1 | (1) A (2) A (3) A (4) A (5) B (6) A |
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2 | (1) A (2) A (3) A (4) A (5) ① A ② B ③ B |
3 | (1) A (2) A (3) A (4) A (5) B (6) A |
4 | (1) A (2) A (3) B (4) B (5) B (6)B |
A…本郷合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2018年度の本郷は、例年通り、基本的知識を問う問題、図や値から計算式を導く数学的思考力を問う問題、さらに、実験の条件をもとにグラフなどの結果から考察する力を問う問題が中心です。また、最近数年間に話題になった自然現象を取り入れた問題も見られます。
配点75点のうち、受験者平均44.7点(昨年度40.5点)、合格者平均51.4(昨年度45.5点)と、ここ数年間の中でも最も高得点になっています。もともと、難化→易化→軟化→易化と、揺り戻しをくりかえしてきている本郷にあって、来年度は難化にシフトすると予想されます。
化学分野の問題は、水溶液に関する問題。
生物分野の問題は、植物の分類とミツバチの8の字ダンスの問題。
地学分野の問題は、気象観測についての問題。
物理分野の問題は、力のつり合いの問題。
対策としては、基礎知識をしっかり身につけるとともに、グラフやデータを読み解く力、実験条件をしっかり読み取り、結果から考察する力ためす問題にあたって、実戦力をつけておきましょう。。
問題構成は、4分野から大問4題、小問38問。
解答形式は、記号選択が20問、数字が10問、言語が7問、記述が1問。昨年出された作図はありませんでした。
記号選択は、比較的典型的で選びやすい問題でした。
数字は、板を使ったつり合いの問題で、計算そのものは煩雑ではありませんでした。
記述は、1行程度のものが1問でした。
(化学)水溶液に関する問題です。
湖の水質回復にからめて、水溶液に関する問題へ展開されています。
秋田県の田沢湖は、日本で一番深い湖として知っている生徒は多いのではないでしょうか。
玉川温泉の強酸の水が流れ込むようになって酸性化が進み、クニマスなどの魚が絶滅しました。現在、中和処理が行われていますが、水質回復には至っていません。
2010年に、クニマスが西湖で発見されたときは、大きな話題となりました。玉川の酸性水が導入される前に、クニマスの受精卵が西湖と本栖湖に10万粒ずつ送られたという記録が残っています。
酸性水は石灰石と反応して、酸性が弱まって中性に近づきます。
酸性の温泉から流れる川の水は、コンクリートや鉄をよく溶かし、農業にも適さないため、石灰石の粉を投入する工夫がされています。
アルカリ性と酸性の水溶液を混ぜると、たがいの性質を弱め合います。
酸性の水溶液は、青いリトマス紙を赤色に、BTB液を黄色に変化させます。また、アルカリ性・酸性の水溶液はともに、電流を通します。
① 中性の水溶液を選びます。
② 温度が高いほど溶解度が少なくなる物質を選びます。
③ 硫酸には強い吸湿性があるので、紙は炭化してしまいます。
①・②は基本、③は少々突っ込んだ知識の問題でした。
② 再結晶には、温度による溶解度の差を利用して、高温度でつくった飽和溶液を冷却する。または、飽和溶液から溶媒を蒸発させる。の2つの方法があります。
③ 水150gに硝酸カリウムが溶ける量は、70℃の方が10℃より172.5g多くなっています。これは、水100gなら、172.5×2/3=115(g)になります。70℃の水100gには、20+175.2×2/3=135(g)まで溶かすことができます。
(生物)植物の分類とミツバチの8の字ダンスの問題です。
植物に関する基本の知識のあと、ミツバチの8の字ダンスで思考力をみる問題となっています。
花びらのある花は、ふつう虫媒花に分類します。
有胚乳種子には、イネ科の植物とカキ、オシロイバナです。おぼえておきましょう。
