[1] | (1)A (2)A (3)A (4)A (5)アA イA~B ウA エA (6)A・A |
---|---|
[2] | A・A・A |
[3] | B |
[4] | ①A ②A ③A ④A ⑤A~B |
[5] | A・A・B |
[6] | (1)B (2)C |
A:JG合格を目指すなら必ず得点したい問題
B:着眼点や解法ツールにより正答率・かかる時間に差がつく問題
C:難易度や処理量から判断して、3分以内に解き切る腕力がなければ一旦とばすべき問題
JGの算数を分析するうえで欠かせない総設問数ですが、2013年度が過去最少の18で、2014年度が31、そして2015年度は24と増減を繰り返しています。
昨年度より総設問数が減り、時間にやや余裕を持てたかといえば、けっしてそうではありません。大問[3]の影の作図や大問[4]のグラフの読み取りは経験値により所要時間に差がついたでしょうし、JGらしくない大問[6]は手こずった受験生が多かったのではないでしょうか。
出題内容については、大問[6]を除き、JGらしい標準的な問題が並びました。ただ、[2][4][5]といった設問数の多い大問については、1問目から間違えると連鎖的にそのあとも間違えて大量失点につながるという、JGの算数の怖さを含んでいます。
そして、言及しなければならないのが、今年度はサンデーショックであること。
JGらしくない大問[6]は、明らかに桜蔭志望者向き。JG対策だけを積んできた受験生にとっては厳しい出題です。桜蔭・JGダブル受験者の桜が咲いた要因の1つでしょう。
(1)計算問題
何の変哲もない順算の計算問題です。0.875を瞬時にと分数変換するのは当然。
(2)食塩水
実際の食塩の量を求めずに、食塩の比を求める方が計算がラクです。
(3)円に内接する2つの合同な長方形についての求積問題
どの受験生も「円から白い部分をひく」という解答方針を立てたはず。その白い部分の求め方は、2つの長方形の合計から重なり部分のひし形をひくのが最短距離の解法でしょう。
もし円の直径が与えられていなかったとしても、「3辺比が3:4:5の直角三角形」を利用して、直径が10cmであることに気づけるようにしておきたいところです。
(4)直角二等辺三角形と直角三角形の重なりについての求積問題
ADを結び、ADとBFをそれぞれ1辺とする相似な三角形(クロス相似)の利用に気づけば、必要な長さはすべて求められます。
(5)正十二角形の求角問題
数学で取り扱う「円周角の定理」を知っていれば手早く処理できますが、知らなくても「円の中心と円周上の点を結ぶ」という算数の定石が身についていればア~エまで完答できます。
アは正十二角形の1つの内角。
イは頂角150度の二等辺三角形の利用に気づけたかどうか。
ウは頂角30度の二等辺三角形の利用。
エは三角定規(30度・60度・90度の直角三角形)の利用。
(6)「AをたすとBの倍数になり、BをたすとAの倍数になる整数」についての問題
典型題です。19と7の最小公倍数は133なので、133×□-(7+19)という立式ができれば問題ないでしょう。
どの受験生も、じゃんけんで階段を昇降する類似問題を解いた経験があるでしょう。
合格のためには、どれも落とせません。
「AはBより4回多く勝った」ので、2人の得点差は(4点+2点)×4回=24点。これが得点比⑦:④の差の③にあたります。
AとBそれぞれの得点を求め、2人の合計点に注目。ゲーム1回につき合計点は4-2=2点ずつ増えることから、ゲームの回数が求められます。
けっして難しい問題ではないのですが、影の作図については経験値に左右されたかもしれません。真横から見た図でピラミッド相似を利用して比をとる(2:1)⇒真上から見た図に2:1のピラミッド相似を3つ作図するという手順です。影の部分は3つの台形となります。
昨年度に引き続き、「距離の差と時間のグラフ」の問題。このテーマからの2年連続出題はJGでは珍しいことです。昨年度は容器と水深ですが、今年度は旅人算。
普通のダイヤグラムに描き換えるか、直線上の進行図に描き換えるかは好みの問題。いずれにしても、与えられたグラフの傾きが変わっている点で何が起きたのかを判断できるかがポイントです。③分後:AがG町に着く⇒120分後:AがG町を出発⇒④分後:BがJ町に着く、という順番であることを読み取れましたか?
昨年度の寸評で「大問[4]はこれまでの演習量の差によって、所要時間に差がついたかもしれません。」と述べましたが、今年度も同様です。
3つの円のベン図を描いて、与えられた1~8の条件を整理します。
条件6・7から、りんごだけをもらった人を②、かきだけをもらった人を①、みかんだけをもらった人をアとして、②+9+ア=(①+4+ア)×2という式を作り、そこから式を変形して、ア=1を導くことができるかどうかです。JGを目指す受験生であれば、この程度の丸数字や文字を含んだ式を手際よく処理する力は必須です。
このあと、詳しく解説します。
大問[6]を除き、JGらしい標準的な問題が並んだ2015年度の算数。例年であれば、「大問[6]は合否に大きく影響せず、それ以外での取りこぼしの有無により合否が決まる」といえたでしょう。
しかし、今年度はサンデーショックです。桜蔭・JGダブル受験者のうち、桜蔭寄りの出題である大問[6]を解き切った生徒は少なくないはず。ここで“最上位生”と“単なる上位生”との識別が明確になされたといえます。
では、2015年度の合否を分けた一題として、その大問[6]を取り上げます。
立体をアの向きに水そうの底面につくまで沈めた場合、水面の高さが10cmをこえなければ、水そうの水が入っている部分の底面積は 20×15-20=280㎠ となる。
よって、水そうの水の体積は 280㎠×9.4cm=2632㎤
立体をアの向きに入れてもイの向きに入れても、立体の高さはいずれも10cm
よって、立体をアの向きに入れた場合とイの向きに入れた場合とで、底面から10cmのところまでの体積を比べると、水の体積・立体の体積・空気の体積はいずれもアとイで等しいことがわかる。
ここで、空気の体積に注目!
立体をアの向きに入れた状態で空気の体積を求めると 280㎠×(10-9.4)cm=168㎤
立体をイの向きに入れた場合、空気部分の底面積は、底面から10cmから9cmまでなら
20×15-60=240㎠
空気部分の高さは 168÷240=0.7cm で、底面から10cm~9cmの範囲内におさまる。
よって、水面の高さは 10-0.7=9.3cm