1 | 問1すべてA 問2①A②A③B 問3B 問4A 問5A 問6A 問7A 問8すべてA |
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2 | 問1A 問2A 問3A 問4A 問5A 問6A 問7A 問8A 問9A問10A 問11②A 計算C 問12A 問13A 問14A 問15A 問16A 問17A |
3 | 問1A 問2A 問3B 問4A 問5A 問6A 問7A 問8A 問9A 問10B 問11A |
A…本郷中学合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
問題数ならびに問題の難易度は例年通りといえます。本郷中学の入試問題は、選択肢の中から「間違っているもの」を選ぶ問題が比較的多い点が特徴といえます。間違えている肢を、自信をもって切り落とせる『確実な』『基本的知識の養成』が、合格への近道です。
(地理)
利根川の河口である、「銚子市」がテーマとなっている問題です。
ア.川の左岸、右岸の呼称は、上流から下流を見たときの右・左で呼びわけます。利根川河口付近の銚子市の市街地は(そもそも銚子市は)、下流側を見たとき「右岸」に位置します。イ.海沿いということで防風林として、おもに松などの針葉樹が多くみられることが推測できます。地図上でも針葉樹は多くみられますが、広葉樹の地図記号は見当たりません。ウ.地図のほぼ中央に見られる「銚子大橋」には、<124>という記号が付されているのがわかります。これは、国道の記号であり、国道124号が通っていることがわかります。エ.屛風ヶ浦に崖の地図記号(下図参照)が見られます。オ.南西方面に「58」という数字が見えます。水準点までは鮮明には見えませんが、国道沿いであることから、水準点も記載されている可能性が高いです。カ.地図上に見えるJR線は、「単線」であり複線ではありません(下表参照)。
①利根川の源流は「三国山脈」です。ただし、三国山脈は、一般的には越後山脈の一部とされていますので、いずれも正解であると考えられます。さらに細かく見ると、「大水上山(おおみなかみやま)」(水上温泉で有名なみなかみ町が位置します)という山が源流です。
②各地方の主要河川が、どの都道府県、都市を貫流しているかを押さえておくことは重要項目です。本問では、利根川が通っている都道府県で、県庁所在地も貫流している都市が問われています。利根川の本流は、群馬県~埼玉県~茨城県と千葉県の県境を流れ太平洋にそそがれます。この中で、県庁所在地を貫流しているのは、群馬県前橋市です。
③利根川は、支流の数が非常に多いです。だからこそ、皆さんもご存知の通り、「流域面積の広さ日本一」といわれているのです。主な大きな支流ですが、「吾妻川・江戸川・片品川・烏川・鬼怒川・小貝川・中川・長門川・常陸利根川・渡良瀬川」です。これ以外に主な支流だけでも20近くにのぼります。
非常に限定的な地名の問題ですが、「鹿島灘」と呼ばれる海域です。
縮尺が記載されていませんので、縮尺を求める(考える)ところから必要です。縮尺が記載されていない場合、等高線を利用することになります。地図中心から見て西側に「浄水場」があり、この近くに「50」の数字が見えます、等高線が50m間隔は5万分の一の縮尺です。
50000×10㎝=500000㎝=5000m=5㎞です。
波崎町は、地図中の一番北に位置しています。利根川の北側ですから茨城県に位置しています。海沿いですから砂地であることは推測できます。また、ピーマンの集荷量全国順位は、茨城が1位です。
「銚子」に関する産業の問題です。
銚子といえば、日本有数の漁港で有名です。水揚げされる主な魚種は、さば(47%)、いわし(43%)で、これで銚子港水揚げのほとんどを占めてしまいます。次に有名な産業は、「しょうゆ」です。なぜ、銚子でしょうゆが生産されるようになったのでしょう。これは、①原料となる大豆、小麦がいまの茨城県、かつての常陸国でさかんに栽培されていたこと、②夏冬の温度差が少なく、こうじ菌や酵母の管理に適していたこと、③江戸へ運搬するのに利根川・江戸川の水運が利用しやすかったこと、が関係しています。銚子の温暖な気候を利用して、春キャベツの栽培もさかんです。このキャベツは、かなり昔から、「灯台キャベツ」のブランド名で出荷されていて、人気商品の一つです。最後に、造船所ですが、たしかに利根川の河口に造船所はいまでも存在します。ただし、海運業に使用されるような大きな船が対象ではなく、漁船に関連するものです。漁船は、船の規模や材質から造船所も比較的小規模なものが多いです。
千葉県の都市に関する問題です。