裸子植物も、おぼえておきましょう。オのアオサは藻類で、そもそも種子植物ではありません。
よく目にする昆虫ばかりですが、働きの分担や共同育児を行うのはアリだけです。
すっかり定番になった感のある、ミツバチの8の字ダンスの問題です。問題をしっかり読んで、取りちがいのないよう、注意しましょう。
① 太陽は南東にあります。Aは太陽から右に135°、Bは太陽から右に45°、Cは太陽から左に45°の位置です。
② 懐中電灯で照らした右上45°が真上になるので、図7の真上は、左に45°の方向にあたります。
③ 太陽は、1時間に15°右回りに動くので、えさ場の方向は、真上から左回りに1時間に15°動きます。左回りに45°(3時間後)動くと、aはe、bはf、cはdになります。
(地学)気象観測についての問題。
気象観測の基本の知識を、丁寧になぞった作問になっています。
問題の指示に従って、確実に解答することが大切です。
気温を測るときは、温度計に「日光」が直接あたらないように、「地面」から「1.2」m~「1.5」mの高さで測ります。照り返しの影響を少なくするために、周りに建物がない、「風通」しのよいところが望ましいと言えます。「百葉」箱は、この条件に合わせてつくられています。
棒温度計の先端の液だめの部分を、「球部」といいます。
覚えておきましょう。
紙でも何でもよいので、日光をさえぎるようにかざして、温度計本体に直接あたらないようにします。
このとき、風通しを妨げないように注意します。
1行でおさめる記述です。できるだけ具体的に書いた方が伝わります。
温度計の傾きに関わらず、温度計の液面に対して、視線が垂直になるようにします。
該当するものが3つありますので、もれなく選びます。
雲量観察ドームとして、市販もされています。
つやのある表面で空を映します。半球内を黒くして、内部に光がはいらないようにすると、観測しやすくなります。
雲量0~1が「快晴」、雲量「2~8」が晴れ、雲量「9~10」かくもりです。
また、雲量にかかわらず、雨が降っていれば、雨です。
(物理)力のつり合いの問題。
板を使ったてこの問題です。
見慣れない実験ですが、目的と手順をよく読み取って、力のかかり方を考えます。
板の重さを、三角柱と台はかりで支えます。
右図のように、板の中央であるA点に、板の重さがかかっていると考えます。
A点から三角柱までの長さ、A点から木片までの長さは、ともに6㎝で同じなので、板の重さは、それぞれに87.5g(175÷2)ずつかかります。
したがって台はかりは、87.5gを示します。
三角柱がつぶれたとき、A点にかかる力は、板の重さとおもりの重さの合計の350g(175+175)になります。
このとき三角柱は、175g(350÷2)の力で押されます。
→合否を分けた一題参照。
Bが6.5㎝のとき、三角柱と台はかりにかかる力は同じになります。
図5で、Bが6.5㎝のとき、台はかりの値は150gを示すので、150×2=300より、のせた板の重さは300gとわかります。
300gの板を、台はかりが237.5gで支えているので、三角柱にかかる重さは、300-237.5=62.5(g)です。
(2)より、三角柱がつぶれるときにかかる力は175gです。このとき、台はかりには、300-175=125(g)かかります。図5のグラフから、このときにBは7.5㎝とわかります。
(2)までと比べると、板の大きさは変わらないので、重心の位置は同じですが、重さは違います。
図5のグラフは、図4のBと台はかりの示す値の関係を示しているので、これを手がかりにします。
(2)までの設定を引きずっていると、グラフの読み取りの妨げになります。
グラフを正確に読み取り、それを利用して考えることが大切です。
(3)をしっかり処理できれば、(4)以降も解答できると考え、合否を分けた一題としました。
図5は直線のグラフです。
目盛りで読めとれるところは、(B、台はかりの値)=(2.5、250)、(3.5、225)を通ります。
Bが3㎝のときは、その真ん中にあたるので、台はかりは、(250+225)÷2=237.5(g)を示すとわかります。