1 | (1) A (2) A (3) A (4) A (5) B (6) B |
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2 | (1) A (2) A (3) A (4) A (5) A (6) B(7) C |
3 | (1) A (2) A (3) A (4) A (5) ① B ② B(6) B (7) A |
4 | (1) A (2) A (3) A (4) B (5) A (6)A(7) A |
A…本郷合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2019年度の本郷は、例年通り、基本的知識を問う問題、表やグラフから数的処理を行う能力を問う問題、さらに、文章を読み取り考察する力を問う問題が中心です。また、最近数年間に話題になった自然現象を取り入れた問題も見られます。特に、地層の観察を中心とした地学の問題に特徴があります。
配点75点のうち、受験者平均点43.5点(昨年度44.7点)、合格者平均48.4点(昨年度51.4点)と、やや難化しています。もともと、易化→難化→易化→難化と、揺り戻しをくりかえしてきていることを考えると、来年度は易化にシフトすると予想されます。
物理分野の問題は、太陽光と温度変化についての問題。
化学分野の問題は、錬金術に関する問題。
生物分野の問題は、心臓のしくみとはたらきについての問題。
地学分野の問題は、川のはたらきと地層についての問題。
対策としては、基礎知識をしっかり身につけるとともに、グラフやデータを読み解く力、実験条件をしっかり読み取り、結果から考察する力をためす問題にあたって、実戦力をつけておきましょう。また、典型的な計算問題にも取り組んでおくとよいでしょう。
特に、温度計など実験器具の読み取り、文章の読み取り、地図や地層の読み取りについて、再確認しておきましょう。地図や地形の写真を、普段から見慣れておくことも大切です。
問題構成は、4分野から大問4題、小問38問。
解答形式は、記号選択が21問、言語が9問、数字が5問、記述が1問、作図が1問、グラフが1問。
記号選択は、比較的典型的で選びやすい問題でした。
数字は、血液循環と化石の年代に関する問題で、計算そのものは煩雑ではありませんでした。
記述は、1行程度のものが1問でした。
(物理)太陽光と温度変化についての問題です。
日陰の段ボール紙に太陽光を当てたときの温度変化についての問題です。実験結果の表やグラフを読み取り、処理します。太陽光エネルギーを熱エネルギーに変えて利用する手法につながる題材といえます。
光の性質には、直進・反射・屈折があります。迷わす確実に書けるかがポイントです。
昨年度に続いて、温度計の読み取り方の問題です。実験器具の使い方は、基本ですから、ほかのものについてもしっかりおさえておくことが大切です。
温度計の中の液体をかく問題です。表から数字を読み取り、解答欄に正確に液面をかき入れます。
こちらは、グラフから数値を読み取る問題です。すでにデータをグラフにおとし、ゆるやかなカーブで結んであります。数値の変化に規則性がない場合でも、測定した数値以外の値を予想することができます。
こちらは、表のデータをグラフにする問題です。縦軸・横軸・目盛りは、あらかじめ記入してあるので、図5を参考にして、データをプロットし、ゆるやかな曲線で結びます。
データから読み取れることを、すべて選ぶ問題です。グラフの形から、比例も反比例もしていませんが、右上がりに上がっていることがわかります。また、温度上昇は、時間とともにゆるやかになっているため、変化の割合は小さくなっているといえます。また、表2を表1と比較すると、すべての時間で、上昇温度がほぼ2倍になっていることがわかります。
(化学)錬金術に関する問題です。
錬金術についての文章を読んで、先人が何を考え、どのような方法で化学反応や生物活動のしくみを解明してきたかを考えます。メインは化学ですが、分野をこえた問題といえます。
一般に、固体や液体が気体になることを、「気化」といいます。本文中では、逆にあたる現象を「雨になる」と表現しているので、「蒸発」が最も適当であると考えらえます。
食塩水とホウ酸水は、熱すると白い固体が残りますが、水蒸気以外の気体は発生しません。
