一 | A |
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二 | 問一A 問二A 問三B 問四B 問五B 問六B 問七B 問八C |
三 | 問一A 問二A 問三B 問四B 問五B 問六B 問七B 問八B |
A…本郷中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
前年同様、大問一が漢字5問、大問二が論説的文章、大問三が文学的文章という出題でした。選択肢問題がほとんどを占め、記述問題は3問のみです。漢字以外の問題数は16問と少なめになっていますし、記述問題の字数は35字から40字と短めですので、問題を解くのに手間取って時間切れになることはないでしょう。その代わり、論説的文章は2000字、文学的文章は3000字を越えるなど、やや長めの文章が出題されています。問題を短い時間でテキパキ解くことより、じっくりと文章を読んで丁寧に解くことが必要となる問題構成です。選択肢問題では微妙な差異を見つけることや深い読み取りが要求されるものが多く出題されます。本文と同じ表現を見つけて単純にその選択肢を選んでも正解にはなりません。時間は十分にあるので、パッと直感的に選ぶのではなく、根拠となる本文の部分をしっかり見つけて、その言い換えとなる表現を設問から探して解きましょう。本文にない言葉を使っている選択肢でも正解となることがあるので、単語があるかどうかではなく、文脈で判断しましょう。
漢字の読み書きの問題です。
坂上恭子『あしたづくり 子供と共に考える、―楽しい不便、賢い我慢』より
接続語を入れる問題です。全問正解したい問題です。
「ない」の意味を識別する問題です。「ない」を「ぬ」に置きかえて意味が通ると助動詞、意味が通らないと形容詞です。「納得しない」は「納得せぬ」と置き換えられるので、意味が通る助動詞であると考えます。
傍線部の本文中の説明としてふさわしくないものを選ぶ問題です。最初の選択肢にある「山間部の斜面地」という表現は本文にある「尾根」のことを指していると考えられ、本文の言い換え表現と考えられます。「石段を設けることで利便性が高ま」ったことは正しいですが、「その結果」海路が発達したわけではないので、この選択肢が間違いです。
傍線部の言葉から母親が自分に伝えたかったことを選ぶ問題です。母親の言葉の要旨をつかむ必要があります。もともと母親は「みてた」という言葉の意味を伝えるために「雁木」や「宜彦」の例を出しています。「みてた」が中心になっている選択肢が正解です。
傍線部の説明として最適なものを選ぶ問題です。「言葉が持つ本来の必要性」については傍線部3の前後に二か所あるので、どちらについての説明なのかを考えて選ぶ必要があります。傍線部3の直前に「横並びからはずれたことを言うのははずかしかったり」するので「言葉が持つ本来の必要性はなくなってしまった」とあります。横並びからはずれることが、傍線部での言葉の本来の必要性である、と書いてある選択肢を選びましょう。
傍線部から筆者の主張を選ぶ問題です。傍線部の前にある「人間が言語によって考える力を持っているということは、そのすり減らす作業に使いなさいという神様の教えでもある」という部分の言い換えを選択肢から探します。言い換えになっている選択肢のうち、「科学とは距離を置く」と「科学の進歩するスピードを落とすべき」のどちらが筆者の主張になっているかを考えます。科学=文明ではなく文化が大切であるという筆者の主張は「距離を置く」と言い換えられますが、「進歩するスピードを落とす」というのは本文の表現にはありません。
傍線部から筆者の主張を選ぶ問題です。傍線部の後に「羽を休める力は、文化の力」とあるので、文化の力について書いてある部分を探します。その数行後に「不便や我慢もたくさんある。でもそれを、智慧と工夫を働かせて乗り越えていくから、人間は賢くなる」とあります。これと同じ主旨の選択肢を探しましょう。
合否を分けた一題で解説します。
重松清『どんまい』より
傍線部の慣用句の本文中での意味を答える問題です。一般的な使い方と同じなので、知識で解ける問題です。
主人公以外の登場人物の身体表現から心情を選ぶ問題です。きっかけとなった出来事は将大が「勝ったり負けたりすることの大切さを、教えてやりたくてさ」との発言なので、野球を通じて生徒たちに大切なことを教えるという将大の考えを「冷ややかに笑った」のだと考えられます。
主人公以外の登場人物の考えを本文中から抜き出す問題です。吉岡の考えは地の文では出てこないので、吉岡の発言から探すことになります。将大の「野球が好きだから、これでメシ食ってるんだろ?」という質問に対して吉岡が答えている部分が正解となります。
主人公の発言から心情を選ぶ問題です。将大は吉岡に野球を好きでいてほしい、引退せずに野球を続けてほしいと考えています。それに近い選択肢を選びましょう。
主人公以外の人物の発言から心情を記述する問題です。この会話の話題は吉岡があっさりとプロ野球選手を引退することです。直後の洋子の発言に「おとなはみんな」「必死に生きてんの!」「野球の神様が怒る!」とあるので、洋子は吉岡の引退を「野球に対して必死で取り組まなかったことを、おとなになった吉岡が悔やむ」ととらえていることが分かります。
主人公以外の登場人物の発言から心情を選ぶ問題です。「野球を出世のための道具としか考えていない」「洋子の考え抜いた末に発した言葉」「野球という神聖なスポーツ」など、本文と無関係な選択肢を除けば正解がすぐに導けます。
主人公以外の登場人物の身体表現と発言から心情を選ぶ問題です。使い捨てカイロは、野球選手にとって大切な肩が冷えないよう、将大が吉岡に渡そうとしたものです。最初はいらないと言っていた吉岡が、傍線部ではカイロを拾って右肩に載せています。吉岡の野球に対する前向きな気持ちが表れている選択肢を選びましょう。
文章全体の表現の特徴を選ぶ問題です。この文章は現在起こっていることを時系列に書いたもので、会話表現は全て「 」が使われています。基本的には主人公である将大の視点で進みますが、洋子の「野球の神様が怒る!」発言の部分では洋子の心中が表現されています。擬人法とは人でないものを人であるかのように表現する技法です。会話中の「…」はただの無言ではなく、感情表現になっています。「シロート」や「センセイ」といった吉岡の発言のカタカナ表記は、吉岡が相手をからかう気持ちの表れです。
本文全体の内容を踏まえた上で、2つの文章の要旨を穴埋め式で記述する問題です。要旨を三十字以上三十五字以内と短くまとめる問題なので、どういう内容を書くかの取捨選択が大切になります。設問の意図をくみ取って書かないと点数が取れない難問です。漫然と書き始めた受験生と、書くべき個所を絞って取り組んだ受験生で差がついた問題だと考え、合否を分けた一題で取り上げることにしました。
考え方
空欄Xは文章の穴埋め問題なので、設問の文章の前後を読んで、「みてた」の物語で「母親」が「ぼく」に伝えたことを考えます。母親がぼくに最も伝えたかったことを書けば正解ですから、まずは母親の発言の要旨となるところを探します。
次に、上の①、②の部分をそれぞれ言い換えます。「お醤油」というのは一つの例なので、「もの」と抽象的にとらえましょう。「ありがとう」という気持ちは感謝の気持ちと言い換えるのが自然です。
空欄Yは「古き良き時代を回想することによって」「ぼく」が述べようとしていることなので、文章Ⅱ全体の要旨を考えます。文章Ⅱのまとめとなっている部分が傍線部5の後にあるので、そこから探しましょう。
上の③、④を字数制限に合わせて言い換えます。