[1] | (1)B (2)B (3)B (4)B (5)B (6)B |
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[2] | (1)A (2)① A ② A (3)① A ② A ③ A (4)A (5)A |
[3] | (1)A (2)A (3)B (4)B |
[4] | (1)B (2)B (3)A (4)A (5)B (6)B |
A…暁星合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2017年度の暁星は、例年通り、基本的知識をもとに、実験や観察を通して考える問題出されました。
よく見る典型的な問題が中心でやや易しめだった昨年に比べ、本年度は、暁星特有の、日常生活の科学を取り上げた実験やグラフの読み取りなどが出され、難易度は例年並みに戻った印象です。
化学分野の問題は、台所用洗剤と表面張力の問題。界面活性剤(洗剤)のはたらきで、どのような現象が起きるかを考えます。
地学分野の問題は、太陽の南中・月の満ち欠け・冬の大三角の問題。天体に関する基本の知識を確かめる問題です。
生物分野の問題は、光合成と光補償点の問題。光合成量のグラフを読み取り、陽性植物と陰性植物の成長の仕方を比べます。
物理分野の問題は、電磁石・音の伝わり方の問題。電磁石は電磁石の配線について、音は伝わる速さの計算問題です。
対策としては、まずは基本の知識を固めること。問題として取り上げられることが多い、身のまわりの理科的な現象に興味をもつこと。表やグラフを読み取り、説明ができること。を目指します。
問題構成は、4分野から大問4題、小問42問。
解答形式は、言語が8問、記号選択が27問、記述が5問、数字が2問。今年は、作図がありませんでした。
記述は、1行分の欄が3問、2行分の欄が1問、15字指定が1問で、しっかり考えたうえで、適切な表現をする工夫が必要です。
計算は、音速の計算で、算数の旅人算を利用します。計算そのものは煩雑ではありませんが、問題の設定をしっかり理解できていることが大切です。
選択肢は、組み合わせの選択肢はなりを潜め、選びやすくなっていますが、「すべて」選ぶ問題では、注意が必要でした。
(化学)界面活性剤(洗剤)についての問題です。
台所用洗剤を使った実験の結果が示されていて、これを手がかりに次の実験の結果を予想し、理由もかく問題です。手がかりにできる実験はひとつだけで、どうあてはめて考えるかがポイントとなります。
→合否と分けた一題参照。
図3の(b)では、水滴が形を保っています。これに洗剤をつけると、丸い形がくずれ、水滴は下に落ちてしまいます。1行分の解答欄ですが、水滴がどうなるかを簡潔にかきます。
洗剤を落とした位置である、割りばし間の水から、表面張力が失われるので、外側の水に引っ張られるようにして2本の割りばしが離れます。
①に落とした油滴は、右側の②に落とした洗剤によって、右側よりも左側の水が引く力が大きくなり、左側に引っ張られて動きます。
シャンプーは洗剤のなかまです。鏡にぬりつけると、水滴が広がって、余分は水分が下に落ちてしまうので、くもりにくくなります。
床に洗剤を吹きつけると、水滴が広がって、余分な水分が傾斜にそって流れ落ちます。残った水分もうすく広がっているので、同じ条件なら、乾く時間が短くて済みます。
1行ほどの解答欄に、なぜ早く乾くのか、理由をかきます。
(地学)天体に関する問題です。
太陽・月・冬の大三角と、どれも大変よく取り上げられる天体です。ミスのないように解答し、しっかり得点したいところです。
太陽の南中高度は、北半球では、夏至の日が最も高く、冬至の日が最も低くなります。
太陽の1日の動きは、地球の自転によるものです。地球は1日に1周自転するので、太陽は1日に360度動いて見えます。このことから、経度の差が5度のとき、太陽が南中する時刻は、24×60×5/360=20(分)ずれることがわかります。
① Aは明るいところがない月ですから、新月です。
② 下弦の月は、沈むときに弦が下になる形の月です。
③ 三日月は、夕方に西の空に見えて、そのまま沈みます。明け方には見えません。上弦の月は、夕方に南中し、真夜中に西の空にしずみます。満月は、夕方に東の空からのぼって、真夜中に南中し、明け方に西の空にしずみます。つまり、満月は一晩中見えていることになります。下弦の月は、真夜中に東の空からのぼり、明け方に南中します。