アンモニア水を熱すると、水蒸気と気体のアンモニアが出てきます。
酢を熱すると、水蒸気と気体の酢酸が出てきます。酢酸の沸点は、約118℃です。
ガソリンは有機物ですから、加熱して高温になって発火し燃焼すると、水蒸気のほかに二酸化炭素が発生します。
塩酸を加熱すると、水蒸気と気体の塩化水素が出てきます。
基本の知識です。空気に含まれる気体は、しめる体積が大きい順に、窒素(約78%)・酸素(約21%)・アルゴン(約0.9%)です。二酸化炭素は約0.04%で、4番目に多い気体です。
「森のガス」は、木炭が燃焼したときに発生する気体ですから、二酸化炭素です。発生させる方法や性質は、基本の知識です。
容器の中の水を気体に置き換えていくのですから、水上置換法です。
読み取りの問題です。土はほとんど減らなかったので、ヤナギが吸収した土の中の養分はわずかです。5年間与え続けたのは水だけですから、ファン・ヘルモントは、ヤナギの体は水でできていると考えました。光合成のしくみが、まだ解明されるまえの時代の実験であることに注意します。
錬金術師は、金を作り出そうとしていましたが、もちろん、金以外のものから、金を作り出すことはできませんでした。たくさんの失敗の中から、水上置換法のような気体の集め方を考えるなど、さまざまな実験方法・器具を開発したり、火薬・いおう・水銀などの副産物が、生活に利用されたりしています。
漠然とした、比較的書きにくい問題ですが、考えられることをとにかく書くこと。満点を狙うより、部分点が取れればよい問題です。
(生物)心臓のしくみとはたらきについての問題。
心臓のしくみと血液循環についての文章を読み、設問に答えます。図1の図は、心臓のつくりを模式的に表したものです。血液の流れる向きに注意します。
図1のA・Dは、血液が流れ込んでくる部屋なので「心房」です。B・Cは、血液が出ていく部屋なので「心室」です。E・Fは肺につながっています。
心室が縮むと、心室の血液が押し出されます。このとき、「い」と「に」の弁は、心房に逆流しないように、下向きに閉じています。弁のしくみをしっかりおさえておく必要があります。
血液を押し出す心室のうち、肺へ押し出す右心室(B)より、全身に押し出す左心室(C)のほうが、筋肉が発達しています。これも基本の知識です。
これも、基本の知識です。
動脈は枝分かれして毛細血管となり、細胞一つ一つに酸素と栄養分をとどけ、不要物を回収します。物質のやりとりは、毛細血管のかべを通して行われます。また、血液循環は、体循環(左心室→全身→右心房)と肺循環(右心室→肺→右心房)にわけることができます。血液成分のうち、白血球は細菌を殺すはたらきをします。血液をかためるのは血小板です。
→合否を分けた一題参照。
双子葉類と単子葉類の違いは、基本の知識です。ミスしないように注意しましょう。
(地学)川のはたらきと地層についての問題です。
地形図・地層の写真・化石や河原の写真などが示されていて、観察したことがらを、文章と図でとても面白く読ませるていねいな構成になっています。
河川の3作用(しん食・運ぱん・たい積)は基本の知識です。しっかり得点しなければならない問題です。
文章から読み取れることがらを、写真にあてはめればよい問題です。
簡単な計算問題です。4cmは0.04mですから、縮尺2万5千分の1の地図では、0.04×25000=1000(m)にあたります。
文章は読み飛ばしても大丈夫です。植物プランクトンのケイソウのスケッチを選べばよいだけの問題です。これも基本の知識です。
読み取りの問題です。本文の「不整合」「スランプ構造」「断層破砕帯」の説明を読んで、写真にあてはめていきます。写真⑤の波打った柄はスランプ構造、写真⑥の地層が崩れているようすは断層破砕帯、写真⑦の上下の地層の違いは不整合であると考えられます。
これも読み取りです。知識は必要ありません。本文中の「鍾乳石」「石筍」「石柱」の説明を読んで、図のa~cにあてはめていきます。
全体に、取り組みやすい問題が中心だった中で、計算問題も、決して難問ではありませんでした。知識問題で、それぞれに取りこぼしがあったとしても、逆に、計算問題は、与えられた条件を整理し、論理的に考えて取り組めば、解答できる問題といえます。また、典型的な形式でもあるため、見たことがある生徒には、有利だったと考えられます。特に、演習量が合否を分けたと考え、この問題を取り上げました。