北から、野田市、市原市、木更津市、館山市となります。野田市はしょうゆ、江戸川と利根川の分岐点、市原市は石油化学コンビナート、木更津市は東京湾アクアライン、館山市は温暖な気候を利用した草花や果物栽培、伝統的工芸品の房州うちわが有名です。
図中の地域が属する「地方」ですから関東地方に関する問題となります。
①人口密度の高い都道府県ですが、人口が多いところというイメージでよろしいかと思われます。そう、東京都です。②水田率が高い都道府県は、意外と難しいかもしれません。東京都(0.3%)や神奈川県(3.8%)が低いのは予想できるかと思われます。問題は高いほうでしょうか。関東地方で水田率が高い県は栃木県(30.4%)で、全国でみると第4位です。宮城県や秋田県、山形県といった米どころの県よりも高いのです。ちなみに、栃木県に次ぐのが千葉県(23.9%)で、12位です。③畜産生産額の順位は、茨城県と千葉県ではないかという予想はできるのではないでしょうか。では、どちらが1位でしょう。僅差ですが、千葉県です。千葉県は、全国順位も北海道・鹿児島県についで第3位です。④漁業生産量についての問題ですが、漁業「生産量」という言葉、気になりませんか?教科書によると、海面において獲られた(とる漁業)のが「漁獲量」、養殖されて収穫された(育てる漁業)のが「収穫量」で、これをあわせたのが生産量と定義されています。千葉県の銚子港や神奈川県の三崎港が有名であることから、茨城県は影をひそめているように思われるかもしれませんが、実は、関東でも有数の漁港をいくつも抱えており、海面の漁業生産量は、全国6位となっています(千葉県5位)。さらに、内水面として霞ケ浦北浦を有しており、具体的には、こい・ふな・あゆ・わかさぎ・アメリカナマズなどを養殖しており、また、宍道湖に次ぐ、しじみの産地としても有名です(内水面生産量全国2位)。以上から、漁業生産量の関東地方での1位は、茨城県です、⑤工業生産額の1位は、神奈川県です。自動車をはじめとした輸送用機械、石油化学製品で半数を占めるのが理由です。ちなみに、第2位は、意外に思われるかもしれませんが、埼玉県です。さらに、関東地方でもっとも工業出荷額が低いのは、東京都です。⑥最後に、小売業年間販売額ですが、だんとつで東京都です。関東地方の2位の神奈川県の約9倍、全国でも、2位の大阪の3倍の売り上げを誇っています。
(歴史)
はかりや長さ、面積のあらわし方を基準に歴史を眺めていく問題で、非常にユニークな出題です。
農耕がはじまったころの様子に関する問題です。確実な知識がないと迷ってしまうかもしれません。鉄器は、弥生時代には日本に伝わってきていたとされています。もっとも、このころの鉄器は製法も稚拙で非常にもろく、農具にするほど十分な強度はなかったと思われます。このころの鉄器は、簡単な武器のほか、「農具をつくるための工具」として使われていました。これ以外の選択肢は正しいと思われます。
高野山から連想される宗派、その開祖、総本山となる寺についての問題です。
まず、高野山といえば金剛峯寺です。これを総本山とする宗派は真言宗です。開祖は、空海。この寺は、現在の和歌山県、紀伊国です。
宋に正式に使者が送られるようになったのは、平清盛の時代になってからです。宋との貿易を活発にするために、清盛は、大輪田泊を整備しました。清盛が活躍した時代は12世紀のなかごろからです。
院政に関する問題です。
鳥羽上皇が崩御されて生じたのは、むしろ保元の乱です。鳥羽上皇が崩御され、崇徳上皇の不満が一気に爆発し、後白河天皇との争いが勃発したのです。平治の乱は、保元の乱後、院に近しい家臣(平氏・源氏・藤原氏)のなかでの争いです。
この問題は一見すると難問です。問題で問われている年代は、18世紀後半から19世紀前半です。これに該当する文化は、「化政文化」であると思われます。選択肢をながめてみると、確実に化政文化にあたる事がらは、ウの浮世絵とエの蘭学・国学の隆盛です。問題は、アとイがいずれも元禄文化に当てはまると思われる点です。さて、いずれが答えでしょう。ここは、元禄文化の時代に活躍していたと確実にいえる松尾芭蕉のことが記されている、アを答えとするとよいのではないでしょうか。また、歌舞伎、文楽(人形浄瑠璃)、落語は、いまの時代まで長きにわたって庶民に好まれてきた文化ということが判断できます。そういった意味で、化政文化の時代にも好まれていたということも判別できますから、正しい選択肢ということで正解からは外してもいいのではないかと思われます。
現在の皇室典範においても、「皇位は、皇統に属する、男系の『男子』が、これを承継する」とされています。したがって、男女を問わずというのが誤りということになります。
