題が多い
②知識の有無によって左右される問題がある
③速さの問題のほとんどが、ダイヤグラムではなく直線上の進行図の方が馴染む
ということが挙げられます。この①~③を踏まえて、厳選した問題演習を重ねることで鍛え上げていきます。