1 | (1) A (2) A (3) C (4) C (5) C |
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2 | (1) A (2) A (3) C (4) B (5) |
3 | (1) A (2) A (3) B (4) B (5) B (6) B (7) A |
4 | (1) A (2) A (3) B (4) A (5) C |
A…暁星合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2020年度の暁星は、例年通り物理・化学・生物・地学の4分野からなる大問4つで構成されていました。例年と同じく基礎知識で得点できる問題もあれば、実験・観察の過程から少ないヒントで考えなければならない問題など、問題ごとのレベル差が大きくなっています。選択問題でも「誤っているものを1つまたは2つ選びなさい」と答えを絞りにくくしていますし、かといって計算問題は基本的な計算しか使わないものがほとんどです。問題の中から確実な得点源となるものを選択する能力を問われるつくりとなっていました。全体の6割は自信をもって答えられる状態が望ましいです。
出題構成は、4分野から1題ずつで、毎年変わっていません。
化学分野の問題は、界面活性剤と表面張力に関する問題。
生物分野の問題は、植物の授精に関する問題。
地学分野の問題は、星の満ち欠けに関する問題。
物理分野の問題は、密度と浮力に関する問題。
知識問題に関しては教科書レベルをしっかりおさえておけばギリギリ合格ラインを越えられますが、理科的な発想や、実験に対する興味・関心などを問われるものが多かった印象です。普段から科学実験・自由研究などに興味を持っている人が有利だったのは間違いありません。理科が苦手な人は記述問題を深く考えずに、ある程度捨て問として扱ったほうが良いような内容でした。計算問題は塾で学習している内容をしっかり復習できていれば十分通用するはずです。丁寧に得点していきましょう。
問題構成は、大問4題、小問22問。
解答形式は、記号選択が15問、数字が3問、言語が2問、記述が6問。
今回は作図問題が出題されませんでした。
小さな記述問題が多いので、40分間のうちどの程度時間を割くのか作戦が重要です。
(化学)界面活性剤と表面張力に関する問題。
水の表面張力、洗剤、シャボン玉と中学受験理科の単元としては存在しない内容で、まさに理科への興味が試される問題です。入試にはたまに出題される内容なので、塾で習ったことがあるかもしれませんが、軽い扱いでしかなかったと思います。テレビの教育番組や、自由研究の本などが好き人は有利ですが、そうでない場合は(3)以降は時間をかけずに次に進んでしまったほうが良いかもしれません。
水どうしは引き合い、中心に集まろうとする力がはたらきます。ロケットの中など無重力状態で水を浮かべると球体になります。この力を表面張力といいます。水面がコップのふちより上に盛り上がってもこぼれないのは、表面張力のはたらきです。
慣用句にもあるように、水と油はそのままでは混ざりません。洗剤に含まれる界面活性剤は、油にくっつく部分と水にくっつく部分でできています。汚れた衣類から油汚れを分離し、水中に移動させるはたらきをしています。
シャボン玉が割れてしまう原因はいくつか考えられますが、まくをつくっているシャボン液が重力によって下にあつまり、まくが薄くなった部分から割れることがおもな原因です。割れにくいシャボン玉をつくるには、このシャボン液の移動をどう防ぐかがポイントとなります。
→合否を分けた一題へ
(生物)植物の授精に関する問題
植物だけに存在する「受粉」と「受精」の2つの段階に着目した問題です。設問のほとんどは基礎知識なので、問題なく点数はかせげるかと思います。しかし、途中にある記述問題に悩みすぎてしまって時間を無駄にすることが十分に考えられます。上位校では、その後の問題文にヒントがあるという意地悪な構成になっている場合があります。もちろん暁星もその例に当てはまりますので、悩み過ぎず次に進むように注意するべきですね。
基本問題です。胚珠→種子、子房→果実は常識ですよね。
花粉を運ぶものは風、虫、鳥、水など様々ありますが、ふつうは風か虫です。
(3)の記述は下線部の前後を読んだだけでは答えがわからないと思います。(4)から問題文が追加されて、別の実験が始まったかのように見えるのですが、実は(3)と(4)で問われている内容は全く同じです。(4)の問題文をヒントに(3)を記述しましょう。