米騒動の責任をとって退陣させられた寺内内閣に取って代わったのが、原敬内閣です。原敬は選挙制度について、それまで納税額が10円以上の制限だったものを3円まで引き下げ、選挙権の拡大をはかりました。また、第一次世界大戦後処理のヴェルサイユ条約に調印し、同大戦後発足した国際連盟に加盟、常任理事国という立場を日本にもたらしました。なお、衆議院議員としてはじめての内閣総理大臣ではありますが、その呼び名は「庶民宰相」ではなく「平民宰相」です。「庶民宰相」とよばれたのは、田中角栄です。
寄生地主制を解体するとうたわれ、行われたのは、地租改正ではなく、「農地改革」です。農地改革は、地主が所有する土地を強制的に国が買い上げ、小作人に安く売りわたす政策をいいます。これは、戦後の民主化政策の一環であり、いままで小作人という立場で長いあいだ地代を搾取されていた人々を地主から解放し、自作農にすることを目的として実行されました。
公害対策基本法があらためられ、新たに制定されて法律は、「環境基本法」です。
「地面に穴を掘って柱を立て屋根をふく」形式の住居を、竪穴住居と呼びます。
問題の条件をよく読んで、与えられる口分田の面積を求める問題です。合否を分けた一題で解説いたします。
豊臣秀吉による全国の測量ということで、太閤検地です。太閤検地の特色は、石高制で土地の価値が決定されたという点です。これに対応するのものが、貫高制です。貫高制は、かんたんに言うと、米がどれだけ収穫できたかにより年貢の量が定められました。石高制は、土地の広狭、土地の肥沃度による収穫量の高低、水の得やすさなどから土地の価値を判断したとされます。これを検地帳に定め、持ち主=年貢の負担者とすることで土地にしばりつけ、ここに刀狩とあいまって兵農分離が完成します。
江戸時代において、現在の銀行のような業務を担当した商人ということで、「両替商」です。当時、江戸は金中心、大坂では銀中心ということで、商取引においてもその交換比率が一様ではなく、混乱を招いたといわれます。そこで、交換比率をさだめ交換を容易にし、商取引に一役買っていたのが、両替商です。
室町時代に誕生し、「和風建築の原点」と称される建築技法とのことですが、建築技法とは、「〇〇造」と称されるもののことです。室町時代に誕生し、部屋全体にたたみが敷かれた造りですから、「書院造」です。
足尾銅山鉱毒事件による被害者の救済を国にもとめ、天皇に直訴までした人物は、「田中正造」です。衆議院議員であった田中正造は、渡良瀬川流域に生じた銅による鉱毒被害が、渡良瀬川の上流に位置する銅山から流出したものであることをつきとめます。これを、帝国議会の議題に取り上げるよう再三申し立て、各所で演説会、ついには明治天皇に直訴をするまでに至ります。結局、直訴状は明治天皇の手に渡る前に正造自身がとり押さえられているため、未遂に終わります。
1875年当時、朝鮮政府は鎖国・攘夷政策をとっており、再三の日本からの開国・国交樹立申し出を断り続けてきました。そこで、日本は条約締結にこぎつけるために戦争状態に突入するように仕向けます。その事件が、江華島事件です。この交戦状態ののち、日朝修好条規が締結されます。
サンフランシスコ平和条約締結の全権を委任され、条約締結までこぎつけた当時の首相は、吉田茂です。ときは朝鮮戦争勃発という国際的な危機をむかえる中で、朝鮮戦争の引き金をひいたアメリカは、日本を守っている余裕がなくなります。また、日本にいち早く独立してもらい、朝鮮戦争での物資供給国となってもらおうという策も持ちあがります。このような状況の中で平和(講和)条約を締結し、日本の独立を果たしたのが、吉田茂です。
(公民)
内閣総理大臣の一日の職務を追うかたちで、公民分野に関するひろい知識を問う構成になっています。
「渋谷区」に関する記述として誤っているものを選択する問題ですが、裁判所は国に属する機関であるため、渋谷区に存在するという記述が誤りとなります。なお、この記述は別の意味としても解釈できるのではないでしょうか。裁判所が国の機関としても、裁判所という建物が渋谷区に存在するという解釈です。しかし、このように解釈しても、地方裁判所(東京地方裁判所)は霞が関にあるため、いずれにしても誤りの記述ということになります。
「インタビュー」という方法が適したものを選ぶ問題です。インタビューとは、テレビでもよく見られるように、一人の対象者に対して、マイクを向けて意見を聞くといったような方法をいいます。たとえば、野球試合終了後の勝利者インタビューや町で歩いている人に意見を聞く街頭インタビューといったものです。したがって、特定の回答者の考え方について詳しく知りたい場合が適しているといえます。
マスコミは「第4の権利」といわれています。立法・行政・司法につぐ権利という意味で第4の権利という名称が付されています。
