女子御三家として鎮座する女子学院中学、通称JG。
女子御三家かつ女子最難関の桜蔭中や、同じ偏差値帯で共学校の早稲田実業中と比べて、算数の問題自体の難易度は穏やかで、一見とっつきやすい印象を与えます。ところが、いざ制限時間内で過去問を解いてみると、思うようには得点できないものです。
JGのハードルの高さは一体どこに起因するのでしょうか。それは、出題傾向を見れば明白です。
試験時間40分、B4縦長用紙3枚に総設問数20~30問、というスタイルは不変です。単純計算で、1問あたり1分20秒~2分。答えだけでなく求め方も記入する設問がいくつかあるため、実際には1問あたりの時間はもう少し短くなります。他校の入試では1問あたり3分程度が普通ですから、いかに時間的に切迫した入試であるかが分かります。
さらに、配点・合格最低点等は非公表ですが、算数については70%~80%がボーダーと推測され、ミスの許されない高得点勝負の様相を呈しています。
前述のように問題自体の難易度は穏やかですから、時間無制限ならJG志望者は満点、もしくは満点に近い点数がとれるでしょう。しかし、厄介なのは、「見通しは良いが正解に至るまでの処理量が多い問題」や「どの解法ツールを選択したかにより所要時間に差がつく問題」といった、実力の差がそのまま時間の差になって現れてしまう問題が散らばっているという点です。40分という時間の縛りの中では、この類いの問題に思わぬ足止めをくらって、時間が不足するケースが目立ちます。
出題分野別に見ていくと、毎年必ず出題されるのは、①平面図形、②速さ(点の移動を含む)、③和・差・比の文章題、の3分野です。
その中でも、特筆すべきは平面図形。どこの学校の入試でも頻出ですが、JGでは出題数そのものが多く、今年度(2010年度)の入試では総設問26問中、実に11問が平面図形からの出題でした。
平面図形というと一般的には相似と比の問題が多いのですが、JGでは多岐にわたる平面図形の出題の中でも角度の問題が多いのが特徴です。どの塾でも通常授業での角度の問題演習量はそう多くはないため、何らかの形で演習量を確保する必要があります。
平面図形に限らず立体図形からの出題も女子校のわりには多く、図形全般を苦手とする受験生にとってJGは少々厳しい学校であると言えます。しかし、平面図形については“図形を見るときの視点”を叩き込むことができれば突破口が開けます。その視点については、「女子学院中学への合格戦略の提案」で詳述します。