計算問題や一行問題が出題されないからといっても、数の処理が正確にできなければ得点にはつながらない。また、暁星中の問題の中で問われる単位換算も正しく行えなければこれまた得点にはつながらない。したがって、計算練習においては、複雑かつ長い計算問題を多く解くのではなく、短い計算問題を正確かつ早く、そしてできるだけ工夫して解くことに日ごろの練習の重心を置くことが重要である。また、パターンの学習に陥りがちな一行問題は、解き方を覚えることよりも、なぜそのような解き方になるのかをしっかりと理解することに力を注ぐようにする。それによって代表的な問題1つ1つを完全に理解していく確実な学習が必要であろう。
暁星中の記述は前述したように、全体の約8割に及ぶ大変量の多いものである。また、そのような中で、合格者平均点を確保しようとすれば、求められている情報を正確・丁寧・スピーディに記述できるテクニックが必要になってくる。さらに付け加えれば記述問題の多さは算数だけでなく、国語(ほぼ全問記述)や理社などにも見られることである。ということは答えだけを記入する学校と比べ、試験中に書くことの多さは比較にならないということである。とにかく書くことができなければどうにもならない。かといって、何でもかんでも書けば良いというものではない。
そこで、常日頃から解答用紙の記述欄の埋め方を意識して、学習を進める必要がある。
その一例をここに示そう。
他にも練習方法はあると思うが、大切なのは、最初から記述欄を埋めていこうとせずに、「清書」することを意識して行うことである。これは決して二度手間を踏んでいるわけではない。解答用紙を見る側の立場に立って記述欄を埋められないようでは暁星中学校の求めている愛の精神に基づき、他者の痛みを理解する人間像には近づけないであろう。
前述したように、受験者平均点と合格者平均点の差は15点から20点で、この点数は入試問題中の捨て問にはできない比較的難しい問題の配点部分と一致する。ということはこのレベルの問題ができるかどうかが合否を分けるといっても過言ではないであろう(当然ではあるが、それらよりも解きやすい問題は解けている上での話しであり、そこで減点しているようでは合格は難しい)。そして、そのような問題は、塾のテキストで言えば応用問題や発展問題などに載っている問題である。したがってこのレベルの問題は、日ごろの学習において、やらなくてもよい問題にはならない。暁星中は入試問題のわりに模試の偏差値が低く出ている学校であるので、偏差値基準で問題選択をするとこれらの問題群はやらなくてもよい問題と判断されることがしばしばあるが、これは危険である。
解けなかったとしても、考えること、問題に触れておくことは大変重要である。さらに分からない問題でも解説を読むなり、使用されている図や表を確認することでも十分に意味のある学習になる。塾教材の多くは解説部分が少なく、授業中に扱われないと解説を読んでも意味が分からないとなってしまうこともよくある。最近は書店でも多くの中学受験用問題集が置かれているので、その中で、応用・発展問題で構成されかつ解説の詳しい問題集を用意することも場合によっては必要であろう。
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