植物と他の生物との違いは、受粉→花粉管が伸びる→受精と、受精までの手順が多いことです。ここまで慎重に手順をふむ理由を考えましょう。個人的にはとても優れた手順だと思います。
実験といえばもちろん対照実験です。「~がある場合」と「~が無い場合」で比べます。調べたいこと以外の条件を変えてはいけません。
(地学)星の満ち欠けに関する問題
前半は惑星の満ち欠けに関する問題、後半は地学の小問集合となっています。満ち欠けに関しては特別必要な知識はありませんでした。月や金星の公転図の使い方(図から時間や方角などを読み取ること)がわかっていれば、それほど難しくありません。記号選択が多いですが、「誤りがあるものを選ぶ」問題、「2つ選ぶ」問題など、細かい条件を読み飛ばさないように注意しましょう。
難しくはないのですが、まぎらわしいのは「新月のときに月を観測できないのは、地球と太陽のあいだに月が存在しているから」という表現です。日食の条件と勘違いしがちですが、あいだに存在するというだけであって、一直線上とは言っていません。
金星の見え方だけわかっていれば解けます。金星が見えるのは、明け方の東の空か、夕方の西の空です。これを思い出せなかったとしても、図から時間帯と方角を判断できないといけません。
オの選択肢の内容が理解しづらいですが、星の見え方に大きく関係するのは地球の自転ですよね。惑星の公転周期などは影響が小さいので、覚える必要はありません。
地球から外惑星を観測すると、図の緑四角で囲んだ部分が見えます。見えている部分のほとんどが日光を反射して明るく見えている部分なので、ほとんど満ち欠けをしていないように見えます。
火星などの地球から近い外惑星ではわずかに満ち欠けする様子が観測できます。
ここから小問集合になりますが、あくまで基礎知識の範囲です。確実に3連続正解しましょう。
かげは朝夕に長くなる。沸騰は100℃、風向きは吹いてくる方角、北半球の台風は反時計回り、これだけわかっていれば自信をもって答えられるはずです。
こちらも基礎知識。アの選択肢がややわかりづらいでしょうか。砂は泥よりも粒が大きく、すき間が大きいので、水はすぐに通り抜けてしまいます。
物体の落下はふりこと同じ原理です。いちばん下にあるときが速さ最大です。
(物理)密度と浮力に関する問題
最後に物理計算がやってくるので、ここまでで時間をさいてしまっているとかなりあせりますね。この大問4は複雑な計算がなく、大問1,2と比べても簡単な部類に入ると思います。算数の水量変化の基本問題程度の内容なので、短時間で終わりますし、得点できないと大損です。最初に試験問題を見渡した時に、問題文の長い大問は後回しにすると良いかもしれません。確実に得点するには、高さに気を付けて図を描きながら解くことがポイントです。
1辺5㎝の立方体と書いてあります。サービス問題ですね。点差はつかないでしょう。
1㎤あたりの重さ・密度・比重など、単語は何でも良いです。全体の重さではなく、同じ体積あたりで比べると軽いということを書きましょう。
問題に指示がなくても、それぞれの物質の密度(重さ÷体積)を求めてメモしておきましょう。アルミが圧倒的に重いことがわかるはずです。
完全に算数の問題です。状況としては下図の2パターンが考えられます。油は無視して、アルミが水面から出るのか出ないのか丁寧に計算して確かめましょう。
合否を分けた一題として、大問1の水中シャボン玉の問題を選びました。ただの選択問題ではあるのですが、知識として持っていない場合には発想の取っ掛かりが少なく、悩んでしまう人が多かったことと思います。結果から言えば「知らなければ飛ばす」が正解なのでしょうが、題材がシャボン玉という親近感から、「知らない」という感情を抱きにくいのが厄介なポイントです。大問1(3)とともに、前半で時間を浪費させようとする罠に注意すべきでした。
自由研究のテーマとしては以前から存在するものなので、科学実験好きに有利な問題でした。
非常に難しい問題です。通常のシャボン玉は左図のように、空気→シャボン液→空気の順にならび、真ん中のシャボン液のまくができ、空気中にシャボン玉が作られます。問題の方法だと、シャボン液→空気→シャボン液の順にならぶので、真ん中の空気のまくができて、水中にシャボン玉ができることになります。この水中シャボン玉をただの水でつくると、水の表面張力によって周りから押されるのですぐに割れてしまいますが、シャボン液でやると表面張力がとても弱くなるので、水中でも割れずにシャボン玉を見ることができます。