まず設問数が多いうえに、合格ラインが高いため、スピードと正確さが求められるのは確かである。しかしこのように書くと必ず対策として出てくるのが、読解のスピードを上げるための「速読法」や「設問の先読み」、「問題演習を多量にこなす」といった学習法である。さらに入試時間40分より短く時間設定したうえで、多量の演習問題を解かせるといった学習方法も出てくる。
これらの方法は、まず本質的に間違っている。
文章内容を理解し、設問の内容に従って筋道を立てながら解答を導き出すのが「読解」であり、この原則に従った学習方法でないと、正答率は上がらない。
女子学院中の国語の攻略方法はスピードではなく、ずばり「正答率の高さ」である。これを身につけることの方が重要だ。
なぜなら、たとえ時間が足りなくて全部解き終わらなくても、正答率が高ければ高得点を取れるからだ。
ここに女子学院中の国語の攻略のカギがある。
これからその攻略方法を、文章編と設問編に分けて説明しよう。
随筆文、論説文が中心だが、2010度は物語文が出題されたので、3ジャンルすべてに対応することが必要。ただし、この物語文も随筆と同じような読み方で対応できる。
では、まずこれらのジャンルの「読み方」を伝える。
①具体と抽象の区別ができるようにする。(筆者の考え、心情はすべて抽象だから、この区別ができないと、そもそも線を引くことができない。)
②形式段落ごとに整理しながら読む。(文章の情報を整理しながら読むとわかりやすくなる。)
③文章構成を意識して読む。→論説文なら「序論、本論、結論」、随筆文なら「起承転結」
④繰り返しの言葉、文をチェックする。
⑤筆者の考え、心情、まとめの文に線を引く。
⑥⑤の理由があれば、→で⑤に結び付けていく。(因果関係を意識して読むということ。)
⑦接続語→前後の文、指示語→具体化しながら読む。
これらのことを意識しながら、読む練習をしよう。
練習の素材としては、入試問題が良い。青山学院、浦和明の星、大妻中などの入試問題がいい練習になるだろう。
文章の読み方を意識して、「読む」。(もちろん黙読。)
↓
慣れてきたら、時間を図り、何分で読めるのか確認し、少しずつ、時間設定を短くして読ませる。(2,3分ずつでもOK)
↓
一題5分くらいで読めるようにしていく。(6年の秋冬ぐらいに、これぐらいになれば充分。)
あと、大人の常識である道徳的価値観も学ばなければならない。
大人が教えること以外に、
①中学受験 必ず出てくる国語のテーマ 著者 小泉 浩明 (ダイヤモンド社)
②朝日小学生新聞 などを活用するとよい。
さらに語注がないので、語彙力も必要である。
これは、学研の「言葉力1200」や旺文社のでる順シリーズで対応していけばよい。
あと入試問題で分からない言葉があれば、積極的に辞書(中高生用)を引くことが肝要である。
まず、女子学院中の国語の問題は傍線部の意味を問うものが多いので、設問文および傍線部からキーワードを見つけ、それと似た(同じ)言葉を見つけることが重要である。
(もちろん探す前に、傍線部の前後5行くらいはしっかり読んでいてほしい。そこに解答そのものや解答の手がかりがあるからである。)
このときに、先ほど述べた読み方②、④が活きてくる。
話題に注目して読んでれば、どこにその話題があるかがすぐわかるし、繰り返しの言葉や文をチェックしておけば、さらに見つけやすい。
また、適語補充や空欄の問題は、前後の文脈を正しく読み取ることが重要。
ポイントとしては、以下の3つである。
①主語、述語関係を確認する。
②指示語、比喩を具体化する。
③接続語があれば、その働き(例えば、逆接、言い換え、順接など)を意識したうえで、
前後をよく読む。
あと記述問題だが、文章の性質上、文中の言葉を使ってまとめる問題がほとんどなので、あわてずに設問条件をしっかり確認する。そして、その設問条件を手掛かりに、解答になるところを本文中から探す。
あとは、
①穴埋め記述なら、文脈に合うようにまとまる。
②説明記述なら、因果関係を明確にしてまとめる。
という手順で考えていけばよい。
以上が対策である。
文章の読み方を意識しながら、設問の意図や条件を的確に読みとり、論理的な考え方で解答を導き出し、正答率を上げていく。
このような学習スタイルこそが、女子学院の国語を攻略する秘訣である。
地道にコツコツと頑張っていってほしい。「学問に王道なし」である。