夏・冬の大三角は、覚えておきましょう。
冬には、「こいぬ」と「おおいぬ」を連れた「オリオン」が見えると覚えておきましょう。
オリオン座の三ツ星の傾きを手がかりにします。東の空からのぼるときは縦に並び、南中時は斜め45度に傾き、西の空にしずむときは横に並びます。
(生物)光合成に関する問題。
光の強さと栄養分の生産量の関係のグラフから、光補償点や光飽和点を読み取り、光の強さによる、植物のようすのちがいを考えます。
光合成に関する、基本の知識です。吸収するものと、放出するものを、取り違えないようにしましょう。
図1のグラフを見ながら、答えます。選択肢の、「生きられる」と「成長できる」、「生きられない」と「成長できない」のちがいに注意します。
④より強い光を与えても、栄養の生産量は増えないので、植物Aの成長は変わりません。1行分の解答欄に、どういう理由でどうなったのかをかきます。
図2のグラフの読み取りです。
植物Bの栄養分の生産量がbになるとき、植物Bはかれませんが成長もしません。同じように、植物Cの栄養分の生産量がcになるときに、植物Cはかれませんが成長もしません。グラフに印をつけて、それぞれのときに必要な光の強さを比べてみると、bで必要な光の方がcで必要な光より大きくなります。つまり、植物Bが成長するには、植物Cより強い光が必要です。一方、光が十分強いときは、栄養分の生産量が大きい植物Bの方が大きく成長することがわかります。
(物理)電磁石・音に関する問題。
題材は違うものの、どちらも実験の結果を使って、考える問題です。どのデータを利用すればよいかを見極める力も必要です。
コイルAは100回巻なので、コイルCのF-GかH-Iのどちらか片方の導線に電流が流れればよいと考えます。
コイルBは200回巻なので、コイルCのF-GとH-Iの両方に同じ向きに電流が流れればよいと考えます。
イ・エは、コイルに電流が流れません。カは、F-GとH-Iで電流の向きが逆になるので、磁力を打ち消し合います。
コイルの磁力を増す方法は、●巻き数を増やす。●コイルに流れる電流を大きくする。●鉄心を入れる。の3つです。
問題文をしっかり読んで、音が進む距離とかかった時間の関係を把握します。
実験は3回していて、最後の実験の結果から、音の速さを計算することができます。
地点①に次郎君、地点③に太郎君がいるとき、聞こえた音が3回なので、2回目は直接の音と反射した音が重なっていると考えます。このとき、進んだ距離の差が、音が0.4秒間に進む距離と等しくなるので、光の速さを□とすると、□×0.4=70×2より、□=350(m/秒)
2つめの実験結果から考えます。
地点①に次郎君、地点②に太郎君がいるとき、4回聞こえた音のうち、初めの2回が直接届く音、あとの2回が校舎で反射して届く音です。1回目と3回目聞こえた音は、もとは1回目にたたいた音が届いた音です。地点②の太郎君にとどく距離の差は、時間の差0.8(0.4×2)秒間に光が進む距離です。校舎から地点②までの距離を□とすると、□×2=350×0.8より、□=140(m)したがって、地点②は、地点①から20m(160-140)離れていることがわかります。
実験1の結果から、わかることは何でしょうか。
まずこれを明確にして、続く問題について考える根拠とします。
実験1は、水滴の表面張力が、界面活性剤によって弱められる現象です。この原理は、小学生には難しく、本当の意味で理解することは望めないでしょう。
しかし、実験1の結果を、どうにかして実験2に当てはめて考えなければなりません。
難しい挑戦ですが、この気持ちが、(2)以降の解答にも必要です。
実験1から、水滴に洗剤をつけると、うすく広がることがわかります。
図3の(a)では、水と空気の境界面の面積は丸く小さくなっています。これに対して、(b)ではうすく広がり、「10倍くらいになっていた。」とあります。このことをそのままあてはめると、図4(b)の水面に洗剤をつけたとき、図3の(b)のようにうすく広がって、コップの縁からこぼれると考えられます。
1行分の解答欄には、水滴が具体的にどうなるか簡潔にかきます。理由や自分の考えを書く必要はありません。