内閣総理大臣についての記述として誤っているものを選ぶという問題です。ア.の国会の首長という記述ですが、そもそも首長という呼び名は行政上の呼び名ですから、国会の首長という呼び名自体がおかしいということになります。また、内閣総理大臣は、内閣のリーダーですから、国会のリーダーという意味で首長と記述しているのであれば、これも誤りということになります。
情報に関する法制度ですが、注意する法律は、2つあります。ひとつは、個人の情報をみだりに公開しないようにすることを目的とする法律、「個人情報保護法」です。もうひとつは、行政機関が所持している情報を公開するよう求めることができるとすることを法制化した、「情報公開法」です。国民の新しい権利とされている知る権利に資するよう、立法されたものです。
天皇がおこなう、内閣の助言と承認に基づくものですから「国事行為」です。憲法改正、法律、政令、条約の公布や国会の召集、衆議院の解散、内閣総理大臣と最高裁判所長官の任命などが国事行為として憲法に定められています。
日本国憲法に記されている内容と異なるものをえらぶ問題です。裁判官は司法のかなめとして、公平性が求められます。さらに、国民の多数の意思と異なるかどうかにより判決が左右されることがあってはなりません。それなら裁判官はいらなくなってしまいます。しかも、裁判官には相当な独任制、独立性が確保されています。たとえば、裁判官は心身の故障や国会において開かれる弾劾裁判、国民審査の結果で罷免されないかぎり辞めさせられることはありません。ちなみに、給与面でも他の国家公務員に比べると高く設定されています。最高裁判所長官は、内閣総理大臣の給与よりも高いのです。このように裁判官の身分保障はとても手厚くなっているのです。したがって、判決で罷免がされるようなことはありません。日本国憲法は、本郷中学入試問題で頻出事項です。テキストで基本事項を必ず確認しておきましょう。
国際連合の機関に関する問題です。総会・安全保障理事会・国際司法裁判所・国連難民高等弁務官事務所は頻出事項です。世界の平和に関する事項に主要な責任を負っているのは安全保障理事会です。理事国15か国で構成されています。常任理事国5か国(米英露仏中)と総会で選ばれた非常任理事国10か国で構成されています。世界の平和と安全を守ることを目的としています。常任理事国には強大な権利である「拒否権」が付与されています。また、国際連合軍いわゆる国連軍が組織され、安全保障理事会の指揮により、その行動が統制されています。紛争地域や停戦地域に派遣されることが主な活動です。
サミット(先進国首脳会議)についての問題です。G20とは、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、韓国、南アフリカ共和国、ロシア、サウジアラビア、トルコ、英国、米国の19ヶ国に加え、欧州連合(EU)の首脳が参加国・組織です。なお、2019年に日本でおこなわれた都市は、「大阪」です。
この問題は少々難しいかもしれません。問題の言葉全体は、表の中にあるように、即位後朝見の儀に参列した内閣総理大臣からの国民代表の辞です。したがって、この言葉は今の天皇陛下が即位した、いわば祝辞の一部ということがわかります。この天皇即位は、平成から令和への年号の移行もおこなわれました。したがって、祝辞の最後に述べられた言葉と考えれば、「令和」の御代の平安と入れることができるでしょう。
天皇即位の月日を問うという時事問題です。剣璽等承継の儀、朝見の儀がおこなわれたのは、令和元年5月1日です。昨年は、この日は祝日とされましたが、今年は祝日ではありません。昨年かぎりの祝日であることも注意が必要です。
一見すると、計算問題であるため社会科での出題が意外なことであるのと、条件がやや長めに書かれていることから、後回しにして時間切れとなった受験生も少なからずいらっしゃったのではないかと推測いたします。
まず、基準となる口分田の大きさは、「2段(2反)」です(条件ⅱ)。「女」には、その3分の2、つまり3分の4、「奴」には「男」の3分の1、つまり3分の2、「婢」には「女」の3分の1、つまり9分の4となります。6歳以上の男女に口分田が班給される(ⅰ)とされていますので対象者を確認しながら、それぞれがどれだけ与えられるかを計算し、合計してみましょう。
6歳以上の男➜5人=5×2段=10段、女➜4人=4×3分の4=3分の16、奴➜2人=2×3分の2=3分の4、婢➜1人=1×9分の4。これを合計してみましょう。16/3+4/3+4/9=64/9(9分の64)です。まず、10段は1町とされています(条件ⅴ)。9分の64段は、7と9分の1段です。そして、1段は、360歩です。9分の1段は、40歩となります。
以上から、1町・7段・40歩となります。